27.第二回合同家族会議
昨日は投稿できませんでした。本日は1話投稿です。
5日後。
皇帝皇后、ハルバートとルイポルト、ヴォード公爵夫妻と嫡男ティモシー、そしてレンリッヒとサラフィナが一堂に会した。
「だからって何でうちに来るんだ?今日は最愛の娘の誕生日なんだが」
渋い顔をしたヴォード公爵アンドリューが皇帝ユアンに苦言を呈する。
「だからだろう。会議の後、続けて可愛い義娘の誕生日をお祝いできる」
「サラはおまえの義娘ではない」
「そろそろあきらめろ、アンディ」
やっぱりこの二人、仲がいいような気がする、とひそかに思うサラフィナだった。
「では第二回合同家族会議を開催する」
ユアンが開会の宣言をする。…………ツッコみどころ満載だ。
「レン、この度はルイを助けてくれてありがとう。レンの授かった力の可能性は確かに無限大だと改めて気づかされたよ」
ハルバートが改めて礼を言う。
「だからレンの言いたいこともわかる。分かるが……、ルイと一緒に国外を移動するのはさすがにリスクが大きすぎる。賛成できないな」
平和な時代とは言え、暗殺などが全くないわけではない。皇帝の一人息子と大公の一人息子が連れ立っていれば、狙い撃ちされる可能性は非常に高い。
「レン、お前の考えを言ってみろ」
ユアンがレンリッヒに発言を促した。
「俺の立場はできる限り危険を避けなきゃいけないってことは分かってる。でも、多少のリスクを冒さなければ、世界は広がらないと思うんだ。世界を広げて可能性を広げる、それはこの国にとっても自分にとっても必要なことなんじゃないかな」
だからさ、とレンリッヒは続けた。
自分が同行していることは極秘にし、外交団とは過去に訪れたことのない地域の移動にだけ加わる。日中のみ一緒に動き、その日の宿泊地に到着した時点で自分は皇城に戻る。さらに安全性を高めるため、自分は食事も外交団とは別のものを取り、できる限り皇城で用意してもらう。それでどうだろう、と。
「旅のだいご味は見知らぬ地の宿と料理なのに、残念だなー」
というルイポルトに、ハルバートが力なくつぶやいた。
「旅ってお前……、国の重責を担う外交なんだが」
いいんだよ!世界が広がってしまえばあとはこっちのもんだ!と心の中でこぶしを握るレンリッヒだった。
「船で海を渡らないといけない国はどうするつもりだ?」
ユアンが尋ねる。
「移動している船からの転移はできるけど、その後船に転移で戻ることは不可能だと思うから、船に乗る間だけは外交団と同行することになるかな」
そんなレンリッヒにハルバートは真剣な目で語りかけた。
「皇太子の重責を私が説くのはおこがましいと思うが、これだけは肝に銘じてほしい。何かあった時に最優先すべきは皇太子であるレンの無事だ。ルイを見捨ててでも逃げる覚悟を持ってほしい」
あれ?あれれ?皇太子殿下がこっそり国外に出ることはもはや決定ですか?壁際に控えていた侍従長が崩れ落ちる。侍従長、そろそろ禿げるかも。
「アズマ国の鎖国がとけるといいね」
サラフィナにこっそりささやいたレンリッヒの言葉をアンドリューが耳ざとく聞きつけた。
「アズマ国?アズマ国がどうかしたのか?」
サラフィナとレンリッヒは顔を見合わせてうなずいた。
「私とレンはね、アズマ国の食材に興味があるの。アズマ国との貿易が再会するといいなって思っているし、いつかは行ってみたいと思ってて」
「むぅぅぅ、サラを国外にやるのは賛成できん。しかし、アズマ国か……。近々国交が再会するかもしれんぞ」
え!そうなの??サラフィナとレンリッヒが食いつく。
「あの国は独自の文化を発展させていてな。その分、この大陸より文化面で遅れていることも多いのだ。彼らもそれに気づいていて、このまま鎖国を続けることに懸念を感じているようなのだ。実は今度、アズマ国の密使と会うことになっている」
えーっと、お父様?国の重要情報を家族会議で話してしまってよいのかしら?
いずれにしても思いがけない情報に、心躍らせるサラフィナとレンリッヒだった。




