最悪の誕生日パーティー
【白雪姫side】
おかしい、おかしい、おかしい、おかしいっ!
今日はあのクソババアに盛大な誕生日パーティーの様子を見せつけて自分はたくさんの人に愛されてるんだって、それに比べてお前は嫌われてるんだってマウントをとってやろうって……
誕生日パーティーが終わる頃に手違いで招待状を渡して来させて、お父様や貴族達に軽蔑した目で見られればいいって……
そう、計画してたいたはずなのに……
全てが上手くいかない!
招待状をもらえなかったから、お母様のお墓にお花を供えて帰る所とか……
なに?お母様が死んだ日に盛大な誕生日パーティー開いてる私をバカにしてるわけ?
なんとか招待状の件を誤魔化すけど、動揺が隠しきれない。
だってこの前まで意地悪そうなメイクした女だったのに、今日のあの女はナチュラルで儚そうなメイクをしていて、物語の中に出てくる妖精のようだった。
おかしいわよ!私が主役なのに!皆この女ばかり見て!
私より注目を集めるなんて許さない!
私は誰からも愛される白雪姫なのよ!?なのに……
お父様が来てからはあの女の独壇場のようなものだった。
メイド長やお母様の護衛をしていた前任近衛兵が尋問室に連れて行かれ、お父様の前で部屋から私物は盗まれていると告発し、私の誕生日は王妃の断罪の場となった。
私付きのメイドが盗んで来た宝石を気に入り誕生日に付けていったら、そのネックレスが王妃が私にプレゼントしようとしていた国宝級のネックレスで、大事になった。
初めて貴族から冷たい目で見られた。
その視線に耐えきれず、ネックレスを持ってきたメイドを指さした。
私は悪くない、私は盗んでないもん!
それに、こんな美しいネックレスをあんな女が持ってるだなんて宝の持ち腐れだもん。
宝石だって私に使われた方が嬉しいに決まってる!絶対にそうよ!
なのに……初めてお父様から冷たい声で謹慎するようにと命令された。
なんで?なんで?なんでなんでなんでなんで?
その女の味方をするのお父様?
結局、その天然オパールのネックレスも私の物にならなかった。
「誕生日プレゼントにケチがついてしまいましたわね……」
と小さく笑うと別の物を用意すると、天然オパールを仕舞ってしまった。
お父様がパーティーに集まった貴族達に解散を告げ、誕生日パーティーは終わった。
貴族達のヒソヒソ話が耳に入る。
そのヒソヒソ話はいつもの王妃を蔑むような言葉ではなく、私への不信感が現れたようなそんな言葉だった。
「一国の姫としての自覚が足りないのでは?」
「一介のメイドさえ御せないとは……」
「素直なのはいい事ですが、これでは先行きが心配ですわ……」
「相手を信じることと、思考放棄は違う……か。白雪姫様には考える力を養って頂かなくてはな」
何よ……何よ何よ何よ何よ!!!
今まで私のことを褒めそやしてた癖に!
逆に王妃を称える言葉が聞こえてくる。
「仕事を放棄した近衛兵のせいで自分の身が危険に晒されたというのに打首を止めるだなんて王妃様の慈悲深さには感服いたしましたよ」
「あの堂々とし王妃様の立ち振る舞いを見ましたか?」
「黒い噂なんて当てにならないものを間に受けていたなんて、お恥ずかしい……」
手の平返しが早いこと……なんて言うことなの!
この半日で王妃の評価がひっくり返ってしまった。
数ヶ月もかけて王妃の株を下げてきたというのに……
私は貴族達の視線とヒソヒソ話に耐えきれず、自室に戻るといそいそと布団の中に潜り込むと、お父様の冷たい声を頭の中から振り払うように布団で耳を塞ぐ。
布団からモゾモゾと顔を出すと私に仕えている専属メイド達が下を向き妙にソワソワしている姿が目につく。
なんだって言うのよ!!!
目障りだったので早めにメイド達を帰す。
「今日はもう疲れたから寝るわ。下がっていいわよ」
「「「承知致しました、お休みなさいませ。白雪姫様」」」
王妃の余裕のある笑みに寒気を覚えたが、深く考えることを放棄した私はその日早めに就寝した。




