彼ら、人に非ず
男side
俺はホールに着く前に、平澤の部屋に向かった。
部屋の扉を叩くと平澤が出てきた。
「どうしたんだ、そんな顔して。」
「仕事の時間だ。」
「......死ぬのか? 」
平澤のその問いを受け流し、俺は平澤にしてほしいことを淡々と告げた。
ここにいるすべての人を安心させ、誰一人として危機にならないようにするようにと......。
「俺が死ぬのかなんて、そんなのは分からねぇ。
ただ、死なねぇって約束したのは事実だ。」
「なら、死ぬんじゃねえよ。
約束したその子が報われないじゃないか。」
「ふっ、言ってくれるな。」
軽く鼻で笑うと、平澤は真剣な顔で話し始めた。
「ついこないだな、あの子が俺のところに来たんだ。
お前の迷惑になりたくない、強くなりたいってな。
お前は、それに応えたのか? 」
俺は何も言わず、ただ平澤の目を見た。
それだけで俺が何を伝えたいのか察したようで、ため息をつく。
「レディの扱い、あと少しってところだな。
あの子とした約束が、最後の約束にならないようにな。」
「善処する。」
俺は平澤に敬礼し、その場を去る。
無意識に、一粒の涙が頬に伝い、落ちた。
大毅side
ついに優が俺から離れ、さっきの凛々しい顔になった。
俺は安堵し、彼の到着を待つ。
「待たせた、奴をやるんだろ? 」
「あぁ、だがその前に待ってくれ。」
俺は今にも飛び出していきそうな彼を制止し、ここに避難している人たちに聞こえる声で話し始めた。
「俺たちはこれから、ここをより安全な場所にするため、外で戦闘をする。
皆様の未来を壊し、先の見えない暗闇に連れ出してしまったのは私の責任だ!
だから俺は、責任をもって全力で努力する。
ここの安全を保障できるよう、本気で戦う!
だから、この通り、私の不手際を......許してくれ!! 」
俺は土下座をした。
たった一人でも、誰かが反応するまで、そのまま土下座をつづけた。
――拍手が聞こえた。
一つの音だったその小さな拍手はだんだんと大きくなっていき、ついにはそこにいる全員が拍手をしている状況になった。
「そんな......俺は褒められるようなことは......。」
優が俺の前に立つ。
俺は立ち上がり、優の顔を見た。
「今のお父様、最高にかっこいいわ。」
それだけ言うと優は議事堂の扉を開き、手招きをした。
「終わらせるわよ、こんな悪夢!! 」
俺はいまだ拍手を続けている人たちに一礼をし、その開いた扉へ走り出した。




