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救われないラスボスに転生したので運命を変えて幸せになります  作者: まにゅまにゅ
第3章 決闘の果てに

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62 羽化

「破滅へのプレリュード……!」


 無数の紅い蝶達を喚び出す。


「終焉と為せ、終わる世界(ワールドエンド)!」


 無数の紅い蝶が飛び交い、異形の悪魔たちを襲う。紅い蝶が炎を纏い、異形の悪魔達を次々と燃やし尽くす。


 断末魔の悲鳴をあげながら燃え落ちていく悪魔達。


 それでも悪魔達は私を無視して――


「お姉様危ない!」

「!」


 会長を治療中のディアーヌお姉様に向かっていった。


「破滅の爪牙!」


 魔神の手を向かわせ、悪魔を切り倒す。


「お姉様、早く会長を!」

「え、ええ!」


 悪魔達の殆どがこちらに来ている!?

 お姉様を庇うように悪魔達に立ち塞がる。しかし数が多すぎる!


「破滅の爪牙!」


 近づく悪魔達を次々と魔神の爪で切り裂いていく。それでも数が減らない。

 近距離過ぎて終わる世界(ワールドエンド)をぶつけることもできない!


 まずい、防ぎ切れない……!


 このままだと数に押される!


「舞え、蝶達よ! 炎の壁(ファイアーウォール)


 紅い蝶達が燃え上がり、後続を分断させる。


 後は手数で!


「いっけぇ! 爪牙乱舞!」


 魔神の手総出で手当たり次第に悪魔達を引き裂く。


「テア様、上です!」


 アンネの声に上を見上げる。


「……!」


 炎の壁を越え、禍蛇の(あぎと)が迫っていた。


 だめ、間に合わない!


 そう思った瞬間、禍蛇の頭が蹴り飛ばされ軌道が逸れる。


「きゃあっ!」


 禍蛇の首がお姉様のすぐ横の地面に激突した。


「逃げるんだディアーヌ!」


 この声は――


「ええ、助かったわレオン。会長、動けますか!?」

「あ、ああ。なんとかな……」


 禍蛇が態勢を整える前にお姉様と会長が立ち上がり、走り出す。


 すると、それを追うように悪魔達が群がり始めた。私に向かっていた悪魔達までもが私を無視し、舞い上がる。


 間違いない、こいつらの狙いは――


 聖女(お姉様)


浄滅(アニヒレーション)!」


 お姉様が神聖系魔法を行使する。

 白い光の柱が悪魔達をまとめて滅ぼした。


 凄い!――


 あれが、神聖魔法……!


 見惚れている場合じゃない、この禍蛇を早くなんとかしないと!


 禍蛇が鎌首を地面から引っ張り出し、お姉様に目を向ける。


「あなたの相手は私です!」


 魔神の爪で禍蛇を引っ掻く。しかし鱗が硬いのか、傷が浅い。


 どういう鱗してんのよ!?


 禍蛇は私を無視し、鎌首を後ろに下げた。まずい、噛みつくつもりだ!


「終焉と為せ、終わる世界(ワールドエンド)!」


 残った数体の蝶を禍蛇にぶつける。禍蛇の身体が炎に包まれた。


 しかし……。


 すぐに炎が霧散する。あちこちに火傷はあるし、鱗の剥がれた所もあった。


 うん、効いてはいる……。

 でも、なんらかの方法で対処されてるんだ。


「邪魔をするな!」


 禍蛇が尻尾を振り回した。

 それを察し、跳んで躱す。


「爪牙乱舞!」


 すぐに魔神の爪を向かわせ、手当たり次第に引っ掻く。鱗の無い腹の部分から緑色の血が噴き出した。


 そのまま飛翔し、お姉様とレオン様の立つ位置に着地する。


「テア、助かったわ。レオンも」

「礼は終わってから聞く。それよりも……」

「先ずはこいつらを何とかします!」


 3人が背中を預け合うように立つ。

 そして……。


浄滅(アニヒレーション)!」

「はあっ!」

「破滅の爪牙!」


 お姉様が魔法で悪魔達を滅ぼす。

 レオン様と私が悪魔達を斬り倒していった。


 悪魔達もかなりの数を減らしている。他の生徒達は殆ど狙われておらず、私達に悪魔達が集中しているようだ。


 それでもあちらこちらに倒れている生徒達がいた。


 気が焦る。

 早く彼らを助けないと――


「どけ!」


 禍蛇が尻尾を振り下ろす。


 まずい!――


 その尻尾を防ごうと全ての腕を総動員させる。


 ズシン!


 激しい地鳴りが大地を揺るがす。


 尻尾が!?


 禍蛇の尻尾は軌道を変え、離れた位置を打ちつける。


「ぬぅん!」


 そこから尻尾を薙ぐように振る。

 巨大な尻尾が私達3人を襲った。


「きゃあっ!」

「くっ!」

「ぐぅぅっ!」



 まとめて吹き飛ばされ、地面を滑る。


「死ねい!」


 禍蛇が鎌首を上げた。


「くっ!」


 レオン様が素早く立ち上がり、私とお姉様を抱える。


 バグン!


 間一髪。


 禍蛇の噛みつきが空を切る。


「平気か、テア!」

「はい、レオン様!」


 レオン様、私を気遣って……。


 トクン――


「わかってる。傷ついた生徒達を助けたいのだろう?」


 この感覚、懐かしいな――


 そう、あれは――


「君は、根っからの治癒師だな」


 レオン様の言葉が、私の中で弾けた。


 この感覚――


 あの時と、同じだ。


 それはまるで、蛹が蝶になるかの如く。


 私の中で、何かが羽化した気がした。


「! これは……」

「白い……、翅……?」


 新しい翅が私に力をくれる……。

 そう、この力は私の願いそのもの。


「もう、誰も傷つけさせない!」


 私の翅から、無数の白い蝶達が生まれた。


 そうだ、この力は誰かを傷つけるための力じゃない。


 大切な人達を、守るための力だ!

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