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待ち人来る

ごきげんよう、皆様。

呼ばれてない白雪姫の誕生日パーティーに参加することに成功いたしました、策略家のクイーン・グリムヒルデです。

物事が順調に運びすぎてニヤニヤが止まりませんが、意識して笑わないと儚げな微笑から悪だくみしている悪役の笑みにジョブチェンジしてしまうので、この数日鍛えた表情筋で耐え抜きます。


席につくと、私の周りを囲むのはいかにも白雪姫の取り巻きをやっていそうな若い貴族の男たち。

心なしか目がギンギンになっているように思えます。だいぶ怖い。

私がなにか失敗しないかと目を光らせているのだと思いますが、元は辺境伯出身の私は前世の記憶を持っていますが、当然これまでのグリムヒルデとして礼儀作法を学んだことを忘れてはいません。

今は王妃である私をガン見とは貴族としての礼儀作法をどこかに忘れてきたようですね。


「あらあら…さっきから視線を感じるのだけど。私の顔に何かついているかしら?そんなに見られたら顔に穴が開きそうだわ」


訳:ジロジロ見てんじゃねぇーよ。不敬だぞ。


「申し訳ございません、お義理母さま…今まで表舞台にお立ちにならなかったお義理母様に皆様興味津々なのですわ!どうかお義理母様の広いお心で彼らを許してあげてください」


訳:今まで表に出てこなかったのにどういう風の吹き回し?今更しゃしゃり出てくんな


白雪姫の言葉からこんな副音声がついているように聞こえた、私が性格悪く翻訳しすぎ?

でも実際に言葉を交わしてみて、私は白雪姫が物語でよく知られる顔だけじゃなく心までも美しい白雪姫というふうには思えない。


そもそもこの世界はグリム童話の世界なのだろうか、グリム童話が改丁版されたものかそうでないのか。

それとも白雪姫の二次創作の世界なのではないだろうか?ダメだ…すべてに疑心暗鬼になりそう。


「お恥ずかしい話、今まで体調が優れなかったので皆様に迷惑をかけるわけにはいきませんし、表舞台から遠のいてましたの。ですが、体調は元に戻りこのように出歩けるまで回復いたしました。今後は白雪姫に任せていたことを率先してやろうと思っておりますの。今まで苦労をかけましたね」


訳:(メイドたちが薬を盛ったりしていたせいで)体調が優れなくて出たくても出れなかったんだよ。でも体調よくなったし、お前の出る幕なんかねーよ。お前こそしゃしゃんな


「そんな、滅相もございませんわ!私、これからも頑張ります!」


訳:お呼びじゃないいんですけど


貴族たちは私たちが和やかに話していると思っているだろうが、水面下でバチバチに戦っているのだった。

この白雪姫、純粋無垢だなんて嘘。やっぱ見た目で相当得をしていると思う。

私と白雪姫との間に火花がバチバチと出る。

そんな空気が読めないバルト氏はまたまた話に割り込んでくる。


「そういえば今日は白雪姫様の誕生日ですが…会場まで招かれておいて、まさかプレゼントを用意してないということはないでしょう!王妃様は白雪姫様にどんなプレゼントを用意したんですか?私、すご~く興味があります」


なるほど、これで誕生日プレゼントがなければ私を追いつめられると思ったのね。

でもそれは悪手ね、そっちから言い出してくれてありがたいわ。


「そうね、本来わたくしはここに招かれていなかった身ですからプレゼントを持ち歩いていないのです。メイドに言って取りに行かせましょう。…ジヴァ、例の物を私の宝石入れから持ってきてちょうだい」


後ろについていたジヴァに命令し、宝石を取りに行かせ優雅にお茶を飲む。

この作戦はユイが帰ってこなければ失敗に終わる。できるだけ間を持たせなければ。


あらかじめジヴァにはユイが帰ってくるまで戻ってこないように言ってある。

5分、10分、20分と刻々と時が過ぎていく。

ユイはあの人を連れてきたら白雪姫のパーティーに直行してと頼んだのだが来ない。

何かトラブルでも起きたのかしら?と内心不安でいっぱいだが、表には出さずぬるくなった紅茶をすする。


「ええいっ!まだなのですか!プレゼントを取りに行くのに何分かかっているにでしょう?」


とうとう痺れを切らしたバルト氏が声を上げる。


「そうですわねぇ、何かトラブルでもあったのかしら?私についているメイドは二人しかいないですし、一人は出払ってしまっているのでこまりましたわねぇ。仕方ありませんわ、もう少し待ってくださるかしら?」


とここで、メイドが二人しかいないという情報を小出しにする。

貴族たちはこの国で一番偉いはずの王妃にメイドが二人しかついていないという言葉にざわつく。


「お、お義理母様のメイドは選ぶ前にお義理母様が倒れてしまいましたから…人員を補填していませんでしたね。早急に行うことにいたします!」


「私に仕えてくれているメイドのジヴァやユイは進んで何か話すというような子ではないから、出来ればお話し好きなメイドがいいわねぇ」


メイドの話で話をそらすことに成功したわ。けれどそれも長くはもたない。

お願い早く戻ってきてユイ!

その祈りが神様に通じたのか、聞き覚えのある声が私に話しかける。


「戻るのが遅くなり申し訳ありません、帰りの馬車の道が混んでおりまして少々時間がかかってしまいました」


「あら、おかえりなさいユイ。帰ってきて早々に悪いのだけれどジヴァを連れてきてくれないかしら?私の部屋から白雪姫にプレゼントする品を持ってきてと命令したのだけれど、30分くらい帰ってこないのよ。ここから私の部屋まで遠くないのに…」


「かしこまりました」


そういうとユイは短く頭を下げ、ジヴァを迎えに行きます。


「さすがにジヴァまで帰ってこないということはないでしょう」


白雪姫にそう微笑みかけ、バルト氏にこれ以上急かすなと釘をさす。

ジヴァを迎えに行かせて5分も経たぬ内にユイはジヴァは連れてきた、ジヴァは何故か落ち着かない様子だ。


「ジヴァ、遅かったじゃない!ここから私の部屋までそんなに遠くないはずでしょ?一体何をしていたの?」


「お、おおおおお恐れながら申し上げます!王妃様が白雪姫様のために買ったこの国にまだ出回ってない天然オパールの首飾りが宝石箱の中からなくなっています!」


「なんですって?恐れ多くもこの国の王妃であるわたくしの部屋から宝石がなくなっているですって!?部屋の中を隅から隅まで探したんでしょうね?」


「も、もちろんです…ですが見つからず……」


ジヴァは大勢の貴族たちの前で話すことに緊張しており真っ青な顔をしていたが、その顔色は大事な誕生日プレゼントがなくなって慌てるメイドというふうに貴族たちに映ったらしく、またもやざわめき出す。


「なんということだ!王妃の部屋の警備はどうなっている!」

「王妃様の部屋から大事な首飾りが消えたんですって!」

「盗まれたのか!それはいかん!」


そんな声に被せ、バルト氏が大声で王宮に泥棒がいるかも…という声を両断する。


「いいや、それは王妃様が用意していなかったプレゼントをうやむやにするために仕掛けた茶番なのでは?」


シーンと会場が静まり返る。さっきからバルト氏が私に突っかかってくるのはなぜだろう?

まぁ、おかげで場の空気を操りやすいけど。この場の空気を支配するのはこの私よ!


「まぁ!バルト氏はなんでわたくしをさっきから悪者にするようなことばかりおっしゃいますのね…わたくしが購入した物は文官がきっちりと記録しているはずです。その記録を皆様にここで見せてもかまいません。今日この場に偶然その宝石を売ってくれた商人も来ておりますの。わたくしは証拠を提示できますが、バルト氏のその発言には証拠はございますの?」


もちろん、今日この場に天然オパールの首飾りを売ってくれたフォックスがいるのは偶然でもなんでもない。この王宮からフォックスのいる宝石店までユイに迎えに行かせていたのだ。


「これは言いがかりというものです。祝いの席ですので白雪姫が指摘しないのであればと我慢していましたが王族との会話に割り込むなんて言語道断ですし、わたくしのことを礼儀知らずと言っていましたがバルト氏こそ礼儀をわきまえていないのでは?そう思いません事?」


バルト氏は思わぬ反撃だったのだろう、言い返すこともできず拳を固く握っている。


「確かに王妃様の言うとおりだ。今まで表舞台に出てこなかったがここまで聡明だったとは!」

「王妃様に対して無礼にもほどがあるわ、あれが次期侯爵当主だなんてお先真っ暗ね」

「本当は主催者である白雪姫様がたしなめなければならんことを王妃様が率先して注意するなんてさすがですわ!」


会場の空気は私の味方になったようだ。

さて、断罪には絶好の機会よ!覚悟しなさい、白雪姫!

この小説がおもしろい!と思った方はブックマーク・高評価などよろしくお願い致します。

また、感想や誤字脱字報告もありがたいです。

引き続き物語をお楽しみください

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