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救われないラスボスに転生したので運命を変えて幸せになります  作者: まにゅまにゅ
第3章 決闘の果てに

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64 蝶はもう引き下がらない

 後日、正式な裁定が生徒会より貼り出された。裁定は初等部高等部それぞれの校舎の玄関口に貼り出される。そして、その高等部玄関口では2人の当事者が相対していた。


「この勝負、私の負けです」

「そう……、ですわね。正直勝った気がしませんけど」


 クレール様は腕を組み、神妙な顔で潔く負けを認めている。かなり悔しいのか唇を噛み締めていた。


 ロゼリア様も俯き、ため息をつく。


「あら、そう? 実はね、お父様には経緯を説明して婚約破棄をお願いしたんだけど……」


 クレール様、どこかニコニコしてるんですけどこれは……。


「したんだけど?」


 ロゼリア様が顔を上げる。私もしっかり傾聴。


「家同士の約束を今さら無かったことにはできない、って」


 やっぱりか……。


「納得……、いきませんわ!」


 ロゼリア様がぐわーっ、と鬼の形相で叫ぶ。私だってあわよくば、っていう期待はあった。ただ、その場合私にその権利があると主張するのはおかしい気がする。


 だから、この決闘の結果がどうであれ、受け入れるつもりだ。


「でも、他にも重要な問題があるのよね……」

「そう、ですわね……」


 2人の視線が私に注がれる。

 ロゼリア様は最初っから知っていたけど、クレール様は知らなかったそうだ。


 それで、私の想いは図らずも高等部全生徒にバラされたわけですね?


「おい、レオンの奴、初等部の白い蝶にまで手を出してたのかよ!」

「女の敵、女の敵だわ!」


 周りの生徒達が騒ぎ出す。

 レオン様、私が付いているので強く生きてくださいね……?


「知らなかったこととはいえ、これでは私が悪者になってしまいます」


 クレール様がいかにも困りました、という風に頬に手を当て、ため息をつく。


「今さらでは? 私というライバルがいるというのに、家の力で無理矢理婚約者になったのは事実でございましょ?」


 そこをロゼリア様が皮肉る。これは根に持たれても仕方ないと思うな。


 私も同感だし。


「あら、貴方だけでしたら負ける気がしませんでしたし」


 クレール様は余裕の笑みでロゼリア様を見つめる。この2人、案外仲がいいのかもしれない。


「ふん、そう言っていられるのも今のうちですわ! 貴族家の当主が愛人を作るなんて、別に珍しい話ではありませんわよね?」


 うん、これって私もお姉様に言われたんだよね。問題がないわけじゃないけど、残された道はこれしかない。


「何が言いたいのかしら?」

「あら、言葉にしないとわからないなんて、とぼけてらっしゃるのかしら」

「お二人ともそのへんで」


 醜い争いにはしたくないんだけどなぁ……、と思い止めに入る。

 それが、新たな燃料の投下になりましたけどね?


「テアさん、貴方はどう思ってらっしゃるのかしら?」

「私もロゼリア様と同じ気持ちです。それが幸せな愛の形なのかどうかはわかりませんが……」


 私は一度息を吸う。

 そして2人を見て答えた。


「もう、自分の気持ちに嘘をつくのは止めたんです」


 これは宣戦布告だ。

 たとえ婚約者の座を渡しても、レオン様の“心”は渡さない。たとえ報われなくてもいい。


 人からどう思われようと関係ない。大切なのは自分の心だと、教えられたから。


「これは……」

「厄介なライバルの出現ですわね」


 2人が私を見据える。

 もう動じませんけどね、その程度では。


「ロゼリア様のお陰です。ロゼリア様の行動が、私に勇気をくれたんですよ?」


 私はクスクス笑い答える。

 気分は悪役令嬢だ。


「……藪蛇でしたわね」


 ロゼリア様が頭を抱える。


「アドリアンは振られちゃうのね……」


 クレール様はよよよ、と泣く振りをした。危機感ないのかな?


「ごめんなさい、ですね。問題がないとは言いませんが、それでもこの気持ちを諦めるつもりはありません」


 だから私は覚悟を示す。ニッコリ笑って、さも当然のように。


「ですので、本当の勝負はここからですよ? お覚悟を、クレール様、ロゼリア様」


 私はペコリ、と挨拶をすると悠々とその場を立ち去った。向こうではレオン様を非難する声が続出していたけど、こじれたのはレオン様にも責任があると思う。


 その場にいないあたり、逃げたんだろうなぁ。

「誰かレオン連れてこい!」って叫んでたし。


 レオン様が完璧じゃないと知って、それがかえって愛おしく思えてしまったから不思議だ。

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