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白雪姫に制裁を

「そう言えば……私めもそのようなネックレスを目にしたような気が致します。おかしいですね……この国に1点しかない宝石を見た気がするだなんて……」


「そう言われば私も……なんかついさっき見たような……」


その声を皮切りに他の貴族達からも「見た気がする」という声が上がる。


「これは一体……?どういうことなのでしょうか、王様」


「私にもさっぱりだ……」


貴族の声に困惑する王様と騎士団長ガイゼル。

しかも皆、見たことがあるのにどこで見たのか思い出せない、最近見たような気がすると口を揃えて言うのだ。


皆、全く疑ってない又は疑いたくない人物だからなのか全く出てこない。


だがとうとうその人物の名前が出てくる。


「そ、その……言い難いのですが……白雪姫様がつけてるそのネックレス……王妃様が言う特徴のネックレスに似ておりませんか?」


貴族の男性のその一言に王様とガイゼルの声が被る。


「な、なんだと!?」


「なんと!!」


「ふぇ!?そ、そんな……私、お義理母様の物なんて盗んでなんかいません!!」


慌てて白雪姫は否定し、ネックレスを手で握るように隠す。


「では……こう致しませんか?白雪姫の身の潔白を証明する為にもフォックスに見定めて頂くというのは。別物であれば身の潔白は証明されますし……疑いの目を向けられるのは辛いですから……そのような目を向けられる辛さはわかっているつもりです」


「うむ、王妃の言う通りだ。白雪姫よ、そのネックレスを見せてくれるか?」


父でもある王様にそう言われ拒否出来る訳もなく、素直にネックレスを差し出す白雪姫。

私じゃこうはいかないよね、ナイスアシスト王様!

実の娘と(規約の為ピー音)をするのはどうかと思うけど助かります!


「フォックスよ」


「は、はい、お預かり致します!」


王様からネックレスを預かると、フォックスはルーペで宝石を鑑定し始める。


「ど、どうなんだ!」


王様がフォックスに返事を急かす。


「そ、そうですね……これは間違いなく私が王妃様に販売させて頂いた天然オパールの宝石に間違いありません」


ルーペを外し、しまうとフォックスは断定する。


「な、なんだと!」


フォックスのその言葉に王様は声を上げる。


「そんな…白雪姫様が……」

「なんということだ……何故、白雪姫様がそんなことを!」


貴族から次々と声が上がる。


「まぁ、そんな!なんていうことでしょう!」


私も周りに合わせて、驚いてます!という風に声を上げる。


「ち、違っ……わ、私、知らない……」


白雪姫が周りの視線を振り払うように、顔をイヤイヤと振る。


不意に逃げようとしていたメイドが騎士と言い争う声が聞こえる。


「いい加減にしてください!お手洗いに行きたいだけって言ってるでしょう!どいてください!」


「何をそんな意固地になってるんですか、顔色が悪いから付き添うって言ってるだけじゃないですか!」


「なんだ、随分騒がしいな……お前たちは何をしてるんだ」


よっぽどうるさくしていたこともあり、ガイゼルがメイドと騎士達に割り込む。


「団長!いや、この白雪姫様付きのメイドが顔を真っ青にして慌ててこの部屋から出ていこうとしてたので心配して声をかけてたんですよ……」


「ふむ……」


「私はお手洗いに行きたいだけなのに、着いて来るって言うんですもの……男の人にお手洗いについて来られるなんてたまったもんじゃないわ!」


メイドはこっちの様子をチラチラと見ながら、早く出て行きたそうにソワソワしている。


白雪姫は盗人なのでは?という目を向けていた貴族達も何事だ?と騎士とメイドを見る。


自分への注意が逸れた白雪姫はそのメイドを指差し叫ぶ


「そ、そのメイド……そのメイドです!私にこのネックレスをくれたのは!」


「なっ、なにを……白雪姫様!?」


自分が助かるためにメイドを売るのね、白雪姫。

それは……悪手というものよ。


「な、なんだと!…ガイゼル、そのメイドを捕まえろ!」


王様の一声に瞬時に反応したガイゼルがメイドを拘束する。


「きゃぁぁっ!?うぅっ……いたっ!」


ガイゼルによって拘束されたメイドは私の前まで引きずられて来る。


「正直に話してちょうだい。白雪姫はあなたからこの宝石をもらったと言っているのだけど……あなたは私の部屋に忍び込み盗みを働いた、そうね?」


メイドは白雪姫をチラッと見るが、白雪姫は下を向いて視線が合わないようにしている姿を見ると、諦めたように床に崩れ落ち、震えながら罪を認めた。


「うっ……は、はい。私が……王妃様の部屋に忍び込み、宝石を盗みました……」


「信じられない……王妃の部屋に忍び込むだなんて…それだけでも信じられないのに、王妃の私物を盗むなんて……なんと不敬な!」


ガイゼルの言葉に白雪姫付きのメイドは口を噛む。

私はこのメイドだけを責めるつもりはない、何をしても王様の耳に入らないようにしていたメイド長然り、他にも盗みを働いていたメイドもいるだろう。

そのメイド達にもしっかり罪を償わせなきゃね?


「メイド長は私に何か不利益が生じても見て見ぬふり、王様の耳に入らないようにしてるし、他のメイドもしてるから……盗んでいいと、そう思ったのかしら?」


私の爆弾発言に王様とガイゼルが声を上げる

「え?」

「は?」


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その問いかけはこの盗みが初めてではないということを意味した。


白雪姫付きのメイドをチラッと見ると何人かのメイドがおもむろに目を逸らした。

気が気じゃないわよね…だって、頼りのお姫様は助けてくれないもの。


私は頬に手を当てて困ったわ〜というポーズ(前世でいう歯痛ポーズ?)をしながら続ける。


「私の気の所為だと思っていたのですが……私の私物がなくなるのは実はこれが初めてじゃないのですわ。アクセサリーに化粧品、ドレスまでもなくなっていて……」


メイド達を疑うことはしたくないんですけど……という姿勢を貴族たちに見せる。

王宮に務めるメイド達は皆、身元がしっかりしてる者が多く、この誕生日パーティーの参加者の中にはメイド達の親が少なくないからである。


「まさかと思うけど……うちの娘が王妃様の物に……」

「なんと……これは由々しき事態だ……」


自分の娘を王宮に奉公に出してる者からしたら気が気でないだろう。


王は初めて聞く話に戸惑い、私の肩に手をかけて言い募る。


「な、なんで言わなかったんだ……私に言ってくれれば……」


ぎゃぁぁぁ!!!だからその白雪姫と(以下略)した手で触るなぁ〜!!という心の悲鳴に蓋をし、健気な王妃の演技を続ける。


「王様は忙しい方です!こんなことで煩わせたくなかったんです………なくなっても他の物だってあるし困ってませんでしたもの。ですが私が白雪姫のために買った宝石がなくなっているのを見て我慢出来ず……」


「そんな……確かに私は忙しい身であるが妻1人を守れず何が国王か!今度からは遠慮などせず言って欲しい……私はそなたの旦那であるのだから……」


そう言うと王様は私の手をギュッと握る。


うひぃぃ〜!……実の娘の白雪姫と(規約の為ピー音)したその手で(以下略)

耐えろ、私の表情筋!引き攣る頬をどうにか上げて、にっこり王様に微笑むと手をさりげなく離し、手を前に組む。

そしてウルウルとした瞳で如何にも感激した!という顔で感謝を述べる。


「ありがとうございます、これからは一人で抱え込まず相談させて頂きますわね?」


「あぁ、そうしてくれ。そなたのことを迷惑に思うことなんて絶対にないのだから……」


よかった、ちゃんと鍛えた表情筋が機能しているみたい。

白雪姫との(規約の為ピー音)現場を目撃さえしていなければ、王様を好きになってたかもしれないが……実の娘とチョメチョメしちゃう倫理観の王様に気を許す日は二度と訪れないであろう。


ニホンの記憶を持つ私は海外の王家とかは王家の血を薄めないようにと近親婚をしていたみたいなのを歴史で見たことがあるが、知識としてあるだけで受け付けることはできない。


近親婚を繰り返したことによって、子供が奇形で生まれてくるというし……自分の子供を性的に見るとか……ムリムリムリ!!!!


「お前には色々聞かなければならないな……こやつも尋問室に連れて行け」


ガイゼルは騎士達にテキパキと指示を出し、そのメイドはメイド長達同様に騎士達に引きずられて行く。


「王妃様、王妃様の部屋に入り盗みを働いた不届き者は私が徹底的に調べあげ、全員捕まえてみせます!」


ガイゼルは名誉挽回の為にも徹底的にやってくれるだろう。


「えぇ、ガイゼル様。お願い致します」


これにて1件落着と話は終わるかと思われたが、王様は白雪姫の名前を呼んだ。


「白雪姫よ」


その声にはいつもの優しさのようなものはなく、冷たい声であった。

白雪姫は肩をビクッとさせ、王様の呼びかけに答える。


「は、はい……お父様……」


王様が白雪姫にそのような声で話しかける所は初めて見たかもしれない。

白雪姫の真っ白な肌は血の気を失い、まるで死人のようだ。


「メイドが持ってきたその宝石はどのようにして渡されたのだ」


「そ、それは……メイドが私に似合うと思って持ってきたと……」


「一介のメイドがこのような宝石がついたネックレスを用意出来ると?そう思ったのか?」


王様の問いかけに白雪姫はしどろもどろになって答える。

だがその答えは一国の国の姫の言葉とは思えぬような稚拙な言葉であった。


「それは…その……私に仕えて3年のメイドだったので信頼してて……」


白雪姫のその言葉を聞いた王様は溜息を1つ吐いた。

白雪姫は王様のその溜息にまた肩をビクッとさせる。


「白雪姫、そなたの人を信用する素直な姿勢は素晴らしいとは思うが……人を信頼するのと、思考を放棄するのは違う。それを肝に銘じなさい!そなたはこのパーティーが終わり次第、1ヶ月の謹慎だ。よいな?」


白雪姫は王様に初めての謹慎処分を言い渡された。

謹慎と言ってもお茶会やパーティーやらが出来ないだけだと思うけど。


「は、はい……」


白雪姫はすっかり憔悴した顔をしている。とんだ誕生日パーティーになっちゃったわね?ふふっ……


「なんだか白雪姫の誕生日にこのような騒ぎを起こしてしまい、悪いことをしてしまいましたわ……」


私は目をウルウルとさせて頬に手を当てて呟くと、王様がその言葉を否定する。


「王妃よ、それは違うぞ!悪いのはそなたではなく、盗みを働いたメイドやなんも疑いもせずプレゼントを受け取ってしまった白雪姫だ。娘がしたことは父である私の責任だ。すまぬことをした」


王族は簡単に人に謝ってはいけない、そう教えられてるはずなのにこの人は私に頭を下げる。

実の娘とチョメチョメするような変態であるはずなのに、あれが夢だったのではないか?と疑い、この人をイマイチ嫌いになれない理由はこういう所があるからかもしれない。


「王様!そんな頭を下げるのはお止めください!私はそのようなことは求めておりません!」


私は王様に頭を上げさせるとフォックスの方を向いた。


「フォックス、その天然オパールのネックレス。返してもらえるかしら?」


「は、はい!ど、どうぞ……」


さっきまで空気と化していたフォックスはいきなり話しかけられたからか、声を裏返らせながら返事をしネックレスを差し出す。


「せっかくの誕生日プレゼントにケチがついてしまったわね……天然オパールのネックレスの代わりに違うプレゼントを用意するわ!この国宝級の天然オパールのネックレスに代わる品なんて早々に見つからないでしょうけれど……」


私は白雪姫ににっこりと微笑むとそう言った。

残念ね、白雪姫。天然オパールはあなたにはもったいないわ。


「そ、そんな……お気遣いなく……お義理母様……うふふふっ……」


白雪姫は引き攣ったような笑みを浮かべ笑う。


その後、誕生日パーティーを続けるという空気にはならず王様が解散宣言をし、白雪姫の誕生日パーティーは幕を閉じた。

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