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救われないラスボスに転生したので運命を変えて幸せになります  作者: まにゅまにゅ
第3章 決闘の果てに

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75 護る者、斬る者

「あああああっ!!」

「ロゼリア!」


 お姉様がロゼリア様の救護に向かう。


「聖女を実験体というのも乙かもしれませんねぇ」


 レドウィックが再び槍を飛ばす。


堅牢なる盾(ハイプロテクション)!」


 お姉様が強固な盾で迎え撃つ。


 ギィン!


 槍は角度を変え後ろへ逸れる。

 上手い!

 弾き返すんじゃなく、角度を調整して後ろに逸らした!


「ほほう、見事見事。では、今度はどうですか?」


 無数の銀の蝶が槍へと姿を変える。


 ――まずい!


水球(ウォーターボール)!」

凍結(フリージング)!」


 クレール様の大きな水球がロゼリア様とお姉様の前に出現する。それをお姉様が氷結魔法で凍らせた。


「ほらほらほらほらほら!」


 レドウィックが20本程の槍を射出させる。それらは凍らせた水球に阻まれ、角度を変えてあちこちに飛んでいった。


「テア様!」


 ロゼリア?

 そうか!


 魔神の手4本で凍った水球をキャッチ。そのままレドウィックに向かい投げつけた。


「ちっ!」


 レドウィックは素早い動きで氷球を避ける。氷球は地面に食い込み、土砂が跳ねた。


「おおおおおおっ!」


 地上に降りていたレオン様が一気に間合いを詰める。振り下ろされた剣を槍で受け止めた。


「ぬうううん!」


 槍を振り抜き、レオン様が後ろに跳んだ。それを追撃するように槍を投げつける。


 槍はレオン様の頬を掠め、後ろへ逸れた。


「なんてパワーだ」


 レオン様も攻めあぐねている。


 ――殺さないようにと加減していては死ぬぞ?

 お前以外の誰かが、な。


 確かに……。


 なら終わらせよう。

 この手を、穢すことになっても!


「破滅へのプレリュード……」


 白い翅を紅い翅へと変える。

 こうなったときの終わる世界(ワールドエンド)の威力は先程のとは桁が違う。


 無数の紅い蝶が生まれ、レドウィックに向かって飛び立つ。


 レドウィックは銀の蝶を増やしていった。


「終焉と為せ、終わる世界(ワールドエンド)!」


 紅い蝶は地獄の業火となり、レドウィックを襲う。


「致し方なしか」


 なんと、レドウィックは己の身体を銀の蝶で覆い、突撃してきた。

 そして、レドウィックが地獄の業火を突き抜ける。


 うそっ!?


 確かにそれなら炎に触れるのは一瞬で済む。でも普通やる!?


 残った銀の蝶が槍へと姿を変える。

 魔神の手!――


 間一髪!


 魔神の手で攻撃を逸らし、私は左に転がる。


「やるな」


 紅い蝶は全て燃えてしまった。家が氷だったおかげで、火事にならなかったのは幸いか。


 だがレドウィックも無傷ではない。そこかしこに火傷を負っている。


 多少はダメージがあったのか、私は態勢を整える間があった。


「ふぅ、痛いな。これは火傷というやつだな」


 だから無表情で言わないで!

 不気味すぎるから。


「テア、俺がやる。君は下がって」

「レオン様、でも……!」

「白い蝶で堅牢なる盾(ハイプロテクション)を用意してくれ。あちこちにな」


 レオン様が剣を構える。


 あちこちに……?


「ゆくぞ! 身体強化(ブースト)!」


 レオン様が前に出る。身体強化をかけて一足飛び。しかし真っ直ぐ向かわず斜め方向だ。


 そういうことか!


堅牢なる盾(ハイプロテクション)!」


 2人の周りを白い蝶が囲う。そして魔法が発動。2人の周りのそこかしこに小さな魔法の盾が生まれた。


 念のためレオン様の側にも蝶を侍らせる。


「全方位射出用意……」


 レドウィックが自分の周りを槍で覆う。

 あれじゃ近づけない!


 レオン様が後ろに飛び、魔法の盾を蹴る。


 レオン様が何をするかわかった!



滑空(グライディング)!」


 レオン様が1本の槍となり、レドウィックに真っ直ぐ突撃する。その周りを白い蝶が堅牢なる盾(ハイプロテクション)で覆った。


「射出!」


 無数の槍が飛び出す。


 私も堅牢なる盾(ハイプロテクション)で槍を防ぐ。


「ぐはあっ!?」


 レオン様の剣が無数の槍をかい潜り、レドウィックの腹を貫いた。


 まさか身体を真っ直ぐにして当たる面積を減らすなんて……。


 正直無茶だと思う。


 着地したレオン様が剣を抜く。


 そして――


 レドウィックの、首を跳ねた。


 レドウィックが膝をつく。

 そして、前のめりに倒れた。


 言葉を、発することなく。


 レオン様が剣をひゅん、と振り、こびりついた血を散らす。そしてハンカチで拭うと、鞘にしまった。


「みんな、無事か?」

「は、はい。無事です……、っていうかレオン様は大丈夫なのですか!?」


 堅牢なる盾(ハイプロテクション)で頭を守んなきゃ死ぬとこだったと思う。


「まぁな。テア、こいつのことは気にしなくていい。こいつは、救えない」


 レオン様……。


「そうそう、気にしなくていいわ。それより中に入るわよ。レオン、先頭はよろしくね」


 お姉様も。私がどう思ってたかお見通しらしい。


「ああ、任せろ」


 レオン様が扉を開ける。

 その先にいたのは――


 メイド?

 それに執事さん?


「なんて酷いことを……!」

「あ、あなた達……!」


 その光景を見た瞬間、クレール様が眉間にシワを寄せる。

 ロゼリア様は口元を両手で覆い、膝をついた。


 そこにいたのは――


 まるで人と悪魔を無理矢理接合させたような、変わり果てた使用人達だった。

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