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朝から来客が絶えません

昨日は白雪姫の専属メイドを一人断罪出来たし、王や貴族達の前で嫌がらせをされたことを告発出来たことで、スッキリとした私はそりゃもう快眠も快眠。


これで私物を盗まれることや嫌がらせはしばらくないだろうといい気分で目覚めた。


ジヴァにホカホカのお湯が入った洗面器をもらって顔を洗い、楽なネグリジェ姿でミントティーを飲みながら優雅な朝をしみじみと満喫していると、それをぶち壊すかのように扉をノックする音が響く。


こんな朝から何の用だというのだろうか?


私はユイに目配せをし、対応するように指示する。


「王妃様への謁見の申請はなかったはずです、誰が来たのか見てきます。」


「頼んだわ、ユイ。」


王妃という職業柄(?)ずっとネグリジェという格好というのもいかないのでウォークインクローゼットの中から良い感じのドレスを見繕い、ジヴァに手伝ってもらいながら着替える。


この世界の貴族が着るドレスとかってメイドに手伝って貰うことが前提の服だから、着るのが面倒臭いのよね…

後ろにあるボタンを止めなきゃいけないタイプのドレスとか……

魔法とかがある不思議な世界なんだから、着やすいドレスとか魔法で発明してくれてもいいのに……


「御髪を整えさせて頂きますね〜」


ジヴァによって髪の毛を整えられた私はなんとか人前に出れる格好となった。


それにしてもなんか部屋の前が騒がしいな……

ユイは中々戻ってこないし、何かトラブルかしら?

でも私が扉を開けて「どうしたの?」って直に聞く訳にはいかないし……


何やら扉の前でユイが怒鳴っている声が聞こえる。

ユイは基本何があっても表情や態度に出ないタイプだ、そんなユイが怒鳴っている。

この扉の向こうで、一体何が起こってるのだろうか?

一体誰が来た?白雪姫に声を荒らげる訳ないだろうし……

耳をすませ、廊下の様子を伺っているとユイが戻ってきた。


「ただいま戻りました、王妃様」


「ご苦労さま…ユイ、あなたの怒鳴ってる声が聞こえたのだけれど一体誰が来たのかしら?」


「王妃様が気にする必要もないただの虫けらですので追い返しました。」


おっふぅ……辛辣ぅ〜!普段無口なユイが虫けらって!

一体誰が来たと言うのだろうか……


コンコンというノック音が部屋に響く。

なんと、また訪問者が来たようだ。


「私が対応しますので王妃様はお部屋でお待ちを。くれぐれも廊下に出ないでください」


え〜!!なに〜!?さっき一体誰が来たっていうの!?

なんかユイから黒いオーラみたいなの出ちゃってるんだけど!?


有無を言わさぬユイの顔の圧に、コクコクと無言で頷く。

ユイはそんな私を見るとコクリと頷き、扉の先へと消えていった。


気になり過ぎる……せめて誰が訪問して来たのか教えてくれればいいのに……


「これじゃあ、食堂での食事は無理そうね……面倒臭いだろうけど部屋に持ってきてもらえるかしら?ジヴァ」


「面倒臭いだなんてそんな!それでは朝食を持ってきますね!」


ジヴァはそう言うと部屋を出ていった。

しばらくするとユイが部屋に戻ってきた。

心なしかさっきより不機嫌そうな顔をしている。

いや、ユイって基本無表情だし、無口だし、感情表現豊かなタイプじゃないから気の所為じゃない?って言われたらそれまでなんだけど。


「ユ、ユイ?」


「なんでしょうか、王妃様」


「なんか……機嫌悪い?」


「いいえ、朝から見たくないものを見てしまっただけですので」


だから一体誰が来たって言うよぉ〜!!気になるじゃな〜い!


「なん……が……に!も……し………けしに……じゃ……で……ね!」

「そ…………あ……こそ!…………さいよ!」


なんか扉の方から女の言い争う声が聞こえる。

おいおいおい……王妃の部屋の前で何を言い争いしてんのよ。

しかも段々口論がヒートアップしてんのか、耳を済まさなくてもめっちゃ聞こえる。


「わ、私はあんたがソワソワしてたから怪しいと思って後をつけてただけよ!」


「嘘おっしゃい!あんただって王妃様にお目通りしに来たんでしょ?昨日のアンみたいになりたくないものねぇ?自白して私たちのことを王妃様に売って自分だけ助かろうって言う魂胆でしょうが!」


「それはあんたのことなんじゃないの?あんたがしようとしてたから私がそういう風に見えるんじゃなくて?」


「な、なんですって!?よく口が回ること……私より下の階級の生まれの癖に生意気だわ!」


「きゃぁぁっ!いたいっ!何をするのよ、このヒステリー女!」


「いった!痛い痛い!やめなさいよ!髪をひっぱるんじゃないわよ、この暴力女!」


「うっさいわね!あんたが先にやったんでしょう!」


これは取っ組み合いのケンカになってそう……

なるほど、さっきの訪問は白雪姫付きのメイドだったのね。

そして追い返したメイドと私にお目通りを頼もうとしていたメイドが鉢合わせしちゃったと……

というか人の部屋の前で何してんだか……取っ組み合いのケンカとか小学生じゃないんだしやめてほしいんだけど。


朝食を運んで来るジヴァが巻き込まれたら可哀想だし、あの二人を止めましょうか。


「王妃様っ!」


「ユイ、あの二人を止めてここに連れて来てちょうだい。これではジヴァが巻き込まれそうで心配だわ」


「…………承知、しました……」


ユイは苦虫を噛み潰したような顔で承諾すると、部屋の扉を開け放ち、取っ組み合いのケンカをしてる2人のメイドの頭に思いっきり手刀を叩き込む。


「あだっ!?」

「いでっ!?」


うわぁ〜……手刀のはずなのにゴチンって拳骨食らわしたみたいな音したんだけど。

さっきまで取っ組み合いのケンカをしていたメイド2人組は手刀を落とされた頭を抑え悶絶している。


そりゃあ痛いよね〜……手刀から出る音じゃないもんね、ゴチンって。

手加減したから手刀なんだろうけど……王族までも暗殺していた蛇の子孫、恐るべし!

敵じゃなくてよかったと心から思うわ。


「王妃様の部屋の前で何をギャーギャー騒いでいる……無礼極まりない。」


「「ひ、ひぃぃぃ……!?」」


さっきまで取っ組み合いのケンカをしていた2人のメイドはユイの気迫に恐怖し、お互いに手を繋いでガタガタと震えている。


「王妃様がお目通りくださると言っている、無礼な真似をしたらさっきの手刀だけじゃ済まさないと思え。わかったか?」


2人のメイドは涙目になりながら一生懸命頷く。


メイドの2人組はお互いに支え合いながら立ち上がるとユイの後ろをビクビクしながらついて行く。


そしてそのメイド2人組は私の前まで来ると床に頭をつけ、土下座をしこれまでの罪を告白し始めた。


「し、白雪姫様は王妃様のことを嫌っておいででした」


「王妃様に嫌がらせをすると、白雪姫様がお喜びになられて……気に入られるために……」


「王妃様に明確な悪意を持ってやったわけではありません」


「私が愚かでした、これまでの無礼を謝罪させていただきます」


「誰がどのような嫌がらせをしていたか覚えています、お望みとあらば書き出します」


「証言も致します……ですから何卒、お助けくださいませ」


このメイド達は自分が助かりたい故に仲間を売るのね……ふふっ、なんとも似た者同士なのかしら。

昨日のメイドの件で白雪姫は守ってくれない、捨て駒の如く都合よく使われて捨てられると察したんだわ。


でも今までやられたことはグリムヒルデの記憶の中にずっとある。

そんな簡単に許すとか言えるわけない。


「別に命をとろうなんて私は思ってないわ……でもあなた達、私の専属メイドを虐めてたわよね?」


「王妃様、こいつら部屋の前にオイルを撒いた犯人です。白雪姫様の部屋に入って行ったから現行犯で仕留め損ねましたが」


なるほどね〜、私は薬を盛られて体調を崩して異常状態にまでなったのに、自分だけは助かりたいと。

なんて図々しいメイド達……


「今の話は私からは王様には言わないでおきましょう……」


「なっ!?」


私の一言にユイは目を見開く。

だが私の視線の先にいる人物を見て納得したのだろう、瞬時にいつもの無表情に戻る。


「ほ、本当ですか!?」


「なんと言うことでしょう!寛大な心の持ち主である王妃様に感謝申し上げます!」


メイド2人組はホッとしたような顔をし、頭を下げる。

あら?私は、私()()王様()()言わないって言っただけだけど?


私以外の口から王様に伝わるのはどうにもできないし……


「まだ話は終わってないわ?私は王様には言わないと言ったけど…あなた達は白雪姫の専属メイドよね?専属メイドがこんな所で油を売ってるというのは関心しないわねぇ〜。これは……白雪姫にお話しないといけないわ」


「えっ!?」

「なっ!?」


メイド2人組の顔が一転して真っ青になる。

人間って顔色がこんなにコロコロ変わるのねぇ、面白いわ。


「勝手ながら話は聞かせて頂きました」


そう言うと騎士団長であるガイゼルが部屋に入ってくる。


「いや〜…盗み聞きをするつもりはなかったのですが、護衛は誰をつけるか決めるなら早い方が良いと思いまして、参った次第なのですが……まさか王妃様を害した者が自供するとは……あのメイドの尋問をする手間が省けました」


その言葉を聞いたメイド2人組はまたもやガタガタと震え出す。


扉を開け放っていたのはこのメイド達と密室にいたくなかったからなのだけど、まさか騎士団長が部屋を尋ねてくるとは思わなかったわ。嬉しい誤算ねぇ……


「この事は私が王様にご報告致しましょう……白雪姫様の専属メイドということで、白雪姫様にも私からご報告させて頂きます」


「あっ、あぁっ……」

「そ、そんなぁ……」


2人組のメイドは私の顔を見ると手を擦り、まるで物乞いのように許しを乞う。


「どうかお許しください、なんでも…なんでもしますからぁ!」


「どうか…どうか、お情けを……!」


メイド達がみっともなく泣き叫び懇願する中、ジヴァが朝食をワゴンに乗せて戻ってきた。


「すみませ〜ん、遅くなってしまって……白雪姫様付きのメイドに王妃様にお目通り出来るように頼んでほしいとしつこく付き纏われまして……ってあれ?なんで白雪姫様付きのメイドが王妃様のお部屋に?あっ、ガイゼル様、お疲れ様です」


「これから朝食だったのですね、これは申し訳ないことを……王様へ報告をしなきゃですし、このメイド達はすでに自供を聞きましたので牢屋に連れて行きますね、ほら!立て!」


「きゃぁぁっ!」

「いやぁぁ〜!」


片手に1人ずつ、まるで子猫を持ち上げるかのように軽々と持ち、ガイゼルは去っていく。


「出直しますので、騎士などの希望がありましたら考えておいてください!」


「え、えぇ……わかったわ。それではまた……」


なんか嵐が去ったような感じね……朝っぱらからなんか疲れたわ。

とりあえず朝食にしましょう!朝ご飯はモリモリ食べないとね?


今日の朝食はなにかしら?




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