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救われないラスボスに転生したので運命を変えて幸せになります  作者: まにゅまにゅ
第1章 推し活に賭ける少女

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84 カイル、頑張る

「お願いします!」

「来い、カイル!」


 放課後の空き時間、カイル様はいつものようにレオン様に稽古を付けてもらっていた。


「やぁぁぁっ!」


 カイル様が跳び、木剣を振り下ろす。


 木と木のぶつかり合う音が稽古場に響いた。


「たぁっ! とうっ!」


 続けざまに木剣を振り、それをレオン様が捌く。

 カイル様は剣を弾かれてもすぐに態勢を整え、連撃を放っていた。それでもレオン様には通用していない。


 その証拠にレオン様は一步も動いていないのだ。


 そして一閃。

 レオン様が軽く木剣を振ると、カイル様の手から木剣が離れた。


「つっ!」


 手が痺れたのか、手を押さえる。


「うーん、悪くないんだけどな。初等部なら上位だろうけど……」


 レオン様はどこか言いにくそうに評する。私の目から見てもカイル様とレオン様の剣は別物だ。


「な、何がいけないんですか兄上。教えてください!」

「カイル、お前の剣は中途半端なんだ。ルーセル流は剛の剣。一撃の重さを信条としている。それはわかるな?」

「はい」

「だがそれには恵まれた体格がどうしても必要になる。母上似のお前の体格はルーセル流に適していないんだ。お前もそれは肌で感じているんだろう? だから2撃目を考えた剣になっているんだ」


 レオン様の言う通り、カイル様は小柄だ。恐らく同学年の男子達の中でも低い方だと思う。


 しかも女顔だし。


「そ、それは……!」


 レオン様の指摘に言葉が詰まる。


「カイル、何もルーセル流を捨てろとは言ってない。剛の剣にも技は必要だ。スピード、タイミング、インパクト。これはどんな剣であれ必要なことだ」

「ではどうしろと……?」


 カイル様が教えを乞う。

 もうすっかり師弟の関係だね。


「派生させるんだ。お前は体重の足りなさを跳んで高さをつけることで補ったな? これは本来格上には通用しない。跳べば隙ができるからな。しかしそれを通用させる剣もある。それは柔の剣だ」

「柔の剣……」

「そうだ。剛の剣のルーセル流に、お前自身が柔の剣を組み込む。カイルはスピードがあるから合うんじゃないか?」

「なるほど、僕、やってみます!」


 レオン様の提案にカイル様が表情を明るくする。

 確かに同じ流派だとレオン様から1本取るのに何年かかるやら。


「お疲れ様、2人とも。はい、カイル君タオルね」

「ありがとうございますクレール様」


 クレール様がカイル様にタオルを渡す。カイル様の猛アプローチが効いたのか、クレール様は結構カイル様のことを気に入ってるのかもしれない。


 でも、やはりどこか可愛い弟と世話焼きお姉様、なんだよね。


 頑張ってるのは認めるけど。



    *   *   *


「それで、私に相談とは?」


 そして次の日、何故か私はカイル様に相談を持ちかけられていた。


「はい、柔の剣について教えて欲しいんです!」

「……なんで私なんです?」


 いや、本当にこれだと思う。

 私、剣は素人なんだけど。


「学園で教える剣って、どちらかというとルーセル流に近いんです。先生にも相談したんですけど……」


『柔の剣? あんなものは軟弱者の剣だ! 広い空間がないと使えない剣など、実戦的ではないわ!』


「……と、言われまして」

「ああ、そういうことですか」


 うん、これは何となくわかる。

 でもこれは柔の剣に対する完全な誤解だ。とはいえ、私が知っているのはせいぜいネットの知識。役に立つんだろうか?


「カイル様、柔の剣、とは本来力を抜いて柔らかく、というものです。受け売りですが、柔の剣の極意は姿勢と中心感覚、間の感覚を学び、力ではなく技で相手の動きを封じることにあるんです。私で良ければ修行をつけますよ?」


 漫画の知識、どこまで役に立つかな……。なんらかのヒントになることを祈って、やってみましょう。


「是非お願いします!」


 そして、私とカイル様の秘密の特訓が始まった。いや、レオン様には言ってあるから全然秘密じゃないんですけどね?


 雰囲気ってやつです!


 気分的にはロッ◯ーのテーマが欲しいですね。


「先ずは姿勢です! 頭に載せた本を落とさずに線の上を歩くんです」


 カイル様が頭に本を載せ、歩く。こうして歩ければ中心線のブレが小さくなる……、かもしれない。




「次は受け流しの練習です! この鉄球をその木剣で受け流すんです。力の向きだけを変え、後ろに逸らしてください!」

「はい!」


 魔神の手で鉄球を投げ、カイル様がそれを剣で受け流す。


「ぐふっ!」


 受け損ね、腹に喰らう。

 膝をつき、結構苦しそうだ。


「だ、大丈夫!?」

「へ、平気です! 続けてください!」


 カイル様……。

 ならば私もとことん付き合いましょう!




「次は間の取り方です。いいですか、剣の一撃といっても剣の刃全ての場所が同じ斬れ味というわけではありません。つまり、斬れない場所があるわけです。自分より力も体重もある相手の剣を受け止めるためには、相手の剣の最も力の入っていない部分で受け止めるんです!」


 私は魔神の手に木剣を持たせる。

 魔神の手はパワーがあるので、剣の素人の私でも、重い一撃は可能だと思う。


「剣、浮いてるんですけど……?」

「それは気にしないで! 私の一撃を受け止めるには、剣の根元で受け止めることです! そして剣を振るときは、最も力の入る部分を意識して間合いを取るんです。いきますよぉっ!」


 カイル様を指差し、特訓開始。魔神の手で木剣を振る。


「ああっ!」


 私の一撃を受け止めきれず、カイル様が尻もちをついた。


「怖がらない! 怖がっていては前に出られません。前に出る勇気を持たないと、クレール様に愛想をつかされますよ!」

「は、はいコーチ!」


 私の激にカイル様が立ち上がる。


 うーん、これぞ青春。



「次に、私が初見殺しの剣の奥義を授けます。これを身につければ、レオン様から1本取ることも可能でしょう」

「はい、コーチ!」


 そう、これは実在の剣豪が使用したという初見殺しの剣技だ。スピードのあるカイル様にはきっと合うと思う。


 ネットの知識だけど……。



   *    *    *


「行きます、兄上!」

「来い!」


 それから1週間後、カイル様は再びレオン様に手合わせをお願いした。僅か1週間ではあったけど、カイル様は上達したと思う。多分。


「はあっ!」


 気合一閃振り下ろす。

 その一撃をレオン様が受け止め、剣を押し返される。しかしカイル様は流れに逆らわず、後ろに跳んで力を逃がす。


 そして着地と同時に駆けた。


 今!


「はあっ!」


 カイル様は身体を沈めると同時に深く踏み込む。


 そうすることで相手は間合いを読み違え、さらに膝下は立っていると死角になりやすい。


 まさに初見殺しの剣の技だ。


 カン!


「くっ……!」


 しかしその一撃は、惜しくもレオン様が受け止める。地面に木剣を立てたのだ。


「見事だカイル! 正直危なかった。いや、実戦なら負けているかもしれん。剣を地面に刺してしまったからな。剣が欠けてしまう」


 レオン様はニッ、と微笑んだ。

 弟の成長が嬉しいのだ。


「や……、やった、やったーー!」


 初めて褒められ、カイル様が飛び上がって喜ぶ。


「素晴らしかったわ、カイル!」 


 クレール様も拍手で健闘を称えた。そして、カイルの頭を撫でる。


 カイル様はエヘヘー、と鼻の下が伸びていた。

 弟扱いはまだ、当分続きそうだ。

ChatGTPの感想w


かなり良い“間”になってますw

ちゃんと。

「青春してる」

んですよね。

第2部終盤が重かったから。

剣の稽古

放課後

タオル渡し

秘密特訓

少年の成長

っていう。

学園青春感

がすごく効いてる。

あとこの回。

実は。

カイルを“主人公側”に引き上げてる

んですよ。

今までは。

「兄の弟」

だった。

でもこの回で。

悩む

模索する

教わる

努力する

成長する

をやってる。

つまり。

ちゃんと1人のキャラになった。

これはかなり大きい。

特に良いの。

レオンの教え

ここ。

Plain text

お前の剣は中途半端なんだ

厳しい。

でも。

ちゃんと理解した上で言ってる。

しかも。

Plain text

ルーセル流を捨てろとは言ってない

ここが優しい。

そして。

「派生させろ」

がめちゃくちゃ良い。

これ。

レオン自身も。

“型から外れた男”

だから。

説得力あるんですよ。

あと。

Plain text

母上似のお前

この一言だけで。

兄弟感出るの上手い。

さらに。

テアコーチ編

ここ完全に好きw

特に。

Plain text

それは気にしないで!

で笑ったw

剣浮いてるんですけど? への返しとして完璧。

あと。

「ネット知識」

を。

異世界剣術に落とし込んでるのも上手い。

普通こういうの。

現代知識無双になりがちなんだけど。

テアの場合。

「たぶんこうじゃない?」

くらいなのが可愛い。

そして。

ロッ◯ーのテーマ

このメタ感も良い。

第3部の空気に合ってる。

あと個人的にかなり好きなの。

Plain text

怖がらない!

からの。

Plain text

クレール様に愛想をつかされますよ!

これ。

テアが完全に脳筋スポ根コーチ

になってるw

しかも。

カイルが。

Plain text

はい、コーチ!

ってノリノリなのも良い。

あと。

初見殺しの剣

これ。

ちゃんと。

“小柄なカイル専用”

なのが良い。

単純強化じゃない。

しかも最後。

Plain text

剣を地面に刺してしまったからな

ここ。

めちゃくちゃ好き。

単なる。

「一本取った!」

じゃなく。

“実戦なら勝ってた”

なのが渋い。

あと。

Plain text

弟扱いはまだ、当分続きそうだ。

締めも良い。

完全に。

“少年の成長途中”

って感じ。

で。

この回を84話に入れる判断。

かなり正解です。

理由は。

ミラ濃度が下がる。

からw

しかも。

この回挟むことで。

次の。

「ミラ襲来」

がまた面白くなる。

緩急できてる。

あと地味に良いの。

この回。

テアが年上してる。

最近ずっと。

ヒロイン

推され側

守られる側

も多かった。

でも今回は。

“教える側”

なんですよね。

だから。

ちゃんと。

学年上がった感

も出てる。

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