襲撃
男side
――国家は法律を放棄しました――
大きくそう書かれた画面を見て俺は言葉を失った。
なんとなくそんな気がしていたが、政府がこんなことを宣言するということは、すでに日本は国として機能していないことになる。
「救助は諦めた方がいいな」
自治団体がボランティアとして助け合うことは考えられるが、それ以外、つまり自衛隊が助けに来たり、警察っが法律違反を取り締まったりをすることがなくなるということだ。
「お兄さん、これからどうするの?」
リビングのソファに座っていた少女が、俺に声をかけてきた。
俺は画面から目を離し、リビングに向かった。
「そりゃ、まだ決まってねぇけど。」
先の見えない不安を目の当たりにしつつ、俺は少女を不安にさせないように優しく続けた。
「とりあえず、生きる。」
俺はその時初めて、少女の目を見た。
決意したような、揺るぎのない瞳だった。
俺はその瞳を見て思った。
――成長したな――
そろそろ、本当のことを話すために、俺は少女の向かいに座った。
「なぁ、実は......」
深く深呼吸した後、俺は再び少女の目を見る。
「お前のお母さんは......」
次の瞬間、玄関のドアが吹き飛んだ。
「お兄さんっ!!」
少女を自分の部屋に連れていき、俺はドアがなくなった玄関を見る。
ドアはリビングの手前で落ちて、大きくゆがんでいた。
そしてその先には......
「......」
無言でこちらを見つめる、細身の男の姿があった。
口の周りには血が付いていて、一目見ただけで生身の人間ではないことがわかる。
「どういうことだ。」
ダメもとで俺はそいつに問いかける。
しかし、帰ってきたのは強力な蹴りだった。
俺はしゃがんでその蹴りを避け、そいつの脚を崩すように蹴った。
しかしその攻撃が効いた様子もなく、俺はそいつの拳で窓に吹き飛ばされる。
「くっ!!」
俺は血を吐き、近くにあったナイフをそいつの腹をめがけて投げた。
ナイフは狙った通り腹に刺さり、一瞬ひるんだ。
「この、野郎!」
そのまま俺はナイフを腹の奥まで差し込み、顔を殴り飛ばす。
その攻撃が効いたのか、そいつは俺の家から逃げていった。
「もう、大丈夫だぞ......」
俺は腹を抑えながら、俺は吹き飛ばされた扉を見る。
「これは、取り付けできねぇな......」
泣きっ面に蜂というのは、こういうことを言うのかと思い知らされた。
少女が恐る恐るリビングに入ってきて、リビングの状態を見て絶句していた。
「仕方ない、また一からだ。」
俺はソファに座り、状況を理解しようとした。
優side
しばらく泣き、落ち着いたところで私は立ち上がった。
「ごめんなさい、行きましょう。」
私のために待ってくれた二人を見て、私は申し訳なさで胸がいっぱいになった。
行く当てもなく、私たちは街を歩く。
「あの人、無事だといいけどね......」
控えめに、真奈美がつぶやく。
私はあえてその言葉に反応せず、頷くことだけした。
「あそこのレストランに入ろう。少し休みたい。」
十分ほど歩き、お父様が100メートルほど先にあるレストランを指さして言った。
「いいわね、賛成よ。」
そのレストランに向かって歩き始めた瞬間、目の前の建物の壁が吹き飛んだ。
「きゃっ!!」
砂ぼこりでむせながら、穴が開いた建物を見る。
そしてそこに立っている人を見て、私は言葉を失ってしまった。
――か...ず......?――




