冒険者ギルドで
「はぁ~…ほんと、こんなに人が多いと迷っちゃうわね…」
千棘はアエリアの姿になり王都を観光しながら情報収集をしていた。
昨日宿屋で色々考えた結果、今すぐ千棘で冒険者をしなくてもいいしこの世界での魔法がどう違うのかも調べなくちゃいけないという事を思いつき、千棘のまま宿屋をチェックアウトした後、路地裏の誰もいない所でアエリアに姿を変えて王都をぶらぶらしている。
今後の活動目標としてはアエリアとして冒険者になり、千棘で酒場とかそういう場所でちょっと働きながら情報を集めたりするのがいいと思った為、今はアエリアとして行動していたのだ。
コルに関してはアエリアでの行動があらかた片付いたら生産者ギルドに登録してそっち方面でも情報収集する予定だ。
「この辺周ったら冒険者ギルドに行こうかしらね。…あ、おじ様?この串焼き2本もらっていいかしら?」
「あいよ嬢ちゃん、2つで400ニルだ。…にしても朝から聖職者様が買い食いか~?おじさん関心しないぞー?」
「どこ見てんのよ?こんな着崩している聖職者がいると思ってるの?冒険者よ冒険者。まだ登録してないからこれを食べて登録しに行く途中だけれどね」
「おーそうかいそうかい、そりゃ悪かった。でも嬢ちゃんべっぴんさんだから野郎連中に気をつけろよ?」
「あらありがと。でも大丈夫よ?私、魔法も使えるし格闘も出来るのよ?」
指先から小さな火をボッと出して拳を何度か振り抜き屋台のおじさんにアピールしておく。
「ははっ!そりゃ頼もしいこって!ほら、ずっと店前にいたら客がこないからさっさと冒険者登録してきな!幸運祈ってるぜ!」
「それもそうね、ありがとおじ様。ちょっと行ってくるわ」
「帰りも寄ってけよ~」
「おぼえてたらね~」
串焼きを食べながらギルドに向かい、途中から冒険者の様な見た目の男達から『嬢ちゃん!こっちで一緒に飲もうぜ!』と声をかけられるが、『私はかなり高い女だから残念だけれど他を当たってちょうだい』なんて言いながらナンパを躱していく。
そんな事をしながら冒険者ギルドと思われる建物の前までやってきて食べ終わった串を袋に戻し、最後の一本を口に運びながら冒険者ギルドに足を踏み入れる。
「…あら、全然雰囲気いいわね?」
男が多い建物で何日も風呂に入っていない様な匂いが立ち込めている…という訳ではなかった。
アエリアはそういう覚悟をしていた分肩透かしを食らった気分だったが、辺りを見渡すと鎧を着ている人や革鎧を付けている人、更には獣人族の人やエルフ族、ドワーフ族の様な人達を見つけ、この世界に来てから初めて人間以外の種族を見て改めてここが異世界なんだと実感した。
「異世界ファンタジーが本当に現実になったのね…」
きょろきょろしながら受付らしき所に向かうと丁度男性の冒険者が受付を終え、女性のカウンターが空いたのですかさずその人の前まで移動して話しかける。
「ねぇお姉さん?…んぐっ…食べたままで悪かったわね。私、冒険者になりたいのだけれどどうしたらいいのかしら?」
「し、シスターさん…?あ、えっと冒険者になるにはまずこちらの用紙に必要事項を記入して頂くのと、注意事項が載っている冊子をお渡しするので確認して頂いて特に問題がなければその紙をまたここに持ってきて頂き、最後に魔力検査をして登録終了となります。ちなみに文字の読み書きなどは…」
「読み書きは大丈夫よ、あそこで記入して持ってくればいいかしら?」
「はい、ここだと別の方の依頼受付と被ってしまうかもしれないので申し訳ありませんがご協力お願いします」
「了解よ。またあなたの所に持ってくるから待っててちょうだい」
ペンが備え付けられているテーブルまで行き、椅子に座りながら用紙に必要な情報を記入していく。
名前:リア
職業:魔法使い
出身:孤児の為、不明
物理職の方
武器:ナックル
戦闘スタイル:格闘術
流派:無し
魔法職の方
属性:火、風、水、土、雷、氷、闇、光、空間
使用可能魔法:最上級魔法まで使える
戦闘スタイル:特に決まった戦い方はない
(こんな感じかしらね…エリオの話なら属性は全部バレちゃうし、最上級の上の神格魔法も一応使えるけれど…そこまで正直に書く必要はないわね…)
記入し終えた後に一緒にもらった冊子に目を通す。
必要な所だけ纏めるとこうだ。
冒険者にはランクが設定されていて一番下のFランクから始まり、E、D、C、B、A、Sランクと段階が上がる。
依頼中、依頼外の怪我や死亡は自己責任。
どこの国のギルドでもギルドカードを使用する事が可能で地域によって差異がある事は無く、身分証としても使用出来る。
冒険者ギルドは中立の立場で運営されている為、戦争などではどこか一部の国に肩入れをするという事は無く、依頼という形での出兵が可能。
国からの依頼をギルドを通している場合は強制力はないが、国からの個人的な指名依頼の場合はギルドは仲介する事なく、国と個人でのやり取りで解決する(個人同士の指名依頼も同様)。
記入し終わり受付のお姉さんを見てみるが他の冒険者の対応をしている様で少し待つ必要があるようだ。
「ん~~~っ!あのお姉さんが空くまで暇ねぇ…」
と、椅子の上で伸びをしていると突然男性の冒険者に話しかけられた。
「暇なら僕達と一緒に飲まないかい?」
話しかけてきたのは大柄のいかつい男性…という訳ではなく、女性なら好きそうな爽やかな金髪の男性冒険者で、後ろからパーティメンバーだと思われる女性が四人後ろに立っている。
だが、明らかに体をじっくりと下から上に眺めている男性冒険者の下心に気付いたアエリアは面倒くさそうな表情を浮かべる。
「女漁りなら他所でやってちょうだい。私はそんな安くないし、あんたみたいなのとお仲間だなんて思われたくないわ」
「っ!?」
パーティを組んでいる仲間がいる前でアエリアに拒否され、恥をかかされたと思った男性はみるみるうちに顔を真っ赤に染め上げてアエリアに向かって怒鳴ってくる。
「なんだと…!?このAランク冒険者『疾風迅雷』のギール様の誘いを断るだと…!?」
ギールと名乗った男の口からアエリアが大切にしている仲間の異名が聞こえ、
「『疾風迅雷』…?『疾風迅雷』の…ギール様……?」
私の大切な仲間の名前を騙るなと爆発しそうな怒りを抑えながらもう一度聞き間違えじゃないか確認する。
その様子を見てギールはAランクの『疾風迅雷』のギールだとわかった途端震えだして許しを請いたくなっていると勘違いし、アエリアの地雷を踏み抜く決定的な言葉を口にしてしまった。
「そうだ、この俺がAランク冒険者の『疾風迅雷』のギール。今ならさっきの発言を許して僕のパーティに入れてあげてもいいけど?僕のパーティに入れる事を光栄に思って欲しいもんだ」
ハーレムパーティのメンバーに甘い言葉をかけながら女性達は『そうよね、ギール様のお誘いを断るなんてありえないわ!』等と囃し立ててくる。
この騒ぎに辺りの冒険者達も『あの女、『疾風迅雷』に目をつけられたぜ…ご愁傷様…』だとか、『『疾風迅雷』の誘いを断るとか命知らずかよ』と『疾風迅雷』を連呼しながらざわざわとしている。
そんな状況に我慢が出来なくなり、書いた用紙と冊子を握りつぶしたアエリアはギールに伝える。
「『疾風迅雷』のギール様…私はまだ冒険者に登録していないからまずは登録しないといけないの。そこで待っていてくれるかしら…」
「言葉使いがなってないな君は…まぁパーティに入ったらたっぷりと教えてあげるから今は目を瞑っておいてあげるよ…早く登録してきな」
「ええ…絶対にそこで待ってなさい…」
握りしめている冊子と用紙をまだ受付をしているお姉さんの元へ行き、今受付している女性冒険者を押しのけてカウンターに冊子と用紙をダンッ!!と叩きつける。
「ちょ、ちょっと!今私が受付してるのに!もうちょっと───ひっ!」
「ごめんなさい、少しだけ先を譲って頂けるかしら…後でその依頼でも何でも手伝ったりしてあげるから」
明らかに尋常じゃない雰囲気が合わさり、アエリアの表情は人を殺す様な顔で…女性冒険者は尻餅をつきながら順番を譲ってくれた。
「本当にごめんなさい…あなた名前は?」
「ゆ…ユリス…です…」
「ユリス…このギルドで少しだけ待っていてちょうだい。絶対に埋め合わせするから」
「は、はぃ…」
言葉の端々が怒りで震えるアエリアから逃れる様にユリスは足が縺れながらも野次馬の中に姿を消すが、逃げたいのに逃げれない受付のお姉さんは震えながらアエリアを見つめる。
「お姉さんごめんなさいね…これで登録をすぐに済ませて頂けるかしら」
「は…はい…その…大丈夫ですか…?」
「…大丈夫に見えるかしら?」
「い、いえ…怯えているんじゃないかと…相手はあのAランクのしっぷ『その先を言ったらあんたも容赦しないわよ』…ひっ!ご、ごめんなさい!」
「とりあえず早く登録してくれるかしら…登録し終えたらこのギルドの訓練場を借りるわよ」
「は、はい!き、きき記入は大丈夫です…っ!?あ、すすすみません、すぐ登録します!」
アエリアの記入した用紙を見た受付のお姉さんは一瞬目を剥き、何かを質問したい様な顔をしていたがアエリアの形相に質問したらいけない雰囲気を感じ取り、何も聞かずに登録を済ませてくれる。
「最後にこ、この水晶に手を当てて魔力を流してください…魔力量と適正属性を…」
「触ればいいのかしらね」
「っ!?」
触った後、魔力を流していると水晶の中に丸い赤、青、緑、茶、黄、水、白、黒、歪んだ丸が現れ、魔力の過剰充填により水晶に罅が入りパキンっと音を立てて真っ二つに割れてしまう。
「お姉さん、これでいいかしら…ギルドカードをもらってもいい?」
「っ!!…!……!」
受付のお姉さんは絶句しながら目を見開き、あり得ないものを見たという状態で口をパクパクさせながら登録が完了した銅色のギルドカードを渡してくれる。
「ありがとう、訓練場も貸してもらえるかしら?」
「は…はぃ…あ、あの…何を…」
「決まっているでしょ。あいつらと戦うのよ」
「あの…殺人は…」
「殺人?確かギルドの注意事項に依頼中、依頼外の怪我や死亡は自己責任と書いてあるわよね?名目は訓練。訓練で死人が出ようが怪我人が出ようが仕方のない事じゃないかしら?」
「そ…それはそうですが…ですが…パーティに誘われただけでそこまで…」
「…?ああ、あなたはパーティに誘われて怒っていると思っているのね」
「は、はい…」
「私が怒っているのは…ダフネの十英傑、『疾風迅雷』のエルリとルエリの事を穢したからよ」
そう言って後ろを振り返りギルドにいる全員に怒鳴りつける。
「今ここに居るやつで『疾風迅雷』と言葉にした奴ら!!このまま訓練場に来なさい!!全員ぶっ殺してやるわ!!」
アエリアの宣言でギルドの中が騒々しくなる。
「あいつ頭やべぇんじゃねぇか」
「マジでイッちまってるわ…」
なんて声が色んな所から聞こえてくる。
それでも怒りが全く収まらないアエリアは更に怒声を響かせる。
「そこでコソコソしている雑魚共!たった一人の女が怖いのかしら!?あんた達はそれでも男なの!?こんなんでビビってるなら冒険者辞めてママのおっぱいでも吸ってなさい!!」
「…!?ふざけんじゃねぇクソアマが!やってやろうじゃねえか!」
アエリアの煽りが効いたのか色んな所から声が上がり、それに追随するかのように『疾風迅雷』と声に出した冒険者達が訓練場へ向かう。
そして最初に話しかけてきたギールが、
「…そんなにやりたいなら相手になってあげるよ。その後奴隷の様にこき使ってあげるから楽しみにしてな」
そんな捨て台詞を吐いてハーレムパーティを引き連れて訓練場へ行く。
観戦する人も全員移動したみたいだが、残っている人が一人だけいる。
「ユリス、少しだけ待っていてちょうだい。すぐ終わらせてあなたの依頼手伝ってあげるわ」
「む、無理だよ!あんな数の人達!今から私も一緒に謝ってあげるからやめなよ!」
「心配ないわユリス。大丈夫だから観客席から見ていなさい」
まだ何か言いたげのユリスの頭を撫でて黙らして観客席に行く様に促して訓練場へ向かう。
…その時、職員の一人が大声で何か言っていたが我慢の限界でアエリアの耳には届かなかった。
■
訓練場に出ると五十人近い様々なランクの冒険者がアエリアと敵対する様に待機していた。
「ハッ…ギルド戦を思い出すわね…」
それを見たアエリアはインベントリから愛用の白黒のナックルを手に嵌めて力を籠め、刃が出る事を確認する。
”無慈悲な手”
製作者:コル
品質:神話級
コルによって作られたナックル。
この手に触れた者は一切の慈悲を与えられず、慈悲を請う事すら許されない。
※攻撃力強化※
※魔力量増加※
※魔力自然回復量増加※
「こっちは準備出来たけれど、あんたらは殺される覚悟は出来たのかしら?」
様々な罵詈雑言を吐いているが気合十分という事だけはわかった。
そして相手の冒険者達が何かを相談しており、作戦会議でもしているのかと思い腕組みしながら待っていると一人が訓練場の真ん中辺りまで歩いてきた。
「は?あんた何のつもり?全員で来ないの?」
「ハッ!威勢だけのアマが!てめぇなんて俺一人で十分だ!覚悟するんだな!!」
「はぁ…後ろのあんた達!!本当に一人ずつやるつもりなの!?時間かけたくないから全員で来て欲しいんだけど!?」
本当に時間をかけたくなかっただけなのにただの煽りだと思われてしまい誰も攻撃して来ようとしなかった…が、目の前の男にはその煽りがとても効いたらしく、怒声を上げながら突っ込んでくる。
「このアマぁ!!ぶっ殺してやる!!」
「はいはい、どうぞご勝手に。私もマジでやるから恨むなら馬鹿な自分を恨みなさいよ」
そう言って突っ込んでくる相手の剣を左手で鷲掴み、そのまま引き絞った右腕で鳩尾ではなくわざと横にずらし、チェストプレートごと肋骨を粉砕する一撃を叩きこむ。
「はぐあっ!?」
「はい、雑魚一匹終了」
拳を食らった男は剣を手放して後ろに控えている冒険者の塊に突っ込んで様々な衝突音を響かせながら土煙をあげる。
奪った剣を両手でバキバキに折りながら、
「次は誰?早くして欲しいんだけど。後、さっきの男すぐ治療しないと死ぬわよ?何人同時でもいいから早くかかってきなさい」
そう言うと今度は一人で突っかかって来た奴と同じパーティだったのか二人が飛び込んできた。
「ドルの仇!!」
「死ねやぁ!!」
「殺してないけれどね」
左右から挟むように攻撃してくる辺りこの二人はしっかりと連携を得意にしていると分かる…が、
「甘いわ」
まず右側の男の剣を右手で受け止めて砕き、左側の男の斧を左肘と左膝で挟み込むとそのまま右拳を斧に当てて砕く。
「「なっ!?」」
「残念だったわね」
「おごぉっ!?」
二人の武器を砕いた後、即座に右側の男の脇腹に回し蹴りを放ち、ガードされた腕ごと肋骨を蹴り砕き冒険者の塊へ吹き飛ばす。
「シンっ!?」
「何処を見てるのかしら?」
「はっ!?うがあっ!?」
それを見た左側の男がバックステップをして距離を取ろうとするが、まだバックステップで空中にいる男の背後へ瞬発してそのまま右フックで脇腹を殴り、肋骨を砕きながら冒険者の塊へ吹き飛ばす。
「ほら、一人二人で来たとしても簡単にぶっ潰せるんだから全員で来なさいよ!!魔法が撃てるやつは自分が使える最強の魔法でも使いなさい!!」
アエリアの相手は少数じゃ無駄だとようやく分かった皆は全員で突撃してくるが、突撃してくる奴らの中に『疾風迅雷』の名前を騙った男はいなかった。
「…あのギールとかいう奴は何処…っ!?」
疎らに迫って来る集団の中に『疾風迅雷』の名を語った奴の姿を探すが見つからず…その集団の後ろ、ハーレムの女達に守られている男が見えて怒りが爆発する。
「…っ!!!!!ギール!!!!!『疾風迅雷』の名前を騙っているあんたが何をしてんのよ!!!!!!!」
「ひっひぃ!?」
完全にブチ切れたアエリアの怒声を聞いたギールはその場で尻餅を付き、女冒険者達を盾にしつつ四つん這いで訓練場から出ようとするのが見えて更に怒りが増していく。
「この下種が…!!!そこまで腐ってるやつに…『疾風迅雷』を名乗る資格は無いのよ!!!」
叫びながら魔法を唱える。
「『グラビティフォール』!!!」
アエリアの口から魔法の名前が発せられた瞬間、突っ込んできた集団が全員地べたにうつ伏せで倒れ、苦しそうな呻き声が色んな所で聞こえると一人が悲鳴染みた声を上げ、すぐに全員が悲鳴を上げた。
「あ、があああああああ!?!?」
「つ、つぶれああああああああああ!?!?」
自身の体重も装備も全ての重量が増加し続け、重力に耐えれなくなった体はどんどん拉げて骨が折れる音が、何かが潰れる水っぽい音が聞こえ始めた。
「魔法を使うつもりはなかったけれど…ついカッとなって使っちゃったわ。反省はしないけれど」
そして魔法を解除すればそこには手足があらぬ方向へ向いている者や血の泡を吹いている者の死屍累々の光景が広がっていた。
「終わったら治してあげるからあんな下種の事を『疾風迅雷』と囃し立てた自分達の愚かさを呪って待ってなさい」
そう言い放ち、腰を抜かして股を濡らしている五人へ近づいていく。
「ねぇ、ギール。後、そこの取り巻きの馬鹿女達。どうしてこうなったか原因は分かるかしら?」
無慈悲な手を直しながら近づいて問いかける。
「た、たかが『疾風迅雷』って名乗ったからって…こ…ここまでするの…?」
「たかが…ですって?私にとっては大切な呼び名なのよ」
「ひ、ひぃ!いいいい痛い痛い!!髪!は、離してぇ!!」
たかがと言った女冒険者の髪を掴み、
「離してあげる…わよっ!!!」
「ぷぎゅっあ!?」
ぶら下げて右拳を顔面へ振り抜き吹き飛ばす。
「次はあんたよ」
「ひぎゅあ!?」
「次」
「ぎゅぺあ!?」
「次」
「ぶばっ!?」
髪を掴んだまま吹き飛ばした女達の様々な色の髪を地面にばら撒き、股から、目から、口から変な汁を垂らすギールの前に立ち、
「さぁ…最後はギール、あんたよ。私の大切な仲間の名前を穢した報いを受ける準備は出来たのかしら?」
金の髪を手に巻き付ける様に絡め取り、
「ぎっ!?…な…なかま…?おおおおおまえ…なにいってんだよ…500年もまえのやつをな、なかまとかああ頭おかしいんじゃないのか!?」
「…そう、それがあんたの最後の言葉ね」
「ぺがっ!?」
無慈悲に顔の真ん中に拳を振り抜き吹き飛ばした。
「…次、お前が『疾風迅雷』の名を語ったら殺す」
「おごっ!?」
ギールの顎を外して口に抜けた大量の髪を突っ込み、訓練場の真ん中で潰れている冒険者達へ近づき回復魔法を唱える。
「ったく…ほんとムカつくわね…『聖域』…『癒女神の息吹』」
アエリアの口から最上級魔法の名前が呟かれると冒険者の周りに白く心地のいい領域が広がり、全ての痛みや苦しみから解放する様に空から光の雨が降り、その雨に当たった冒険者達の体がパッと力強く輝き光が消える。
「へ…あ…い、痛くない…」
「な、治ってる…!?」
先程まで死にかけていた冒険者達が自分の体に起きた奇跡を確かめながらアエリアを見つめ…
「さて…これであんた達の怪我は治ったはずだけれど、まだ痛い所がある人はいるかしら?」
先程の死神と思えるような顔ではなく、慈悲深い聖母の様な笑顔を浮かべたアエリアに恐怖を抱いた…。
かなりやりすぎたアエリア…




