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再始動 -Second Life on-line- そして第二の人生が始まる  作者: 絢奈
第六章 天使の使いと巨龍の使い
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神託を受けた者達

明けましておめでとうございます。


新年最初の投稿です。



これからも毎日投稿、最低でも一話はこなせるようにしていきますので、どうぞよろしくお願い致します。

 深夜…人の気配の全くしない無人の建物の中。



 ぱっと見は古くなった建て直し予定の教会にも見える建物の中に三人の少女とフードを剥がれた青年…金髪黒目の青年がいる。



 だが…構図としては三股をかけていた男が腕を後ろ、足は胡坐をかくよう足首で縛られ、何処にも逃げられない様に拘束されて問い詰められているとも見える、殺伐とした雰囲気が四人から醸し出されている。



 そして兎の耳を持つ白い少女が青年の首に短剣を突きつけながら問う。



「で?私達をずっと追い回していたストーカーは、どういったご用件で?返答次第じゃ耳とか指を一個ずつ落としていくから、いいお話を聞けると嬉しいわ」



 兎の少女は言い終わると青年が胡坐をかいている足の間に勢いよく短剣を突き刺し、男にしかわからない恐怖が全身を襲ったのか、身体を縦にびくりと伸ばし、少女を怯えた目で見つめる。



 すると赤髪の少女は両の掌に自身の魔力を纏わせ、炎を出すとかなり暗い建物の中を暖かい光で照らしていく。



 だが、赤髪の少女も部屋を照らす為に手に炎を纏わせたわけではなく、赤く染まった手で青年の口が滑らかになるように青年の顔に手をゆっくりと伸ばしていき、青年が熱を感じる場所で手を止めて一つ提案する。



「結構整った顔立ちしているけど…その顔をドロドロにして、もっと素敵なお顔にしてあげよっか?」



 その提案を聞いた青年は縛られて手足が動かせない状況の中、身体の重心を前後に揺らしてお尻だけで徐々に後ろに下がっていくが、股の間にある短剣に引っかかって後ろに下がれなくなってしまい、歯の根が合わない様子で口を開けたり閉めたりして途切れ途切れの言葉を発するが…少女たちは聞き取れないでいる。



「ち…まっ!!はな…!」


「二人とも、そこまで脅したら喋りたくても喋れませんよ?」



 青年の後ろから可愛らしい落ち着いた声が聞き、ここにも話の通じる相手がいたと青年は縋るように首だけで後ろを見る。



 青年と同じ金髪だが彩度が全く違う綺麗な金髪で、一本一本の髪が細く炎の光でキラキラと輝いて見え、空の様に澄んだ水色の瞳を持つ少女はきっと天使の様に青年の目には映っただろう。



 だが、次の瞬間、その天使の両手からバチバチと恐怖を煽る様な音が鳴り、目にも見える程の電気が帯電していた。



 その帯電している電気は炎の暖かい光ではなく青白く周囲を染め上げ、青年に天使の様に微笑みながら二人の少女に提案する。



「身体の一部を落としたり、皮膚を焼くのもとても非効率ですよ?直接頭に電気を流し込んで勝手に話してくれた方が穏やかです。私、先生に頭の中の構造を教えてもらいましたので実験して見てもいいですか?」



 微笑む笑顔からは想像の付かない発言を聞いた青年は下を向き、小さく震えていたが…もう我慢の限界と思わせるような大声で三人の少女に言葉をぶつける。



「き、君たちは悪魔か!!話を聞いてくれぇぇぇぇぇ!!!」



 魂の叫びを聞いた少女たちは悪魔と呼ばれた事に少し心外そうな顔をしながらも言葉を発さずに青年の続きの言葉を待つ。



 青年も何も言い返さない事を話す余地があると感じて震えながらも話し続ける。



「す、済まないがここでは誰かに話をき、聞かれる可能性がある…ぜ、絶対にばれない場所に連れていってくれないか…?そこでちゃんと話す…」



 少女たちは男がようやく話したと思ったらまさかの場所移動の提案だった為、金髪の少女が、



「私の魔法で音は一切聞こえない様にしています。それでもここで話さないと?」



 両の手の電気を強めながら問いかけるが、どうしても譲れないのか震えながらもきっぱりと伝える。



「あ…ああ、声が聞こえないだけじゃ、口の動きや思考を読まれる可能性がある…だから本当に何も邪魔がない所に連れていってくれ…」



 思考を読む相手がいる程の事情を抱えている事実に少女たちは顔を見合わせながら項垂れる。



「かなり厄介な事情持ちが接触してきたのね…」


「どうします?問答無用で頭に電気流して聞き出します?」


「んー…この人の言っている事が正しかったら流石にここで情報を開示するのは得策じゃないと思うけど…」


「仕方ないか…屋敷に転移お願いしてもいい?」



 兎の少女からの問いかけに金髪の少女は少し頭を悩ませ、逆に問いかける。



「でも、屋敷に連れていっていいのですか?もし私達の敵なら…」


「その時は記憶でも消して放り出せば大丈夫じゃない?」



 赤髪の少女は続けて言う。



「最悪の場合、手を汚しても構わないよ。私はそれぐらい覚悟しているから」



 赤髪の少女の覚悟を聞きた金髪の少女は軽く頷いた後、青年の肩に手を置き、指揮棒の様な杖をしまって手を二人の少女に差し出す。



「わかりました、屋敷に転移しましょう」



 二人の少女は手を取り、四人の人影は一瞬で教会の中から消える…。



「何処の手の者だ…?」



 教会の外から四人の動向を探る者がいた…。





 ■





 誰もいない教会からエルラシア王国、王都リライアにある屋敷の応接室へ転移してきた四人は青年の拘束を解き、各々ソファに腰を掛ける。



 突然拘束を解かれ、何も警戒しない三人の少女に青年は少し戸惑いながら話しかける。



「え、えっと…ここは安全な場所なのか…?どこか一応聞いてもいいか…?それに警戒しなくてもいいのか…?もし俺が君達に不意打ちしたらどうするんだ?」



 兎の少女は深い溜め息を吐きながらジト目で青年に答える。



「はぁ…ここはこの世界で一番安全な場所。いくら魔王でもここに攻め込む事すら無理。あんたが本気を出して私達に危害を加えようとしてもそれこそ無理な話だよ。ここには私達の師匠のメイドさんが二人いるからね」



 兎の少女から言われた言葉に怪訝な表情を浮かべた青年は部屋を見渡しながら自分の疑問を伝える。



「え、ええ?安全なのは…確かにわかるけど、君達の師匠ってメイドさんなの…?それであんなに強かったの…?」



 うんざりした表情で青年に答えようとした兎の少女は口を開けて…閉じた。



「…?」



 青年は答えてもらえるのかと少女の顔を見ていたが、口を閉ざしてしまったのを見て首を傾げた時…両頬に硬質な物が触れた。



「へ…なにこれ?」



 そんな素っ頓狂な声をあげながら両頬に触れた物を見た瞬間、光が反射する僅かに沿った白い刀の刃と光を飲み込む黒い刀の刃が視界に入った。



「さて、夜中にお屋敷へ無断侵入をした四名様、どういった状況なのかご説明頂いても宜しいでしょうか?」


「問答無用でお仕置きを実行した方がいいのではないですか?」



 部屋を見渡して目の前の少女達しかいない事を確認していたのにもかかわらず、突如自分の後ろに姿を現した二人はメイド服を纏った女性は天使と悪魔だった。



 その女性を見た瞬間に刀を突きつけられている事も忘れて大声をあげてしまう青年。



「は、はぁ!?!?な、何でここに天使が…って!?な、何で悪魔がいるんだ!?お、お前達魔王の手先だったのか!?!?っぶべっ!?」



 さっきから驚いたり質問してばかりの青年にいよいよ痺れを切らした兎の少女は一発青年の顔に拳を叩きこみ落ち着かせる。



「さっきから驚いたり質問したばかりで話が進まないんだけど。私達は魔王の手先じゃない、その二人が私達の師匠。…何で私達がここにいるかは今から話す内容を聞いていてもらえたらわかるので、その白と黒の刀を私達にも向けるのはやめてもらっていいですか…!」



 天使と悪魔は少女達にも刀を向けていたが、ヒュッと空気を斬ってそれぞれの色と同じ鞘に刀を納めて少女達を見て、天使が言う。



「夜中にいきなり帰って来られると、こちらもおもてなしの準備が出来かねてしまいます」



 続けて悪魔が言葉を発する。



「お屋敷へ帰ってくる際は一度、連絡を入れる決まりでしたがお守り頂けないのですか?」



 その反論を許さないメイド達の雰囲気に三人の少女は小さくなりながらごめんなさいと伝える。



 そして軽く息を吐いたメイド二人は天使、悪魔の順番で、



「ふぅ。今からお茶を準備致します」


「お話が出来るよう、気分を落ち着けてお待ちください」



 そう言い残して部屋を退室し、お茶の準備に向かっていった。



 三人の少女はメイド達の後ろ姿を見届けた後、ここ一番疲れた溜め息を吐きながら安堵する。



「た、助かった…」


「あの方達をまた怒らせてしまいましたね…」


「ま、まぁ…怒られ慣れてたとしてもやっぱり怖いね…」



 そんな事を呟きながら兎の少女に殴られた頬を抑えながら放心している青年に話しかけ、メイド達が帰ってくるまで応接室のソファに身体を沈めて静かに待ち続けた…。





 ■





「…それで本当にデル…さんは魔王の手先じゃないんだよな、ユリスさん…」


「シンジ・サクラバ…あんたもしつこいんだけど?私達は敵同士じゃないからお互い自己紹介もしたのにまだ信じらんないって言うの?そんなに私達の事を疑うならただじゃ済まさないけど?」


「わ…わかったって…信じるよ…まったく…」



 お互い自己紹介をし、敵同士じゃないという事を確認し合った後、エルとデルが入れてくれたお茶を飲みながら六人は応接室で話し合いをしていた。



 デルは悪魔だが、この屋敷でメイドとして働いている事を確認した上で魔王の手先じゃないのかとしつこく訪ねてくるシンジ・サクラバと呼ばれた男にユリスは鋭く威圧していた。



 その威圧を受けて言葉に詰まりながら、ユリス、ルノアール、フィーヤの師匠が彼女達の後ろに立っているメイド二人という事実に頭を抱えていた。



(あの強さの三人の師匠がエルさんとデルさん…?三人が束になってもあの二人に勝てないとか…俺はここじゃ一番最弱なのか…?)



 残酷な真実に心が折れそうになるが気を取り直し、



「それで詳しい話をするんだけど…ユリスさん、ルノアールさん、フィーヤさんは…『白黒(はっこく)の眠り姫』、『黒と薔薇の騎士』…この言葉に思い当たる事はないか?」



 そう問いかけた。



 その問いは名前を呼んだ三人だけでなく後ろに立っているメイド二人も顔を強張らせ、応接室の空気が殺気立ち、肌を刺すような感覚にシンジ・サクラバは冷や汗をかく。



(な、なんだ…?空気が変わった…俺の返答次第じゃ次の瞬間には首が飛ぶかもしれねぇ…)



 問うた後、少し時間が空き、金髪の少女…ルノアールが口を開く。



「シンジ・サクラバさん。その眠り姫と騎士を見つけてどうするつもりなんですか?」



 その言葉を聞いた瞬間、シンジ・サクラバは目の前にいる女性達が全員得物に手をかけるのを見た。



 両の手をあげながらシンジ・サクラバは誠実に答えていく。



「本当に何か危害を加えるつもりはないという事を信じて欲しい」



 そう言葉にしてから続ける。



「俺は神子の聖女…『ナナ』様から神託の内容を聞かされて君達に接触しようとしていた…」



 一息吸って、前にいる女性達をしっかりと視界に捉えながら告げる。



白黒(はっこく)の眠り姫…黒と薔薇の騎士に連れられこの地に…導きたるは白兎(はくと)と姫を憂う少女達…願うは眠り姫の目覚め…漆黒の巨竜を従え魔の王を討つ者……君達は今日、正確には昨日の昼頃に行われたナナ様の御業を見に来ていただろう?その前に俺は神託を聞かされていたから君達を探していたんだ…」



 その話を聞いた女性達は目を見開きながら言葉を失う。



 話の内容を各々頭の中で何度も何度も思い返していると応接室に入ってくる二人の女性が目に入る。



 シンジ・サクラバはその女性を見た瞬間に思い至る。




「黒と薔薇の騎士…貴女達の事ですね…導きの白兎…ユリスさん、姫を憂う少女達…ルノアールさんとフィーヤさん。貴方達の願いは神子の聖女ナナ様に、白黒の眠り姫を起こしてもらう事で間違いありませんか?」



 黒い騎士は言う。



「私はウェイナ、シンジ君が言う通り私達はその白黒(しろくろ)の寝坊助さんを起こしたいの」



 薔薇の騎士は言う。



「私はアル、シンジ、本当に神子の聖女ナナって人は私達の眠り姫を起こせるの?」



 シンジ・サクラバは俯きながら薔薇の騎士…アルメラの問いに答える。



「絶対とは言えない…だが、ナナ様は他の誰も使えない…神格魔法という神の魔法を使う事が出来る。情報はある程度分かっていると思うが、どんな病、どんな怪我、どんな呪いでも癒せる力だ」



 ここにいる人物全員を見渡し、アルメラを見つめて続ける。



「…だけど、そんな神の力が何のリスクも負わずに使えるわけじゃない。今、ナナ様は聖地セルファスにある聖域と呼ばれる場所で療養してもらっている。今回、ユリスさん達にナナ様の神格魔法を見せたのは君達を呼び寄せる為だった。その力を使ってもらうのにこちらも何もなしじゃ受ける事は出来ない」



 そしてシンジ・サクラバはソファから立ち上がり、頭を下げて言う。



「ナナ様の神格魔法で白黒の眠り姫が目覚めなかったとしても、俺達の目的…ファーレン聖教国にいる『魔王』を倒す手助けをしてくれないか…?」

ブックマークと評価、本当にありがとうございます。


ブックマークをしてくれている人が増える度にパソコンの前で小さく拳を握ってしまいますが、モチベーションが上がりますので、よろしくお願いします。

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