あなたはそれを殺せるか
男side
死ぬ気で国会議事堂に帰ってきてから意識が途切れた。
しかし前に気を失った時のように謎の場所と女神に出会うことは無かった。
「いってぇ......」
目を覚ますと、辺りは真っ暗で、俺はベッドで寝ていた。
身体を起こそうとすると腹に激痛が走り、うまく起き上がれない。
息を深く吸い、大きく吐きながら俺は体を起こし、ベッドから離れた。
「傷口が開きそうだ......」
人手不足なのか付近に人はいなく、近くのテーブルには俺の所持品が置いてあった。
俺はその所持品からウサギのぬいぐるみを取り、部屋を後にした。
「とても...頭が痛いわぁ......」
ろれつの回らない女の声が聞こえてきたので、俺は足を止めた。
俺がずっと聞きたかったその声を聞き、俺は安堵を覚えた。
――優が、階段から転げ落ちてきた。
苦悶の表情を浮かべながら立ち上がる優を見て俺はためいきをつくが、彼女には気づかれていなかったようだ。
俺と目が合った優が自分の頬をたたいていた。
俺はそれを見て口を開く。
「夢だと思うだろ?
俺も死んだと思った。」
そうして俺は、久しぶりに優と話すことができた――
優side
二日酔いが残る頭で目を覚ますと、廊下が騒がしかった。
ベッドから起き上がり、部屋の扉を少し開ける。
「彼が目を覚ましました!
全員探してください! 」
__まったく、彼らしいわね......
激しい頭痛で頭を抑えながら、ゆっくり階段を下りる。
途中白衣を着た女の人が私のことを支えてくれた。
「あなたお酒の匂いが残っていますね、年齢は? 」
「22よ......」
この状態で他人に叱責されると気がめいってしまうので、私はさらりと嘘をついた。
彼女は私の嘘を見抜けなかったようで、そのまま私を救護室に連れて行った。
「成人の女性、アルコールの過剰摂取です。」
私を救護室に連れてきた女性が他の白衣を着た人に私の状態を伝えていた。
そして男の人が私の前に座り、問診を始めた。
「お酒を飲んだのは初めてですか? 」
「ええ、それまでは興味もなかったから。」
「どの程度飲酒しましたか?」
「小さい缶二本よ。」
問診をしながら、その人は紙に文字を書き続けている。
「はじめてにしては、少し飲みすぎですね。
お水を飲んで落ち着いて今日は生活してください。」
そういって彼が私に水が入ったペットボトルを渡してきた。
私はそれを受け取り、その場を後にした。
部屋に戻ると、私の部屋に彼がいた。
一瞬驚いたけれど、深呼吸して彼に話しかける。
「みんなあなたのことを探していたわよ、あの子も。」
「んなことわかってる。
見つかる前にお前に聞いておきたいことがあるんだ。」
そういって彼は私の目を見た。
いつも以上に、真剣な目だった。
「お前は、あの怪物、お前の好きだったやつを殺せるか? 」
――目眩がした。
倒れそうになったのをすんでのところで回避し、私は頭を回転させる。
そして私は自分に言い聞かせた。
――加寿は死んだ。――
「ええ、あれは加寿の姿をした悪魔だもの。
私がケリをつけるわ。」
息を深く吸い、覚悟を決めた。
本当は殺したくはないけれど、人を殺し、暴走する加寿をこれ以上見ていたくない......
だから、私が悪魔を殺す。
「それなら安心だな。
さて、あいつに会いに行くか。」
彼がベッドから起き上がり、私の部屋を後にした。
部屋をでる直前に、一言、私に言ってくれた。
「強くなったんじゃねえか、優。」
二日酔いが残る頭では、その言葉の意味がよくわからなかった。




