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救われないラスボスに転生したので運命を変えて幸せになります  作者: まにゅまにゅ
第3章 決闘の果てに

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70 氷結の女王

「聖堂騎士団だ! 異端者マリーヌ•ド•エンゾを出せ」


 聖堂騎士団がエンゾ伯爵の邸宅に突入する。


「おやおや、これは皆さんお揃いで。いったいどうされたのです?」 


 2階のバルコニーからオルクス•ド•エンゾが姿を見せた。でっぷりした身体を揺らし、禿げ始めた頭頂部がぬらぬらと光っている。


「オルクス•ド•エンゾ。長女マリーヌはどこだ!」

「マリーヌですか? おい、どうやらお前を探しているようだぞ」


 聖堂騎士団の要求にオルクスは余裕の笑みで従う。そしてマリーヌがその姿を見せた。


「あら、こんなに大勢で押しかけるなんて。なんの御用かしら?」

「マリーヌ•ド•エンゾ! 貴様には悪魔と通じた疑いがかかっている。大人しく付いて来てもらおう」


 聖堂騎士団のリーダーが声高に叫ぶ。


「だ、そうよお父様」

「ロゼリアはやはり裏切ったか。仲間にしなくて正解だったな。マリーヌ、こ奴らはお前が始末をつけろ」


 オルクスは特に聖堂騎士団を気にする風でもない。彼らを一瞥すると、興味を失くしたのかサッサと奥へ消えていった。


「出来の悪い妹を持つと苦労するわね。ああ、王子様と結ばれないなんて運命とは残酷だわ! それでも私は愛に殉じましょう」


 マリーヌは芝居のように悲劇のヒロインを演じると、彼らを見下ろしクスリと嗤った。


「な、なんだあれは!?」

「紅い……翅……?」


 マリーヌの背に紅い翅が生まれる。


「うふふ、それでは皆さん、さようなら。貴方たちに死という名の永遠の子守唄を……」


 その紅い翅から無数の青い蝶が羽ばたく。それらは屋敷の中を飛び交いながら聖堂騎士団を襲った。


「氷に抱かれ眠るがいい、氷結の子守唄(フリーズ•ララバイ)!」


 青い蝶が触れた所から、騎士団員の身体を凍らせていく。


「な、なんだこれは!?」

「か、身体が……!」


 凶悪なまでの冷気に包まれ、聖堂騎士団員達が凍りついていった。

 懸命に逃げようとするも、体温を奪われ身体が動かなくなる。そうして1人、また1人と氷の彫像と化していった。


 そして5分と経たず、屋敷の1階には無数の氷の彫像が残される。


「うっふふふふ。ミシェル様も私の愛で凍らせて差し上げましょう。そうすれば、もう、誰にも奪えない。ミシェル様は永遠に私のもの……」


 出来上がった氷の彫像を見下ろし、マリーヌは狂気に満ちた目で口元を歪ませた。

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