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ルート・ヴィオス

誰も信じてくれないかもしれないが、確かなことがある。この世界は2回目だということ。

といっても、僕に1回目の記憶が全てある訳では無い。最初は妙な既視感から始まった。

初めて来るはずなのに知っている場所、初めて会う人なのに知っている人。


確信に変わったのはエリスに出会ってからだ。

最近神殿に入った僕よりも年下の少女。妙に大人びた彼女の瞳を見て、思い出した。1回目の彼女との会話を。


記憶の中の彼女は目の前の子よりも、子どもっぽくおどおどしていた。それでも、殴られている僕を庇って、彼女も叩かれてしまった。


幸い直ぐに神官が来て事なきを得たが、赤く腫れた彼女の頬は痛々しかった。


なんで庇ったのかと聞くと彼女は、そうする方が正しいと思ったからと答えた。

はっきり言って仰々しい言葉だと思った。


僕にとって正しさなんて流動的で一時的なものだったから。


どうして真っ直ぐにそう信じられるのかと尋ねた。彼女はその方が綺麗だと笑った。確かに彼女は綺麗だった。


最初、目の前のエリスは記憶の中の少女とは違うと思った。けれど、一緒に過ごす中で同じだと気がついた。

エリスにとって綺麗だと思うことをする。やり方が変わっただけで彼女の根幹は一緒だった。


僕も彼女のように綺麗でありたい。そう思った。


彼女の後押しもあって、僕は疫病の特効薬を作った。前から救いたいと思っていた人たちを救えたのも彼女が手伝ってくれたからだ。


エリスは僕から見ても自罰的だと思う。彼女の中の何がそんなに罪悪感を感じさせるのかは分からない。

けれど、僕は彼女に憧れた。僕はエリスの正しさを同じように正しいと思っている。


エリスがその事に目を向ける余裕が生まれるようにと僕は思っている。


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