表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界リペア工房 ~ハズレスキル「鑑定・修理」でガラクタも人生も直します~』  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/17

第5話 修理屋と鍛冶屋


朝。


リペは工房の前をほうきで掃いていた。


「掃除、掃除♪」


ガリッ。


「あ。」


ほうきが石畳に引っ掛かる。


ズシャーーッ!


そのまま顔から地面へ滑っていく。


「ご主人様ぁぁぁ!」


ドンッ!


修は新聞代わりの掲示板を読んでいた。


「……朝の挨拶みたいになってきたな。」


リペの顔を持ち上げる。


「大丈夫?」


「今日も元気です!」


「顔、逆だけど。」


「あっ。」


くるり。


自分で頭を回して元に戻した。


「便利。」


「便利じゃない。」


そんなやり取りをしていると、一人の大男が工房へ入ってきた。


身長は二メートル近い。


腕は丸太のように太い。


腰には巨大なハンマー。


いかにも鍛冶職人という風貌だった。


「ここが修理屋か。」


修は笑顔で迎える。


「いらっしゃいませ。」


男はカウンターへ一本の剣を置いた。


刃は何度も欠け、柄も割れている。


「……直せるか?」


修は剣を見つめる。


「見てみます。」


両手で包み込む。


「さて、どこが痛い?」


【対象:鉄の剣】


【損傷率:64%】


【修理可能】


景色が流れる。


若い鍛冶屋。


何度も鉄を打つ。


汗を流す。


失敗する。


また打つ。


ようやく完成した一本の剣。


『親父……できたよ。』


景色はそこで終わった。


修は顔を上げる。


「あなたが初めて作った剣ですね。」


鍛冶屋の表情が変わる。


「……なぜ分かる。」


「この剣が教えてくれました。」


鍛冶屋は黙る。


「腕が未熟だった。」


「売り物にもならん。」


「だから捨てようと思った。」


修は首を横に振る。


「捨てるのは、もったいない。」


「この剣。」


「すごく頑張っています。」


鍛冶屋は苦笑する。


「剣が頑張るか。」


「ええ。」


「作った人も。」


修は静かにスキルを発動した。


「修理。」


光が剣を包む。


欠けた刃が戻る。


割れた柄も繋がる。


最後に、刃へ美しい波紋が浮かび上がった。


【品質向上】


【鉄の剣 → 熟練工の剣】


修は思わず笑う。


「また品質が上がった。」


鍛冶屋は剣を抜く。


シュッ。


「……軽い。」


「バランスが違う。」


何度か振る。


目を閉じる。


「まるで。」


「俺が理想としていた剣だ。」


修は少し照れくさそうに笑った。


「この剣は、あなたが頑張った証です。」


「だから、もっと長く使われてほしい。」


鍛冶屋は剣を見つめたまま、小さく笑う。


「修理屋。」


「名前は?」


「森谷修です。」


「俺はガイン。」


「鍛冶屋をやっている。」


二人は握手を交わした。


その瞬間だった。


リペが勢いよく飛び込んでくる。


「ご主人様!」


「大変です!」


「どうした?」


「煙が出ています!」


「どこから?」


「私です!」


「なんで!?」


リペの体からモクモクと白煙が上がる。


「掃除を頑張りすぎました!」


「頑張ると煙出るの!?」


ガインは大笑いした。


「はっはっはっ!」


「面白いゴーレムだ!」


リペは胸を張る。


「ありがとうございます!」


「褒めてないと思うぞ。」


その直後。


プスン。


リペの両足が外れた。


「ご主人様。」


「動けません。」


「今日は足か。」


修は慣れた手つきで工具を取り出す。


「修理。」


カチッ。


ギギッ。


キュイーン。


リペは勢いよく立ち上がる。


「完全復活です!」


すると、頭の中に表示が浮かんだ。


【リペが経験を学習しました】


【新スキル取得】


【自己転倒回避 Lv1】


修は思わず吹き出した。


「今まで無かったのかよ!」


リペは誇らしげに敬礼する。


「次からは転びません!」


一歩踏み出す。


ツルッ。


ズデーン!


「…………。」


「…………。」


修とガインは顔を見合わせる。


そして同時に笑った。


「Lv1じゃ、まだまだだな。」


工房に、また一つ笑い声が増えた。


そしてガインは帰り際、小さくつぶやく。


「……また来る。」


「今度は客じゃない。」


「友としてな。」


修は笑顔で手を振った。


「いつでもどうぞ。」


リペも元気よく手を振る。


「次までには転ばないようにします!」


その言葉を聞いたガインは、少しだけ空を見上げて笑った。


「……それは期待しないでおく。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ