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救われないラスボスに転生したので運命を変えて幸せになります  作者: まにゅまにゅ
第3章 癒神の手

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21 目が覚めて

「う……ん……」


 目を覚ます。

 塗装された綺麗な天井。

 魔法の光に照らされた部屋。


「……」


 しっかり目を凝らす。

 どう見ても私の部屋じゃない。

 ふかふかなベッド。

 温かな綿の布団。


 どこか懐かしい温もりに身を任せたくなる。


「お目覚めでございますか?」


 女性の声。

 目を向ける。


 ――誰?


 知らない人だ。

 エプロンドレスに身を包んだ女性。


 彼女はベッドのすぐ横に座っていた。


「あの……」

「お目覚めになられましたか。私、ルーセル辺境伯家に仕えるメイドのマリサと申します。テア様のお世話をするよう仰せつかっております」


 マリサさんは静かに立ち上がるとスカートの裾を広げてお辞儀する。


 その仕草はとても優雅で気品があった。


 ふと思い出す。


 そうだ、私は気を失ってしまったんだ。顔が熱くなる。


 よりによってレオン様の前で……。

 とんだ醜態を晒してしまったと恥ずかしくなった。


「あ、いけない!」


 ガバッ、と身体を起こす。


「院長先生の許可はいただいております。どうかそのままお休みください」


 院長が……?

 ちょっと意外だ。


 うーん、いいのかな?

 ロクに休んだことなかったし、好意に甘えることにした。


「後で院長先生にお礼を言っておくことをお勧めします。領主の遣いが来て対応に追われているようですね」


 なるほど、そういうことか。

 あの力は確かに強大だ。領主なら欲しがるかもしれない。


「はい、そうですね」


 院長にはなんだかんだで守られている気がする。

 怒られはしたが見捨てられてない。そんな気がした。


「夕食まで時間がございます。その間の準備の方、お手伝いさせていただきますね」


 マリサさんがニッコリ微笑む。

 なんだろう。

 逃げ場がないような、そんな気がした。





「ふおおおお……、生き返る……」


 風呂だ。

 久しぶりの風呂だ。


「さぁ、肩まで浸かりましょうね~」


 バスタブの中でマリサさんの膝の上に乗せられる。


「はふぅ……」


 その心地よさにため息がこぼれた。


 浄化の力で身綺麗にはできてたが、やはり風呂は命の洗濯だと思う。




 風呂の後にはドレスを着せられた。


 黒を基調とした可愛いドレス。

 髪まで編んでくれた。


 そして薄化粧。


「あら~、素材がいいからやり甲斐あるわ~。とーっても可愛いですよ」


 マリサさんが私を褒めちぎる。

 姿見を見た。


「これ……私?」


 血色の悪さは化粧で消え、愛らしい衣装に身を包んだ私がいた。


 どこのご令嬢?


 と思ってしまうほどの変身ぶりだ。


「で、でもこんな高そうなドレス、私払えません!」


 果たしてこのドレスはいくらするのか。それを考えると怖くなった。


「いえいえ、これはレオン様からのプレゼントでございます。受け取ってくださいませ」


 マリサさんがにこやかに答える。

 ――レオン様から?


 頬が染まるのがわかる。


「あらあら~?」


 マリサさんがクスクス笑う。

 これは……間違いなくバレたかも。


「あ、あの……変じゃ……ないですか?」

「とてもお綺麗ですよ。大変よく似合っております」


少しだけ胸がくすぐったくなる。


こんな風に言われたことなんて、なかったから。


――こんな日が、ずっと続けばいいのに。


なんて、そんなことを少しだけ思ってしまった。


「では準備もできたことですし参りましょうか」

「どこへ……ですか?」


 マリサさんが私の手を引く。


「ふふっ、いいところです。さ、レオン様がお待ちですよ」


 レオン様が……?

 胸の奥が熱くなる。

 心臓の鼓動が速まった。


 マリサさんが私の手を引く。


 部屋を出て外へ向かう。どうやらここは高級なホテルだったようだ。


 出入り口の前には馬車が待機していた。そして見知った顔。


「よう嬢ちゃん」

「久しぶりね」

「元気そうで何よりだ」

「お、お久しぶりです。カインさん、アーネスさん、アルスターさん!」


 再会に嬉しくなり頭を深く下げる。


「それでは護衛の方よろしくお願いしますね。さ、参りましょう」

「はい」


 マリサさんに手伝ってもらい馬車の中に入る。

 御者が馬を走らせると静かに馬車が動き出した。


「どこへ向かってるんですか?」

「領主様のお屋敷です。レオン様もそこに滞在なさっております」

「レオン様も一緒……」


 思わず漏らす。それを見てマリサさんがクスクス笑った。


「ええ、是非にと」


 穏やかな時間。


 そのとき、突如馬車が揺れた。


「きゃあっ!?」


 思わず身が竦む。


「だ、誰だ貴様らはぐわぁぁぁっ!」

「ちっ、嬢ちゃん絶対出てくるなよ!」


 外からは悲鳴。

 金属音。


「な、なに?」


 動揺したまま窓を覗く。

 人の死体。

 血の匂い。


「いけません!」


 マリサさんが私を抱きかかえる。

 これは……いったい……!

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