表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/55

49.サラフィナの魔法

降り続いた雨が久しぶりに上がり、差し込む陽の光に木々の水滴がきらきらと反射する。


サラフィナは兄ティモシーにエスコートされ、馬車を降りた。

淡いすみれ色のドレスは裾にかけて薔薇の刺繍が広がっている。少し派手だが柔らかいデザイン。父と母からの誕生日プレゼントだ。去年のように国宝級の宝石を毎度贈られてはたまらないので、今年は「ドレスが欲しい」と先手を打たせてもらった。


レンリッヒからもプレゼントが届いていた。

「毎年アクセサリーばかりもらっても困るだろ?婚約指輪も渡すんだし」と周りの猛反対を押し切ってレンリッヒが選んだプレゼントはなんと!特注のタコ焼き器だった。

メーター振り切りすぎて逆に惚れ直すわ。

しかし市販では手に入らない一品である。ありがたい。


雨上がりで濡れた足元に気を付けながら大聖堂の控室に入ると……、うん、いますね、オールスターキャスト。皇帝一家とカイザー大公一家勢ぞろい。もうね、招待する、しないの話ではないのよ。参加するのが当たり前。参加しないという選択肢は彼らにはないらしい。


「サラ、誕生日おめでとう。とうとう成人ね。今夜は一緒にワインを楽しみましょうね」真っ先に声をかけるのは皇后キャサリン。

「サラ、今日の装い、とても似合ってるわ。それに魔法!いよいよね。なんだか私もドキドキしてきたわ」キャサリンに続いて声をかけるのは親友のリリアナだ。


「サラ、おめでとう!サラらしい、素敵な魔法が付与されますように」

そう話すのはマーガレット。彼女は分家にあたる幼馴染との年内の結婚が決まっている。この結婚によりおばあちゃんになるまで実家の牧場を走り回ることがほぼ決定だ。彼女らしい、ぶれない選択である。


皆から一通りの祝福を受けている間、レンリッヒは黙って控えていた。何を言ってもどうせ他の人にかぶせられるのだ。だったら最後に祝福をする方がいい。この1年半、少しは学んだレンリッヒだった。ようやくみんなからの祝福の言葉が一段落し、レンリッヒが一歩前へ出た。

「サラ、今日は本当におめ……」「お時間にございます。皆さま大聖堂へ」

残念、時間切れ!



あの日と同じように、ステンドグラス越しに日差しが差し込む。


レンリッヒは自分の時の数百倍緊張していた。

どのような魔法が付与されようとかまわない。サラはサラなのだから。

それでも、少しでもサラの笑顔につながる魔法であったらいいな、そう心から願うレンリッヒだった。


一方、当事者のサラフィナは、やばいほどわくわくが止まらない。

だって魔法である。ほんの少しの水魔法かもしれない。それでも魔法だ。数分後には自分は何らかの魔法を得ているのだ。心躍るってものでしょう。


サラフィナが中央の祭壇前に跪き、12時の鐘が鳴る。

サラフィナの体が白い光に包まれた。


そして浮かび上がる文字。


付与魔法:収納魔法

東京ドーム3個分。時間停止機能付き。


はぁぁぁぁぁぁ???


「と、東京ドームとは?」

様々な魔法付与式に立ち会い、イレギュラーにも慣れているはずの大司教もさすがに戸惑いを隠せない。


いやいや、ファイス神様って元日本人なの?絶対遊んでるでしょ。

思わず目を合わせるサラフィナとレンリッヒだった。


「東京ドーム3個分とは、皇城丸々一つ分ほどの収納能力があるということだよ」

レンリッヒが答える。


「時間停止機能とは?聞いたこともないが」

あれ?異世界転生ものでは定番なのに、この世界では異色なのね。

「それは、収納した食材はいつまでも腐らず、熱い食べ物を収納すれば熱いまま、冷たい食べ物を収納すれば冷たいまま、いつまでも保存されるというものです」


なんじゃ、そりゃぁぁぁぁ!!!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ