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決断~さよならの合図~




 大毅side



 

 「ついにできたか。」


 机の上に置かれた俺の最強の武器、すなわち最終兵器ともいえるものを眺める。

掌にまとまる「それ」は、俺も知り得ないほどの破壊力をもたらす。



 「......。」



 俺はそれをポケットに仕舞い、ホールに戻った。

ホールに優や少女たちの姿は見えない。


 俺は階段を上がり、優の部屋に入る。

優は椅子に座って本を読んでいるところだった。



 「あら、お父様......? 」



 「優......。」



 俺がこれからすることを頭でまとめるだけで、額から汗が流れる。

俺はそれを拭いて、優に武器を持ってホールに来るように伝えた。





 「優、決着を付けに行くぞ。

いつまでもモヤモヤと過ごしたくないだろう。」



 「...えぇ。」



 優はメリケンサックとハンドガンを装備し、部屋を出た。

すれ違う前、近くで見た優の横顔は凛々しく、大人の雰囲気を醸し出していた。




 俺はそのまま男の部屋の前に立ち、ドアをノックする。

数秒後、彼が扉を開け、俺のことを怪訝な目で見てきた。



 「なんだ。」



 「真奈美を殺したあいつと決着をつける。

武器を持ってホールに来い。」




 男は一瞬うつむいた後、俺の目を見て強く頷いた。



 「あぁ、ただ少し時間をくれ。」



 「あまり長くなるなよ。」



 俺はドアを閉め、階段を下りる。

一段、また一段と降りるたびに俺の心臓が高鳴り、汗が止まらなくなる。



 階段を降り終わり、深呼吸をした。

ホールに着くとせわしなく動いている優がそこにいた。



 「お父様......。」



 優が俺に抱き着いてきた。

俺を呼ぶ声は酷く震えていて、今にも泣きだしそうだ。



 俺は抱き返さず、ただ拳を強く握った。




 「何を、考えているの......?」



 抱き着いたまま、優が俺に聞いてきた。

俺は優の頭をやさしく撫で、


 「別に、何も考えてないさ。」



 と、その質問を受け流した。

優はそれ以上、俺に何か聞いてくることもなく、ただ抱き着いたままで......。







 

 男side




 「お兄さん、ダメだよっ!! 」




 俺が怪物を倒しに行くことが決まってもなお、少女は俺を全力で止めていた。

いままでで一番強い力で俺の腕を引っ張り、その瞳からは涙がとめどなく流れている。


 しかし少女はその涙を拭くこともせず、ひたすらに俺が部屋を出るのを引き留めている。



 「大丈夫だ。

絶対、必ず帰ってくる。」



 俺は少女と目線が合うように屈んで、やさしい声で語り始めた。



 「俺はお前の顔を見れなくなるのが一番寂しい、それでいて怖いんだ。

俺がここまで人のことを考えられるようになったのはほかでもない、お前のおかげだ。


 そんな俺の恩人を置いて先に俺が死ぬわけないだろ、ここでおとなしく待っててくれ。

大丈夫だ、すぐ帰ってくる。」



 ゆっくりと、少女がその言葉を飲み込み、納得できるような口調で話した。

いまだかつてそんなことをしたことがなかったのに、無意識的に少女にそう話してしまった。



 「絶対に......絶対......帰ってきて。

私、信じるからね......。」



 「ああ、指切りげんまんだ。」



 俺は少女と指切りげんまんで約束をして、部屋を出た。

部屋の外は冷たく、寂しい風景だった。



 俺は背中に刀を背負い、その侘しい廊下を去った。



 心のどこかで、俺は死ぬかもしれないと思っている。



 ――もっと、強くなれよ。――


 

 俺は少女にそう願った――。






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