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再始動 -Second Life on-line- そして第二の人生が始まる  作者: 絢奈
第六章 天使の使いと巨龍の使い
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音信不通

「フェイナ?エルリとルエリからの連絡はまだないんですかぁ?」


「うんー…昨日ちーちゃんが目を覚ましたって伝えてからまだ来てない…お昼と夜に連絡するはずなんだけど…お昼の連絡が来ないし、今までこういう事はなかったんだよね…」



 コルとフェイナはポーションを作る作業室でエルリとルエリからの連絡がない事について話していた。



 作業室には色んな薬草や瓶が所狭しと置いてあり、テーブルの上に他の物を置く余地はなかった。



 フェイナは椅子に腰かけながらコルが作っていくポーションを人数分に仕分けたり、種類分けをしていた。



 この作業室にはフェイナの他にエルとデル、母とわかった那奈も同席して皆でポーションの仕分け作業を手伝っていた。



 コルは四人の仕分け作業に負けない勢いでポーションを作っており、机の上に置かれた薬草と瓶を消費していく。



 瓶と薬草が無くなればエルとデルが補充し、作った物を那奈がフェイナの元へ運ぶというラインが出来ていた。



「ん~…流石に心配ですねぇ…このポーションを作り終えたら聖地セルファスにいきますかぁ。もしかしたら既に魔王がエルリとルエリの存在に気付いて何か仕掛けてきたのかもしれませんしぃ」


「そうだねー…あの二人なら死なないだろうけど…魔道具とかが使えない場所に閉じ込められてたりするかな?」


「その可能性は高いですねぇ。別空間に隔離されている可能性もありますし~…そうなるとどうやって見つけたらいいんでしょうかねぇ…」



 作業室の皆で頭を悩ましていると那奈があっと声を漏らす。



「セッテなら…と思ったけど教えてくれるわけないわよね…」


「…それ、いい考えかもですねぇ?」



 コルが那奈の考えを聞いて思いついた事を言う。



「私と母様の眼には時と空間の象徴が刻まれてますぅ。空間を司る神眼ならもしかしたら見えないものが見えるかもしれないですねぇ…」



 コルは右眼に意識を集中させると箱の様な模様が浮き上がる。



 左眼を閉じて視界を狭めても特別なものは何も見えないが、何かが切り替わったような気がした。



 脳の中で何かが嵌る様な感覚…何かフィルターがかかっている様な感覚を覚えながら意識を右眼から外すとまた何かが外れる感覚を感じながら言う。



「片目ずつ意識すると何かが変わる感覚がありますねぇ…母様は試した事ありますかぁ?」



 那奈は可愛らしく首を傾げながら思い返す。



「んー…覚えてる限り、試した事ないわね…」



 そう言って那奈も同じように左眼を閉じて、右眼に意識を集中させる。



 集中している那奈を見ていたコルは那奈が何かに気付いたような表情をしたのに気付いた。



「…確かにパズルのピースが嵌った感じがするわ…なんていうか、別の世界を見て…え!?私の身体にもアエリアちゃんと同じ鍵がかかってる!?」



 那奈は自分の身体を右眼だけで見ると身体に巻き付いた鎖と様々な鍵穴の錠前が現れて驚く。



 コルも同じように左眼を閉じて、もう一度右眼に意識を集中させるがハッキリと見る事は出来なかったが…言われてみれば確かに何かが巻き付いているように認識出来る。



「…んー…ハッキリとは見えませんがぁ…確かに何か巻き付いている様な…本当に気のせいレベルですけどぉ」



 コルの言葉を聞いてフェイナが疑問に思う。



「んー?何でお義母様はハッキリ見えてちーちゃんは見えないの?ていうか何でお義母様の身体にちーちゃんと同じ封印だっけ?それが施されてるの?」


「…多分それは神眼になってから一日しか経ってないからかもしれないわ。それにこの封印…解くのにかなり時間がかかるかも…」


「んー…見えない理由はそれが一番しっくり来ますねぇ…でも封印ですかぁ…セオリー通りなら神の力を封印してるからでしょうかぁ?今、無理やり解除したら暴走してしまう可能性もありますからぁ、解除しなくてもいいですよぉ」



 フェイナと那奈は確かに…といった表情で納得するが、エルが考察を口にする。



「コル様、可能性として考えられるのは…那奈様は神の力を使う毎に記憶の混濁、もしくは消失が起こると耳にしております」



 続きの言葉をデルが言う。



「今、那奈様に施されているという封印は記憶の封印をしているという可能性もございます。実際に忘れているのではなく、記憶を封印する…であれば、消失は封印がしっかりされ、混濁は封印が未完成という考え方も出来るかと」



 コルはエルとデルの考察を聞いて小さく頷く。



「確かにそうですねぇ…そう考えられる…逆にそうとしか思えなくなってきましたがぁ…何故記憶の封印をするんでしょうねぇ?」



 フェイナはエルとデルの考察を聞いて思いついた事を言う。



「記憶が完全に無くなれば新しい人生を送れるからとか?人の繋がりって出会いと別れでしょ?…流石に飛躍しすぎてるかな?」


「そういう考え方も出来るわね…セッテに聞いても絶対に教えてくれないでしょうし…今は特に困っていないから後で考える事にするわ」


「そうですねぇ…っと、ポーションは全部作り終わりましたぁ。一旦みんなを集めて分配しましょうかぁ」



 コル以外の人は返答し、人数分に仕分けた様々なポーションをマジックバックにしまいコルの部屋に向かって行く…。





 ■





「みんなお待たせ。一応人数分各種ポーションを揃えたからマジックバックから取り出して確認しておいてね」



 コルから千棘になった後、部屋に鏡、ユーラン、フェイナ、アルメラ、ユリス、ルノアール、フィーヤ、エル、デル、那奈にポーションを配っていた。



 受け取った人が中身を確認して行くのを見ながら千棘は伝える。



「エルリとルエリが今日の定時連絡をしなかった…定時から3時間経ってる今も無い。だから二人は何かに巻き込まれてる可能性がある。だから今から迎えに行くんだけど…もしかしたらそのまま魔王との戦闘になる場合を想定してみんなで行こうと思う。準備は大丈夫?」



 全員の顔を見渡すが、特に問題が無さそうだったので千棘は続ける。



「よし、じゃあセルファスに行った後の行動を指示していくよ。まずユリスとルノ、フィーヤちゃんは三人で固まって冒険者ギルドに行ってこれを見せて魔族がこの街に潜入している事と魔王が聖教国ファーレンを狙っている事を伝えて。もし、ギルドが住民の避難を優先するなら手伝ってあげて。避難じゃなく、討伐隊を出すとか言い始めたら勇者が向かってるから来なくていいって突っぱねて欲しい。それでも来るような奴は戦闘に巻き込まれて死んでも仕方ない。その後の指示は随時行うからね」


「りょーかい!」


「わかりました、チヅル様」


「わかった、チヅルさん」



 三人にエルラシア国王が発行した勇者としての証を渡して他の仲間に視線を向ける。



「ユーランは三人に言った事を生産者ギルドでやって欲しい。生産者ギルドからは討伐隊を出すなんて発想は出ないと思うから、終わったら避難誘導と住民を魔族が襲った場合の護衛を頼むよ」


「あいよ、あたいに任せときな」



 ユーランは千棘から渡された証を持ち、お手玉の代わりにする。



「鏡は全体が見渡せる場所でどこに魔族がいるのかユーラン達に教えてやって欲しい。後は遠距離からの味方の支援だね…出来そう?」


「俺様を何だと思ってんだ?んなのよゆーだぜ、ちー」


「おっけー。じゃあ、アルメラとフェイナは鏡の護衛をしながら手が足りない場所のフォローをお願いするよ」


「わかった」


「りょーかいちーちゃん!」



 残った那奈、エル、デルに視線を向けて言う。



「エルとデルは()()()の護衛を頼むよ。神軍の白衣と黒衣も使っていいからね?僕は母さんと姿が似てるから、神子の聖女に成りすましてサクラバ・シンジと一緒に各地に散らばった捜索隊を聖教国ファーレンに戻らせる為の囮になるよ。だから母さんはこの『変装の腕輪』と『偽装の腕輪』で姿と身分を変えておいて欲しい」



 千棘はそう伝えて那奈に腕輪を二つ渡す。



「わかったわ…」



 那奈は腕輪を嵌めてコルとそっくりに変装し、自分の姿を確認してにっこり微笑む。



お義母様の護衛(お義母様の護衛)、承りました(、承りました)



 エルとデルも承諾して軽く頭を下げる。



「よし、それじゃあ…ってみんなどうしたの?」



 行動を開始しようとするがフェイナ、エル、デル、那奈以外の仲間が全員驚いた表情を作りながら固まっていた。



「お、おいおい…聞き間違えか?ちー、おめぇ…神子の聖女さんの事、母さんって言ったよな…?」



 千棘はあっと手を叩いて自分と那奈の関係性を簡潔に皆へ伝える。



「実は…神子の聖女こと那奈は…僕がこの世界に来る前の本当の母親だって事がわかったんだよ…」



 皆が絶句し、千棘と那奈を交互に見ていると那奈が言う。



「ふふふ、千弦にこんな素敵なお仲間がいてくれて母さん嬉しいわ。今回の事が終わったら詳しくみんなにお話するわ。だから私の事は那奈って呼んでくださいね?」



 那奈がコルの格好で千棘の横に立ち、千棘の頭を撫でるが千棘は顔を少し赤くしながら抵抗する。



「ちょ…ちょっと母さん…今真面目な話の最中だから…」



 千棘がそう言うと皆は本当に母親なんだと認識して言う。



「ま、マジか…ナナさん…いや、ちーママでいいか。俺様は鏡って呼んでくれ」


「ちー助の母さん……確かにちーママだな」


「私は千棘ママって呼ぶわ」


「リアのお義母さん…」


「チヅル様のお義母様…!あ、後でお話しましょう!二人っきりで!」


「ちょ、ルノ!抜け駆けダメだよ!私も一緒にお話しましょ!お義母様!」


「あらあら…私って人気者かしらね?」


「母さん…ほらみんな!!話は後だよ!!今はエルリとルエリに会いに行くことが先!皆準備はいい!?」



 わちゃわちゃしていた雰囲気を断ち切り、本題に気持ちを切り替えさせて皆の表情を見る。



「…よし、今から10分後にセルファスに移動するよ!!ルノは転移魔法で全員運ぶ用意をしておいて!各自10分後再集合で!」



 皆は最終確認の為、自身に割り当てられた部屋に向かい忘れ物が無いかチェックしに行く。



「…さて、サクラバ・シンジ君にも来てもらわないといけないからね…」



 千棘は那奈と同じ巫女服に着替えてサクラバ・シンジを閉じ込めている部屋に向かって行く。



 魔法や魔道具が使えない部屋の扉をノックし、中に人がいるか確認する千棘。



「はい、どうぞ」



 サクラバ・シンジの応答を聞き、千棘は那奈になりきって言う。



「フィールド、皆様が魔王討伐の準備が整ったと言っておりました。私達は魔族を誘き寄せる囮として皆様とセルファスに戻る事になります。付いてきてくれますか?」



 サクラバ・シンジは千棘の姿を見てその場で跪きながら言う。



「わかりました、ナナ様の盾としてご一緒させて頂きます」

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