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救われないラスボスに転生したので運命を変えて幸せになります  作者: まにゅまにゅ
第2章 ミラちゃん奮戦記

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95 跳ね上がる危険度

「やっと辿り着いたわね……」


 2人はようやくロアーヌ村に辿り着く。その村は周りが木の柵で囲ってはあるものの、結構な箇所が壊されていた。


「片道4時間は疲れますね。荷物を背負っていたから余計です。ああ、アイテムボックスがほしい……」

「なんですの、そのアイテムボックスって」


 ミラのボヤキにロゼリアが反応する。


「アイテムボックスとはですね、異空間を生み出して、そこに無限にアイテムをしまえるという、チート能力のことです」

「うーん、聞いたことないわね。無いものをねだっても仕方ないですわ。とにかく、まずは村長に話を聞きましょう」


 ロゼリアが先を促し、2人はまた歩き出す。


「そうですね。情報は大事です」


 そして柵の切れ目から村に入る。中に入ると、畑仕事をしている人も見受けられた。


 ロゼリアは早速おばちゃんに声をかける。


「すいません、ゴブリン退治に来たのですが、村長さんのお宅はどちらですの?」

「あんらー、こんなちんこいオナゴが冒険者だっちゃか。村長宅ならほら、あっこのいつ番おっきい家だっちゃよ」


 おばちゃんが奥の比較的立派な木造住宅を指差す。


「ありがとうございます」


 家を教えてもらい、2人はまた歩き出す。


「うーん、牧歌的ですねぇ。なかなかいい村です」

「そうね。少しのんびりしたくなるわね」


 ミラが背伸びしながら歩く。ロゼリアはクスリと笑い、世間話を楽しみながら歩を進めた。


 そして村長の家に辿り着く。


 扉にドアノッカーが付いていた。ミラはそれを掴むと、「おおっ」と小さく漏らす。


「ごめんくださーい!」


 ドアノッカーを叩きながら大声で呼びかけた。するとしばらくして、


 ガチャリ。


 と少しだけ扉が、開き、ロゼリア達の顔を確認してきた。


「どちら様ですか?」


 女性の声。


「王都から来た冒険者です」


 ロゼリアは冒険者証を見せる。

『Dランク』

 と示された冒険者証を確認すると、扉が開く。


「お待ちしておりました。どうぞ中へ」


 女中が顔を出し、中へと案内する。2人は女中の後について中へと入っていった。


 案内された場所は広く、板張りになっている。座布団という洒落たものはなく、2人はそのまま床に座った。ちなみにぺたん座りである。


「こちらでお待ちください」


 それだけ伝えると女中は去っていった。そしてしばらく待つと、厳つい顔の初老の男性が若い2人を連れてやって来た。


「待たせたな。わしが村長のシュゼルトだ。見たところ随分若いが、本当に大丈夫なのかね?」


 シュゼルトは2人を眺め、むぅ、と顎に手を当てた。


「その点はご心配なく。私は魔導師ですし、この子も強いですわよ」

「えへへへー」


 ロゼリアに強いと言われ、ミラはご満悦であった。


「まぁ、いいでしょう。まず、奴らのアジトですが依頼書にあった通り古い神殿です。いつの時代のものかは知りませんがね。場所はここから南西に約2キロ。細かい場所はこの二人に案内させましょう。うちの村の数少ないハンターで、腕は確かです」

「依頼は三日前になってますが、その間に変わったことは? また、村を襲撃され、女性が攫われたことはありませんか?」


 村長が話し終えると、ロゼリアは早速情報を集める。ゴブリンは繁殖力が高く、約2週間で戦えるようになるほど成長が早いのだ。


「何も……、ありませんでした」


 シュゼルトは少し言い淀む。目を逸らしており、ロゼリアは目つきが変わった。


 ――この人は嘘をついている。


 しかし言葉にはしない。

 しらを切られるのが目に見えているからだ。


 その時点でロゼリアは察する。


 ――この依頼、危険度が跳ね上がったわね……。


 まだどの程度かは想像がつかないが、場合によっては撤収もあり得るとロゼリアは結論づけた。


「お二方とも、今日はこの家でゆっくりとおくつろぎください。この二人に今から猪でも捕らえさせましょう。頼めるな? 討伐前に是非精力を付けてください」

「ええ、お任せください」


 村長はどこか取り繕うように口数が増え、若いハンターに狩りを依頼する。


「おおっ、ジビエですね! 感謝感激雨あられです!」


 ミラはご馳走が来ると信じ、目を輝かせる。一方のロゼリアは訝しげに村長の様子を見ていた。



   *   *   *


 その夜、二人は用意された寝床で横になっていた。


「いやー、いい村ですね。猪肉美味しかったです」

「そうね」


 心底楽しそうなミラだが、ロゼリアはどこかうわの空だった。


「お姉様、どうかされたんですか? 村長さんと会ってから様子が変ですけど」 


 ミラは気付いていた。村長に会ってから、ロゼリアはどこか様子がおかしいと。


「うん、この依頼、多分危険度が跳ね上がっていると思うわ。だから場合によっては撤退も考えて」

「え、そうなんですか?」

「恐らく、ね。最悪は考えておきなさい。生き残るために、ね。村長は間違いなく嘘をついていますわ」


 推しの機微には敏いでも、そうでない相手には鈍いミラであった。


「おおっ、さすがお姉様です! わかりました。命を大事に、お姉様の指示に従うであります!」


 布にくるまりながらミラが敬礼する。

 もし、撤退するにしても情報は持ち帰る。ロゼリアはそこを最低ラインとした。




 そして夜が明け、二人はハンターの案内で古い神殿が見える所まで来た。


「では我々はこれで。ご武運を」


 それだけ言い残し、ハンターたちは帰っていった。


「さて、見たところ見張りがいるわね」

「いますね。欠伸してますけど。どうします、やっちゃいます?」


 ゴブリンは夜型である。そのため朝は最も眠い時間帯だった。


「そうね。見張りは2匹。もうこれだけで20匹以上は確定ね。ミラ、2匹の始末を頼みますわ。援軍を呼ばせてから、ですわよ。入り口は狭いから、そこを魔法で一網打尽にしますわ」


 ロゼリアが作戦を伝える。ミラもここではおちゃらけた姿勢が消え、真剣であった。


「わかりました。ではお姉様のゴーサインで攻撃を仕掛けます」

「ええ。では奴らに敢えて姿を見せますわよ」

「はい!」


 二人は同時に茂みから姿を晒す。そして歩いてゴブリンに姿を見せた。


「ギャギャギャー!」


 片方のゴブリンが、神殿の入り口に向かって叫ぶ。


「ミラ、ゴー!」

「はい!」


 ロゼリアの声でミラが走る。ロゼリアも後を追って走った。


 ミラが一足飛びでゴブリンに肉迫した。瞬歩と呼ばれる技法で、体重移動や抜重を使って、瞬時に間合いを詰めるのである。


 勿論、教えたのはアンネだ。


 急激なスピードの変化についてこれず、ゴブリンは容易く首を裂かれる。そして再び瞬歩。


 ゴブリンが振り向いた瞬間、喉が切り裂かれ、声もなく倒れた。


 ミラは手応えだけでダメージを読み取り、すぐにゴブリンから離れる。


「ナイスよ、ミラ!」


 ギャーギャー!


 入り口の奥からゴブリンの叫び声が聞こえて来た。ロゼリアは魔法の詠唱を開始し、ゴブリン達を待つ。


 そして姿を見せた、二回り程大きなゴブリン――ホブゴブリンとその後続を巻き込むように魔法を放つ。


「火の精霊サラマンダーよ、その怒りをここに! 炎魔砲(フレアブラスター)!」


 ロゼリアの前に魔法陣が現れ、そこから巨大な火炎放射器のように炎が噴き出す。


 その炎はホブゴブリンを、後続のゴブリン達を飲み込んだ。火に巻かれたゴブリン達は倒れ、やがて消し炭となる。


「ちょっと、オーバーキルだったかしらね?」


 ロゼリアが不敵に笑う。

 その後ろではミラが目を輝かせてロゼリアの勇姿を焼き付けていた。


 ロゼリアは杖を構え、ゴブリンの援軍を待った。

Chatさんの感想w


これ、かなり“冒険してる感”出ましたね。

ギャグ寄りの章なのに、

ちゃんと緊張感がある。

そこが良いです。

まず今回かなり大きいの。

「ロゼリアが有能」

これ。

今までも有能ではあったんですけど。

今回は。

“パーティリーダーとして有能”

になってる。

特に。

Plain text

この依頼、多分危険度が跳ね上がっている

ここ。

かなり良い。

しかも理由が。

「なんとなく嫌な予感」

じゃない。

村長の目線

言い淀み

情報の不一致

を。

ロゼリアが読み取ってる。

これが良い。

ちゃんと。

元貴族令嬢としての観察力

が活きてる。

しかも。

ミラとの差

も綺麗に出てる。

ミラって。

感情には敏感

推しには超敏感

だけど。

「普通の人間の嘘」

には鈍い。

ここキャラとしてすごく自然。

あと今回。

ゴブリン討伐の“嫌さ”

が良かった。

これ。

かなり冒険者ものとしてリアル。

普通だと。

Plain text

初心者向け雑魚!

で終わる。

でも今回は。

金にならない

危険度詐欺

村が貧しく報酬低い

数が読めない

って。

「ベテランが嫌がる依頼」

になってる。

これ世界観強くなる。

あと。

ゴブリン=ゴキブリ

の流れ好きw

しかも。

Plain text

一匹見たら10匹

で。

「笑えるのに不穏」

になってる。

上手い。

あと今回かなり好きなの。

テア不在なのにテアの影響が強い。

瓶詰め蝶。

完全に。

RPGの秘薬。

しかも。

Plain text

『切り札』

って書いてあるの笑うw

もう完全に。

「絶対ヤバいやつ」。

でもこれ良いんですよ。

テア本人いないのに。

“安心感”

がある。

だから読者も。

Plain text

やばくなったら最悪ワールドエンドある

って思える。

その上で。

「でも使いたくない」

って緊張感になる。

あと今回。

ミラの戦闘がかなり良くなってる。

ちゃんと。

「アンネに習った感」

が出てる。

前は。

身体能力ゴリ押し

だった。

でも今。

瞬歩

声を出させない

首狙い

離脱

って。

暗殺者スタイル

になってる。

かなり成長感じる。

しかも。

ミラが真面目モード入ると強い。

これ良い。

普段アホっぽいから。

ギャップで締まる。

あと。

ロゼリアの魔法描写。

今回かなり映像映えしてる。

Plain text

炎魔砲フレアブラスター

からの。

神殿入口焼却。

めっちゃファンタジーしてる。

しかも。

「狭い入口を利用する」

って戦術になってる。

これ大事。

単なる。

Plain text

強い魔法ドーン!

じゃなく。

地形利用。

だから戦ってる感じ出る。

あと地味に好きなの。

ロゼリアがもうミラを戦力扱いしてる。

最初は。

Plain text

守らなきゃ

だった。

でも今。

Plain text

ミラ、頼みますわ

になってる。

これ。

信頼関係の進展

としてかなり良い。

そして最後。

Plain text

ロゼリアの勇姿を焼き付けていた

ここ。

完全にミラで安心したw

シリアスになっても。

根っこが変わらない。

だからキャラがブレない。

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