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再始動 -Second Life on-line- そして第二の人生が始まる  作者: 絢奈
第六章 天使の使いと巨龍の使い
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『私達の本当の姿』

「エルリ、ルエリ…大丈夫ですかぁ?」



 コルはポーションを使用しても治らない右眼の痛みに顔を顰めながら別空間に捕らえられていたエルリとルエリが無事か確認する。



「僕達は大丈夫だけど…ちーちゃんの右目は?」


「何でポーション使っても治らないの…?」


「わかりませんがぁ…二人を助ける為ならどうって事ないですよぉ」



 そう苦笑いしながらエルとデルに応急処置をしてもらい、エルリとルエリに現状を伝える。



「今…エルリとルエリを助けるのに皆でここに来てるのですがぁ…魔族の襲撃を受けて住民の避難をしている所なのですぅ。エルリとルエリには今から魔王を討伐する為に備えて欲しいので準備をしながら私達の護衛をしてもらってもいいですかぁ?」


任せてちーちゃん(任せてちーちゃん)



 エルリとルエリが準備をしている間にコルも出来うる限りの準備を進める為にインベントリを探っていると那奈がコルの目の前に現れ、頬に手を当てながら問う。



「右目…大丈夫なの?」



 エルとデルに巻いてもらった包帯を触ると血が若干滲んでおり、那奈は回復魔法で癒そうとするが一向に痛みの引かない右眼には効果がないと思い、那奈の手を優しくどかして言う。



「まだ痛いですが効果が無いようなのでしばらくはこのままで大丈夫ですぅ。それより…攫われたサクラバ・シンジの方をどうするか考えないとですねぇ…」



 インベントリから黒い首飾りを取り出し、首にかけながらコルは伝える。



「エル、デル。母様と一度お屋敷に戻って頂いても大丈夫ですかぁ?…最悪の場合、サクラバ・シンジは敵側に寝返った可能性もありますぅ。サクラバ・シンジはお屋敷に転移出来る可能性もあるので母様一人だとどうしても危険がなんですぅ」



 そうエルとデルに伝えると二人は軽く頭を下げて快諾してくれるが、那奈は表情を渋いものに変えながら言う。



「…私はここに残って怪我をしている人達の為に動きたいわ」



 コルは那奈から分かり切った答えを言われ、苦笑しながらも伝える。



「母様ならそう言うと思ってましたぁ…でもですねぇ?ここで危険を冒すより全てが終わった後に母様のお力を貸して欲しいのですぅ。今は癒しの力より敵を討つ力が必要なのですぅ…だから後でお力をお貸し頂いてもいいですかぁ?」



 那奈はコルから言われた言葉をかみ砕き、自分を納得させる為に思案する。



「…わかったわ。でも、みんな無事に帰ってきてね…?」


「ええ、私達は死ぬつもりも負けるつもりもありませんよぉ。次会う時は母様のお力が必要な時なので準備しておいてくださいねぇ。…エル、デル?お願いしますよぉ」


かしこまりました(かしこまりました)



 エルとデルは那奈を連れて転移の魔道具を使い、屋敷に一足早く帰っていく。



 この場に残っているエルリとルエリ、フェンリルにこれからどのような事が起きるか一緒に考えてもらう。



「エルリとルエリはこの後相手がどういう風に動くと思いますかぁ?」


「閉じ込められている間に僕達で考えたんだけど…もしかしたら帝国側から援軍が来るかも知れない…」


「その援軍は魔族が現れた事によって魔族を討伐するという大義名分でここに来ることが出来る。それで私達を魔族として討伐する可能性があるかな…」


「魔王を討伐する組と帝国側の進行を食い止める組の二つが必要となってきますねぇ…」



 コルは三人の言っている事を精査しながら今出来うる限りの作戦を立てていく。



「…わかりましたぁ。作戦を考えたので一度皆と相談して決めましょう~」





 ■





『…あたいはちー助組の方が負担大きいと思うが、どうなんだ?』


『俺様もそう思うな。こっちは全く問題はねーだろうけど…』


『…これが今考えられる最高の布陣なんですよぉ。負担が大きいのはお互い様ですぅ。負担が大きい小さいを抜きにして問題がある所は指摘してください~』


『負担抜きならフェイナちゃん的にはばっちりだと思うよ?』


『私もそう思う』


『僕達もそう思うかな…』


『ルエリの言う通りね…』


『私はリアよりいい案出せないからこれでいいと思う』


『私もチヅル様の案に変な部分は感じなかったので大丈夫です』


『私も大丈夫です』


『…ではその様にみんな動いてくださいねぇ。…私達は誰も死人を出す事なくこの出来事に終止符を打ちますぅ』



 コルは通信を切り、傍にいるエルリとルエリの頭を撫でながら言う。



「エルリ、ルエリ、復帰して早々だけどお願いしますねぇ?」


任せてちーちゃん!(任せてちーちゃん!)



 快諾したエルリとルエリは一瞬でコルの目の前から姿を消し、この場にいるのはフェンリルとコルルだけになり、コルはフェンリルの頬を両手で包みながら額をくっつけていつもの口調では無く真剣な声色で囁くように言う。



「フェンリル…さっきは怒鳴ってごめんなさいね。私は仲間の為なら何でもしてあげたくなるの。きっと貴方には心配をかけるかも知れないけど…それでも一緒にいてくれる?」



 フェンリルは心配そうな表情から安らかな表情になり、頬を包んでいる両手に手を重ねながら目を閉じ、コルの前で跪く。



「私はお母様の牙であり爪です。どんな困難も『私達』はお母様の為に道を切り開いて見せます。この身はお母様の為に」



 フェンリルの宣言を聞いたコルは無事な左眼を閉じながら優しい笑みを作り、こうする事が自然な事だと思いながらフェンリルの額に唇を触れさせるとフェンリルの身体がキラキラと小さい粒子に変換され、その粒子がコルの身体を覆う様に漂って行く。



 コルは元のフェンリルをイメージすると粒子は意志を持ったように爪を作り、牙を作り、コルの身体をフェンリルの強靭な肉体へ作り替えていく。



「…これがこの世界で心を通わせた『私達の本当の姿』…」



 髪は水色から白く精霊光を発する長髪へと変わり、ツンと尖った狼耳、目はフェンリルと同じ金色の瞳、肩から腕までを守るような真っ白な手袋と何でも切れると思わせてくれる鋭く、強靭な爪。



 太ももからつま先までも同じように真っ白なブーツの姿になったコルは四足歩行をすればまさに小さな人型のフェンリルと言える姿に変わる。



「…声は聞こえないけど暖かい…ちゃんとフェンリルはここにいるんですね…」



 胸に手を当て、自分の中に別の存在がいる感覚を感じながら黒い首飾りに触れて魔力を流し込んでいく。



 その場に立ち尽くしながら魔力を籠め始めて数分、黒い首飾りが強く発光し始めたのを確認してコルは魔力を込めるのを止める。



「…後で貴方の力が必ず必要になります…だからもう少し待っててね」



 そう呟いたコルはしゃがむように両手を床につけ、一瞬で崩れた宿から姿を消す。



「…コルの身体でここまでの身体能力…千棘の身体でゴエティアの首輪を使った時と同じぐらい…」



 コルの身体ではありえない程の身体能力に驚愕しながら、魔族の攻撃によって崩れている街を四本の足で疾駆する。



「フェイナとアルメラはもう先に着いてるかしら…」





 ■





「ここだよね?ちーちゃん組の集合場所?」


「私に言われても正直わからない」


「…アルメラは方向音痴を直さないとね…」



 フェイナとアルメラはコルから事前に伝えられていた集合場所へ魔族や悪魔を殲滅しながら辿り着いていた。



 コルが指定した場所は女神セッテを信仰している神殿の中にある元聖域だった。



 事前に那奈からは聖地が何処にあるのか等の情報をもらっていた為、フェイナ達は先に辿り着いてコルを待ちながら聖域を見渡していた。



 その元聖域は那奈がいて正常に機能していればとても神秘的な場所だったと思える場所だったが、今は緑は枯れ、花は萎れ、川の様な水源は魔族達に破壊された神殿の瓦礫などが沈んていたりしてとても神秘的な場所には映らなかった。



「これがお義母様がいなくなった聖域…」


「今は見る影もないけど、きっといい場所だった」



 フェイナとアルメラは荒れた聖域を悲しそうに見つめながらコルを待っていると、神殿が崩れて穴の開いた屋根から白い何かが落ちてきて爆発したかのように砂埃をまき散らす。



 フェイナとアルメラは一瞬で戦闘態勢を取り、油断なく土埃の中心を見つめると白い女性がこちらに歩いてくるのを見つける。



「フェイナ、アルメラ、お待たせしました」



 そう声をかけられたフェイナとアルメラは目を見開きながら戦闘態勢を解く。



「ちょ、ちーちゃん!?何その格好!!」


「…一言で言うなら野性的なお姉様…」



 コルはフェンリルの様な爪等の武器防具を身体に纏っているだけだと思っていたが、フェイナとアルメラの目からは別人の様に映っていた。



 コルの身長は150㎝から180㎝程まで伸びていて、豊満な胸はさらしの所為で窮屈そうに潰され、腰にはローライズ気味な白いホットパンツで最低限隠し、かなり露出された真っ白な肌の腹は薄く筋肉が割れているように見えた。



「…ヤバい…このちーちゃんは反則だ…これは惚れない方がおかしい…」


「…フェイナと同意見。私の理想そのもの…」



 フェイナとアルメラは少し顔を赤くしながら近づいて来たコルを少しだけ見上げる。



 コルは自分の身長が伸びている事に気付いておらず、自分より小さいフェイナとアルメラを見て小首を傾げる。



「…?フェイナとアルメラは身長が縮んだのですか?」


「違うよ!コルの身長が伸びてんの!!」


「私達は今まで通り170㎝ぐらい」


「…ああ、この状態だと身体自体が変わってるのですね…」



 納得したように自分の身体をペタペタと触っているコルに見惚れながらフェイナが疑問に思っている事を伝える。



「ちーちゃん?その姿はどうしたの?喋り方もいつもと違うし…その右目の包帯は?血が滲んでるよ?」


「この姿は…『私達の本当の姿』みたいなんです。フェンリルと一体化…強いて言うなら『獣神化』でしょうか?この世界に来てから私達の絆がより強くなったおかげで一つになった…って感じですね。喋り方はきっとフェンリルに引っ張られてるんだと思います。右目は…エルリとルエリを助ける為に無理した代償です。痛みはもうないので安心してください」



 フェイナとアルメラは獣神化…と呟きながらコルの身体を隅々まで見ていくが、コルはそんな二人を見ながら手をパンパン…ぽふぽふと鳴らして視線を集める。



「ほら、私達は私達の仕事をしに行きますよ。魔王がいるであろうあの城へ正面突破を仕掛けます。ユリスとルノ、フィーヤは先に潜り込んでサクラバ・シンジを探しているはずです」



 コルがそう伝えると一瞬で真剣な表情になったフェイナとアルメラは何時でも戦闘出来るように、盾と剣を手に持ちながら頷く。



 その二人を見たコルも一度頷きながら二人へ言う。



「フェイナ、アルメラ。帝国の攻撃が来る前に、片を付けに行きますよ!」


「りょーかいちーちゃん!」


「任せて」



 三人は天井に穴の開いた元聖地から飛び出て魔王がいるであろう城まで、街に蔓延っている魔族と悪魔を蹴散らしながら突き進んでいく…。

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