表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『異世界リペア工房 ~ハズレスキル「鑑定・修理」でガラクタも人生も直します~』  作者:


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/39

第24話 ただいま、異世界リペア工房


王都での最後の朝。


修は窓を開け、大きく息を吸い込んだ。


「今日で帰るんですね。」


リペが荷物を抱えながら聞く。


「ああ。」


修は微笑む。


「工房が恋しくなってきた。」


「私もです!」


「ベッドが恋しいです!」


「そこ?」


「はい!」


二人は顔を見合わせて笑った。



王立魔道具研究所では、アルバート所長たちが見送りに来ていた。


「本当に帰ってしまうのか。」


アルバートは少し寂しそうに言う。


修は頷いた。


「工房には、まだ待っている依頼がありますから。」


エミリアも笑顔を向ける。


「また困ったら呼んでもいいですか?」


「もちろんです。」


「修理屋は逃げません。」


リペは胸を張る。


「出張も受け付けます!」


「営業するな。」


修がすかさずツッコミを入れる。


研究所には笑い声が響いた。



王城では、王女アリアが二人を待っていた。


「これを受け取ってください。」


差し出されたのは、小さな銀色のバッジだった。


歯車と四つ葉のクローバーが刻まれている。


「王国公認修理師章です。」


修は驚く。


「そんな立派なものを……。」


アリアは優しく微笑んだ。


「困った人がいたら、この徽章を見せてください。」


「王国中の町が、きっと力になってくれます。」


修は両手で受け取った。


「大切にします。」


リペは目を輝かせる。


「ご主人様、すごいです!」


「みんなのおかげだよ。」



王都の門。


セシリアが馬車の準備を終えていた。


「ここから先は、お二人だけでも大丈夫でしょう。」


修は頭を下げる。


「ありがとうございました。」


「こちらこそ。」


セシリアは少し笑う。


「また護衛が必要になったら、いつでも呼んでください。」


「その時はお願いします。」


リペは勢いよく敬礼した。


今度は何も外れない。


「今日は外れませんでした!」


セシリアは思わず吹き出した。


「それを報告するんですね。」



帰り道。


街道には、来た時と同じ風景が広がっていた。


宿場町では、以前修理した女神像の噴水で子どもたちが遊んでいる。


「修理屋さん!」


「また来てね!」


子どもたちが大きく手を振る。


修も笑顔で手を振り返した。


「また来るよ。」


レオンも工房の前から顔を出す。


「次は腕比べだ!」


「今度はゆっくり話しましょう。」


「もちろんだ!」


短い再会だったが、お互いに笑顔だった。



夕暮れ。


見慣れた景色が近づいてくる。


丘の向こう。


煙突から白い煙が立ち上っていた。


リペが目を丸くする。


「あっ!」


「見えました!」


修も思わず足を止める。


「帰ってきたな。」


そこには、小さな工房。


少し傾いた看板。


見慣れた庭。


そして――。


「修さーん!」


ルナが真っ先に飛び出してきた。


「おかえりなさい!」


続いてガイン。


町長。


近所の子どもたち。


みんなが笑顔で迎えてくれる。


「おかえり!」


「待ってたぞ!」


「王都はどうだった?」


リペは嬉しそうに飛び跳ねた。


「ただいまですー!」


勢い余って転ぶ。


ガインが笑う。


「帰ってきても変わらんな。」


「はい!」


「通常運転です!」


工房は一瞬で笑い声に包まれた。



その夜。


修は工房の扉をゆっくり開けた。


木の香り。


使い慣れた工具。


作業台。


壁には、旅立つ前に途中まで修理していた古時計が置かれている。


修は工具箱をそっと置いた。


「やっぱり。」


「ここが一番落ち着くな。」


リペも大きく頷く。


「私のおうちです!」


修は静かに工房を見渡す。


旅に出る前と何も変わっていない。


けれど、自分たちは少しだけ成長して帰ってきた。


王都で出会った仲間。


新しい技術。


そして、人とのつながり。


そのすべてを、この工房へ持ち帰ってきた。


その時――。


コンコン。


夜にもかかわらず、扉がノックされた。


修が扉を開ける。


そこには、一人の旅人が立っていた。


背中には、大きな荷物。


腕の中には、壊れたランタンが抱えられている。


「すみません。」


「ここが……異世界リペア工房でしょうか?」


修は優しく微笑んだ。


帰ってきたばかりなのに、もう新しい依頼人が来ている。


リペも満面の笑みで駆け寄った。


「いらっしゃいませ!」


修は旅人からランタンを受け取り、いつものように静かに語りかける。


「さて。」


「どこが痛い?」


ランタンがかすかに光る。


新しい物語は、もう始まっていた。


――王都出張編・完――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ