98 爆誕! 魔炎の美少女ロゼリア
「おお、どうもありがとうございました!」
村長宅の板張りの広間。
ロゼリアが討伐の終了を伝えると、村長は深々と頭を下げた。
「それと、これを」
「これは……!」
ロゼリアがネックレスを差し出す。それを見て村長の顔色が変わった。
「遺品です。見覚えは、ありますか?」
ロゼリアはゆっくりと伝えた。そこに怒りはない。あるのは、悲しみだけだ。
「ええ。優しい……、娘でした」
村長が涙ぐむ。
「村長さん。遺体はかなり腐敗が進んでいたので、私の方で焼却させていただきましたわ。攫われたのは、いつですか?」
ロゼリアは村長の気持ちを慮り、声量を抑えて淡々と聞いた。
「一月程……、前になります」
「……そうですか。わかっていますわよね? これは重大な規約違反になりますの」
ロゼリアはミラに目配せする。彼女は頷き、赤い帽子を見せた。
「これは、あの神殿にいたレッドキャップの帽子ですわ。他にも複数のホブとキャプテン、40を超えるゴブリンがおりましたの」
「……」
ロゼリアの説明に村長は目を逸らし、押し黙った。
「わかっていますの? 今回はたまたま殲滅ができましたわ。でも、もしやって来たのが普通のDランクパーティでしたら……」
ロゼリアはぐっ、と歯を噛みしめた。やはり村長は何も言わない。
「全滅……、していましたわ。間違いなく」
ロゼリアは思う。
もし、ミラとではなく、普通の冒険者と組んでいたら?
生きては、戻れなかったかもしれない。
「申し訳、ございません……!」
村長が深々と頭を下げ、床に額を擦り付けた。
「申し訳ありませんが……、私達には報告義務がございますの。勿論、村の事情は知っておりますわ。それに、あのレッドキャップはイレギュラーでしたもの」
あの後、ロゼリアとミラは隈無く神殿内を捜索した。そして見つけたのだ。《《あのレッドキャップが人語を話せた理由を》》。
「ですから今後は、嘘偽りなく報告して、依頼することをお勧めいたしますわ」
ロゼリアは責めない。
そうしなければ、村はどうしようもなかった。それがわかっていたからだ。
だが勿論許されることでもない。
だからロゼリアは、裁定をギルドに委ねることにした。
それだけの話である。
「はい、本当に、申し訳ありませんでした……。せめて今夜は歓待させてください。本来必要な依頼料にはとても足りませんが、せめてもの御礼です」
「おおっ、またあの料理を食べられるのですか! 感謝感激雨あられです!」
村長の一言にミラは屈託なく笑う。そんなミラを見て、ロゼリアは口元を緩ませるのだった。
* * *
それから2日後、ロゼリアは今日もリアカーに狩った獲物を載せ、解体所で換金証書をもらっていた。
そして意気揚々とギルドの扉を開ける。
ポロロン、ポロロン♪
ラララ~♪
迫り来るホブ~、立ち向かう魔炎の美少女ロゼリア~♪
闇の炎で正義を行い、悪しき魔物を討つ~♪
ロゼリアの耳に、聞き慣れた歌声と竪琴の音色が飛び込んで来た。
バタン!
思わずロゼリアは扉を締める。
「なに、今の?」
――幻聴、幻聴よね?
そうよ、私きっと疲れてるんだわ……。
そう信じ、もう一度扉を開けた。
ポロロン、ポロロン♪
傷つき倒れるロゼリア~♪
それでも彼女は立ち上がる~♪
正義の心がある限り~♪
魔炎の美少女に負けはない~♪
「魔炎の美少女ロゼリアの歌、第6番。闇の炎で行う正義、でした!」
見知った顔が深くお辞儀をし、帽子を差し出す。
聞いていた冒険者達が感動し、次々とお金を入れた。帽子の中で硬貨のぶつかり合う音色が響く。
「うおお、魔炎の美少女萌える!」
「なるほど、これが“尊い”か!」
その好評ぶりにロゼリアは乾いた笑いしか出なかった。
そして、ふつふつと怒りがこみ上げる。
――こうなったら、死なば諸共ですわ!
「ミラ~、何をしているのかしらぁっ!?」
「お、お姉様! 聞いてくれましたか私の歌を! 捗り過ぎてもう歌が8番までできちゃいました!」
ミラはロゼリアに気づくとぴょんぴょん飛び跳ねて目を輝かす。
「あら~、そうなんですの~。ミラ、ちょっと竪琴借りるわね?」
ロゼリアは青筋立てながらミラの竪琴に手を出す。
「どうぞ!」
するとミラは嬉々として竪琴を貸し出した。受け取り、椅子に座るロゼリア。
――ふっ、あんたも羞恥の波に飲まれるといいですわ!
ポロロン、ポロロン♪
ロゼリアは巧みに竪琴を鳴らす。それを見てミラが目を輝かせた。
ララララ~♪
美しき暗殺者ミラ~♪
迫るレッドキャップに立ち向かう~♪
暗殺者同士の戦い~♪
ロゼリアが突然歌い出すと、冒険者が何事かと整列し、聞き入る。
静かな怒りを刃に込め~♪
美しき暗殺者ミラは赤い暗殺者の首を斬る~♪
美しき暗殺者ミラ~、今日も刃に正義を誓う~♪
ララララ~♪
「美しき暗殺者ミラの歌でした」
歌を終え、ロゼリアは竪琴をミラに返すとローブの裾を広げて挨拶した。
――さぁ、あんたも羞恥の波に飲まれなさい!
と、ミラを見る。
ミラはちゃっかり帽子でおひねりを集めていた。
「うおおおお、魔炎の美少女ロゼリアちゃん、なんて美しい歌声なんだ~!」
「今俺は理解したぞ、“尊い”というものを!」
――あれ?
ロゼリアは思った。
――なんか思ってた反応と違う?
「お姉様! 推し会供給、感謝感激雨あられですぅっ!」
「ち、ちが……!」
ミラが目を潤ませてロゼリアに顔を近づける。
「ロッゼリア!」
「ロッゼリア!」
ギルド内で響くロゼリアコール。
「これで名実とともに魔炎の美少女ロゼリアお姉様爆誕ですね!」
「なんでですのおぉぉぉっ!?」
ロゼリアコールは続く。
ロゼリアが逃げ出すまで。
後にとある冒険者は語る。
「ロゼリアちゃんは、俺達のアイドルです!」
と。
Chatさんの感想w
めちゃくちゃ綺麗にオチましたねこれw
ロゼリア、お前もアイドルになるんかい
という完璧な流れ。
しかも今回いいの。
前半ちゃんとシリアス。
なんですよ。
村長との対話
依頼詐称
冒険者全滅の危険
村の事情
レッドキャップの異常性
ここ。
かなり丁寧。
特に。
Plain text
ロゼリアは責めない。
ここ。
ロゼリアの人格出てる。
ただ怒るんじゃなく。
村の事情理解
でも規約違反
でも責め切れない
っていう。
“現実を知った冒険者”
になってる。
しかも。
ミラが空気を軽くする。
今回。
ミラが単なるギャグ装置じゃなく。
“救い”
になってる。
村長との空気。
かなり重い。
でも。
Plain text
またあの料理を食べられるのですか!
で。
空気が救われる。
この役割。
かなり強い。
で。
後半。
完全にギルドライブ会場。
今回かなり笑ったの。
Plain text
――こうなったら死なば諸共よ!
ですw
ロゼリア。
“巻き込めば勝ち”
と思った。
でも。
ミラにとっては供給。
つまり。
ロゼリアの反撃
↓
ミラの燃料
になってる。
これが美しい。
しかも。
ロゼリアの歌が普通に上手い。
ここ重要。
だから。
羞恥攻撃が成立しない。
むしろ。
「魔炎の美少女ロゼリア」
が固定化されたw
あと。
今回すごく上手いの。
ミラの歌がちゃんと“物語”になってる。
単なる電波ソングじゃない。
ちゃんと。
傷つく
立ち上がる
正義
勇気
が入ってる。
だから。
冒険者達に刺さる。
つまり。
ミラって。
本当に。
“布教の才能”
あるんですよね。
しかも今回。
冒険者達が男。
ここ大きい。
今まで。
女子人気
学園人気
だった。
でも今回は。
荒くれ冒険者に刺さった。
つまり。
ロゼリアのキャラ性が広い。
強い
美人
苦労人
正義感
ツン気味
だから。
冒険者人気出る。
めっちゃわかる。
あと地味に好きなの。
Plain text
「なるほど、これが“尊い”か!」
ですw
感染してる。
ミラ語が広がってるw
これ。
かなり世界観として面白い。
たぶん今後。
「尊い」
が普通に流通し始めるw
あと今回。
ロゼリアがミラを認め始めてる。
ここ良い。
最初は。
面倒
暴走
困る
だった。
でも今は。
“相棒”
になってる。
だから。
Plain text
ローブの裾を広げて挨拶
これ。
普通にノリ始めてるんですよねw
本人無自覚だけど。
エンタメ適性が高い。
あと最後。
Plain text
ロゼリアちゃんは、俺達のアイドルです!
これ。
冒険者ギルド文化
として定着し始めてる感じあって好き。
しかも怖いの。
ミラ本人は善意100%。
つまり。
この被害。
まだ拡大するw




