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再始動 -Second Life on-line- そして第二の人生が始まる  作者: 絢奈
第五章 エルフの英傑と黒の勇者
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問題児『勇者』様

第五章始まります

 海上王国アクエリア、精霊の国で一騒動あってから3ヶ月の月日が流れていた。



 まずフェイナとアルメラはダンジョンを制覇した後、アイドル活動をしながら各国に旅をしていた。



 まだ見つかっていない六月一日 鏡(うるわり きょう)からの接触の可能性が増えるかもしれないからだ。



 それに合わせて雲の上の国が今どの辺りを浮遊しているのか等も調べてもらっているが…全く成果はなくクラン【ダフネ】のメンバーの知名度がどんどん上がっていくだけだった。



 最近では元祖アイドルとして千棘が変装したチルを筆頭にフェイナ、アルメラの二名がアイドルになり、憧れた女性の冒険者もアイドル活動のような事をしていた。



 自分の持ち芸だったり歌を歌ったり料理をしたり等々…



 そんな中でも不動の人気を誇っているのはチルだった…歌って踊れて観客のツボをこれでもかと押さえているのはチルしかいないと言われる程だった。



 そんなこんなでフェイナとアルメラは絶賛各国へ旅をして情報収集の真っ最中だった。



 ノエルはまた隣国シドフィア帝国がきな臭いという事で公務に勤しんでおり、屋敷に来ては愚痴を言ったりお風呂を楽しんだり自分の屋敷では絶対に見せないような弱い部分を曝け出してリラックスしていた。



 そしてシエルは間近でチルやフェイナ、アルメラを見ていたのでアイドル事務所なんていうものを作り、チル達もそこに所属していた。



 それを聞いて野良アイドルだった者達はそこに入る為にシエルの審査を受けたりアイドルとしての特訓をしていた。



 シエルはとてもやりがいがある、女性の魅力を引き出すのがこんなに楽しいとは思いませんでした!と、世の女性に変われるチャンスを与えていた。



 ユーランは相変わらず自分にしか作れない武器を作るぜ!と言いながら屋敷の工房とノエルとシエルが経営するエルノ・シエル工房を行き来していた。



 ユーランが指導した職人達はどんどん腕を伸ばしていき、今ではベルファスト工房を追い抜き大人気のお店に昇華していた。



 最近では鍛冶師を目指す学校の教員にならないかと学術都市ティクスの学校に誘われているほどだった。



 ユーランはずっといるのは無理だから月一でなら顔を出してもいいという事で教師にもなっていた。



 精霊の国で再会したエルリとルエリは精霊の国の外交大使として色々な国で外交を行っていた。



 精霊女王もコルの言葉を実践するようにまずはコルの身内だけを国へ招待し、交友を深めていった。



 エルリとルエリの事を害せる者は今の所いないのでこれ程適任な者はいないと強気で各国と交渉して精霊族の立場をどんどん固めていっている最中だった。



 精霊女王は息子のカルラと一緒に頭を悩ませ、精霊女王が出せないような意見を息子に出してもらい、息子が見落としている事があれば精霊女王が補足するというとてもいい流れが出来ていて特にこれからの事に不安はなかった。



 海上王国アクエリアの女王、アイシャは正式にウィールが王族であると発表した後、国の運営を行いながらウィールに政治とはなんたるかを仕込んでいた。



 ウィールの悩みは最近女王が勉強ですと言いに来るのが見える事が辛いと言っていた…。



 魔族の謀で心に傷を負った者もどんどん復帰しており、今では前以上の活気でアクエリアは盛り上がっていると近況報告も受けていた。



 フリエスとアリエスはお抱えの冒険者と生産者が全員Sランクになり、敏腕サブマスターと呼ばれていて、ついにはギルドマスターに昇格するというスピード出世をしていた。



 二人は姉妹という事もあって綿密な協力体制を作り上げて両ギルドを更に発展させており、カルフィード共和国に負けない程の冒険者、生産者の国に作り上げていた。



 最近ではその功績で王に謁見する事になったとてんやわんやしていたので王達にあんまり形式ばった事はしないであげてと口添えし、お茶会という形に落ち着いてなんとか今後の活動等の話が出来たとお礼を言われていた。



 ライゼンは前回の不甲斐なさでずっと落ち込んでいた所をアクエリアで孤児院を経営しているサリィに慰められて惚れた様だった。



 今は孤児院の子供達に剣を教えてここから卒業する時に冒険者としてやっていけるようにとアクエリアに腰を下ろしていた。



 だがサリィはスーツ姿のアエリアがずっと忘れられなくてライゼンの事は見えておらず、「冒険者の方が孤児院で子供達に剣を教えてくれるので将来に困らなくて助かってます」ぐらいの認識だった…。



 そしてユリスは魔法が使いたいと言っていたが適正属性が無い為、攻撃魔法は使えなかったが魔力は人並みにあったのでアエリアと特訓して身体強化魔法を頑張って会得しようとしていたがかなり難しく心が折れかけていた。



 アエリアも実は身体強化魔法は使えなかった…いや使う必要がなかったから覚えていなかった。



 本来であれば【Daphne】のギルドメンバーの六月一日 鏡(うるわり きょう)がメンバー全員の身体強化魔法を一手に担っていたので覚える必要がなかったのだ。



 だからアエリアは千棘に姿を変えて千棘で使えたら便利だからと二人で頭を悩ませながら今日も特訓していた…。



「ねぇチヅル…私…無理な気がする…」


「ちょユリス!?まだ諦めるのは早いよ!!それに僕もまだ出来てないし!」


「だってチヅルで無理なんだよ…?」


「それはユリスが出来ないのと関係ないよ?才能なんて理解力の差でしかないんだから…」


「そっかー…でもなんでリアで特訓しないの?」


「アエリアは魔法専門だよ?確かに使おうと思えば使えるけど…でも近接戦は不利なんだよ?忘れてると思うけど…」


「いっつも殴ったり蹴ったりしてるから忘れかけてたけどそうだよね…」


「それにアエリアでぱっと出来てもつまらないしどうせなら千棘で練習してユリスと一緒に頑張ろうって思ったんだよね~」


「なるほどね…んー!もう少し頑張ろ!流石に素の身体能力だけじゃリアとの模擬戦きつくなってきたんだよね…」


「そうなの?結構いつもキレキレだと思うけど?」


「でもリアは魔法使いだよ?だからこれから先、リアと同じぐらい身体能力があって魔法を使う人との殺し合いになったら私は死んじゃうからそうならない為にも奥の手として使えるようになりたいの!」


「確かに…装備に頼ってるだけだと本当の自分の強さを忘れちゃうもんね…」


「そう!だから最近はチヅルにもらった装備もつけないで頑張ってる!木の短剣は使ってるけど…」


「あれはそのまま使ってていいよ~。…んーー…なんかいい方法ないかなぁ…」


んー…(んー…)



そう言って二人で首を捻っていると千棘のイヤリングから声が聞こえる。



『すみません、アリエスです。今お時間大丈夫ですか?』


『アリエス?大丈夫だよ?』


『チヅルさん、今チルさん宛のファンメールを仕分けしていたんですが仕分けが終わったので受け取りに来てもらえませんか?』


『はいはーい、すぐ行くねー』


『お待ちしております』


 …


「ユリス、ちょっと冒険者ギルドに行ってチルのファンメール受け取りに行くんだけど気分転換に一緒に行かない?」


「ん、いくー」


「よしよし…その…ユリス?その訓練の格好のままいくの…?」


「ん?ダメかな?」



 ユリスの格好は正直言って男からしたら扇情的に映ってしまう格好をしていた…。



 レンジャー系の身軽さを売りにするユリスはぴったりした黒のインナーに白の薄いシャツでしっかりと透けており、ユリスは最近育ったようで胸も男好みになっているし髪も伸びて妹感が抜けて女性らしさが際立っていた。



「んー…ユリスは気付いていないと思うけど普通の男だったらきっとユリスの事をほっとかないと思うよ?だから少しは自分の格好に気を付けたほうがいいかもね?」


「んーそっかー?あんまり私そういうの気にした事ないからなー…」


「いつも屋敷ではだらしないフェイナも外に行くときはちゃんと着替えてるでしょ?」


「まぁ確かに…」


「そう言う事だから汗流してギルドにいこう…僕もチルの格好しないといけないし…」



 二人は冒険者ギルドへファンからの手紙を受け取りに行く準備をしていく…。





 ■





「ほえ~…さすがチルちゃんだね?街の人みんなこっち見てるよ?」


「そうですか?多分ユリスもいるからだと思いますよ?」


「そうなのかな?」


「ええ、前までBランクの幸運の白兎って呼ばれてたのにSランクになって今は【ダフネ】の戦場の白兎って呼ばれてますしね?」


「え?私そんな風に言われてたんだ…」


「そうですよ~。【ダフネ】に入っている人は全員冒険者、生産者Sランク。貴族は公爵のマクナス家、更にはアクエリア王国の女王までそのメンバーですし、アイドル界隈では私とウェイナ、アルですし…ユリスもアイドル活動してみます?」


「アイドルか~…チルちゃん見ててキラキラしてるな~とは思ってたけど…」


「今度シエルのアイドル事務所に行ってみればいいと思いますよ?いろんな方がいますからね~」



 冒険者ギルドへ歩いて向かっていると街の人達はアイドルのチルとSランク冒険者のユリスが一緒に歩いているという物珍しさに様々な視線を向けてくる。



 【ダフネ】の二人だ、チルちゃんは可愛い、ユリスさんも可愛いのにカッコいい…そんな人たちにチルは笑顔で手を振りながらファンサービスをしているとユリスも何気なく手を振っていく。



 たまに小さな子達が握手してください!と来るので二人でしっかり対応してあげながら冒険者ギルドの建物へ到着した。



 中は改装が行われてかなり綺麗になっており、デパートの中の様な造りに変わり新しく増設された受付には様々な種族の受付人がいて殆どが行列に作っていた。



 そんな中、比較的人数の少ない受け取り窓へ行くとアリエスから話が通っていたのかアリエスと受付を交代しながら手紙の束を差し出してくる。



 その量は正直言って…辞書10冊分ぐらいの量があってそれを見たチルとユリスは頬を引きつらせながら受け取った。



「ん…んー…今回も凄い量ですね…」


「ええ、仕分けするこっちもかなり大変です…しかもチルさんだけでこれですからね…ウェイナさんやアルさん含めたらこれがもう二つ…」



 そう言いながらアリエスは遠い目をしながら乾いた笑みを漏らす。



「わ、わー!チルちゃん人気者だね!」


「ユリス…それはアリエスにダメージを与えるから…」


「まぁ、これもお仕事ですし全然平気ですよ。…そういえば、この手紙の中に一通だけ名前が違うやつがあったのですが…」



 アリエスは一通だけ省いていた物をカウンターの上へ出した。



 その名前の書き方を見た時に千棘…チルは目を見開いた。



 ”学術都市ティクス魔法学校教授 ミラー様よりちーへ”



「こ、これ!?ついにきた…!?」


「え、チルちゃんの探し人からの手紙来たの?」


「そうでしたか…実は三日ほど前から届いていたのですが仕分けに時間がかかってしまい…」


「アリエスありがとう!」



 あまりの嬉しさにアリエスへカウンターを乗り上げ抱きしめる。



 ユリスじゃなきゃ見逃してしまうほどの速さで抱きしめられたためアリエスは全く反応できずに頭と耳を撫でられてた。



 アリエスは何をされているか一瞬分からず今の状況を理解すると、いつもきりっとしている顔を赤らめ、周りにいた冒険者はいつもクールなギルドマスターが顔を赤くしているのが珍しく驚いていた。



「な、な!?何するんですか!?」


「あ、ごめんなさい、つい嬉しくって身体が動いちゃって…」


「私じゃなきゃ今の動きは見逃しちゃうね…」


「早速屋敷に戻って見てみるからまたなんかあったら教えて!」


「まったくもう…わかりました、また何かあったら連絡しますね」


「またねーギルマスー!」



 ちょっとした冒険者達へのファンサをしながらギルドを後にして屋敷を目指した。



 屋敷を目指している間も街の人との交流をしながら戻った為、屋敷に着いた時は日が傾いた時だった…。





 ■





 ”学術都市ティクス魔法学校教授 ミラー様よりちーへ”



 よぉ、ちー。だいぶ久しぶりだな?


 新聞でちーがアイドルしてるの見てマジで笑ったわ。


 あの歌とあの踊り、ちーがハマってたアイドルのやつだろ?まぁだからちーだってわかったんだけどよぉ。


 結構前からちーの事は新聞で見てたんだけど実は俺様、学術都市ティクスで魔法学校で教鞭取ってんだわ。


 前々から先生って言うのに憧れてたからよぉ、だからこの世界に来てなってみたぜ。


 んで、先生になって今は魔法を使う『勇者』を育ててんだ。


 それでな?実は『勇者』は一人じゃねぇんだよ?マジでびっくりするだろ?


 そいつは騎士学校で化け物染みた身体能力があるみたいでよぉ、同じティクスの騎士学校に通ってんだわ。


 この前ちー、アクエリアで魔王復活を阻止しただろ?だけどよぉ、やっぱりあれだけじゃないみたいなんだよ。


 他でもそういう事が起こってるみたいで『勇者』が生まれたらしいんだわ。


 だから俺様は今ティクスで先生やってるから会いに来てもいいぜ?


 もし暇なら騎士学校にいる『勇者』を一度叩きのめして欲しいんだがどうだ?


 自分は強えってかなり荒れてるからよぉ…上には上がいるっつー事を教えて鼻っ柱折ってくれや。


 基本授業に出てるから時間作れねーかもしれねーけどこっちに来るなら出来るだけ時間は作るからいつでもこいよな?



 ミラー様より



 PS:最近シドフィア帝国からこっちに来たから鉄壁の黒猫様が何で来てくれなかったとか言い始めたらそう言っといてくれ。



 …………



「マジか…教師やってたのか鏡のやつ…しかも勇者を育ててるって…」


「むー…何で私にだけ釘指してくるのかなきょーちゃんは?」


「あたい的にはその光景が当たり前に浮かんでくるな」


「確かにそう」


フェイナだもんねー(フェイナだもんねー)


「はー!?みんな何よ!!私はそんな単純じゃないし!」


「まぁまぁフェイナ落ち着いて…」



 手紙をフェイナ、アルメラ、ユーラン、エルリ、ルエリ、ユリスを集めて回し読みをしていた。



 鏡からの手紙は魔王の復活が至る所で行われているようで勇者が誕生した事、その勇者が近接タイプと魔法タイプの二人いる事、その魔法タイプの勇者を教えているのが鏡という事、近接タイプの勇者は調子に乗ってかなり目に余る行動を取っているとの事…それを千棘がボコボコにして鼻っ柱を折って欲しいとの事を伝えられたみんなは、



「まぁいいんじゃないー?正直勇者が育つなら魔王は任せられるんだし?」


「フェイナの言う通り。魔王は勇者に任せるのが一番」


「まぁあたいもフェイナとアルメラの意見に賛成だなぁ…そこまで手を伸ばしていたらいつかあたいらは大事なもんを取りこぼす気がするぜ」


「僕は守りたいものだけ守りたいからな~。ちーちゃんがやれって言うならやるけど?」


「私も今は色んな国を回って頑張ってる精霊女王とカルラを助けているし、流石に魔王までは…」


「私からしたら魔王なんてどうにかなるものじゃないし…」


「そっかー…んー…最近フェルス村のフィオとレノも入学したっていうし、その問題起こしてる勇者が二人に何かされるのも許せないから行ってくるか…」


「了解」



 全員、千棘がティクスに行くことを了承するとこの日はみんなで屋敷で寝る事にした。



 そして千棘は自分の居室で思考を巡らしていく。



(ティクスに勇者が二人…そのうち一人はかなり天狗になってる…その勇者がいるって言う事は魔王が復活する前兆…?流石に全世界を確認出来るわけはないし…そうなったら勇者を頼るしかないか…フィオとレノが勇者になんかされてたら…んー……ノエルが最近帝国がきな臭いとか言ってたけど関係あるのか…?)



 そんな事をぐるぐる考えながら千棘は睡魔に身を任せていく…。





 ■





 次の日、ティクスへ訪れた千棘は様々な学校を見て回っていた。



 今の格好はチルの格好じゃなく血染めの天使と言われた千棘の姿だった。



 可愛らしい女の子に見える千棘は一人で歩いていると色んな人から女の子一人だと危ないよ?と声をかけられるが大丈夫です~と答えてどんどん見学していく。



 大本命の魔法学校と騎士学校は最後に見学するつもりで鍛冶師学校に来ていたら120㎝程の赤いポニーテールの女の子が丁度学校の敷地内から出てきた。



「あ、ラン?今日はここに来る予定だったんだ?」


「お?ちー助か。ああ、月一で来る約束だしなー。てかちー助は何で鍛冶師学校にいるんだ?」


「前に来た時は全然近づかなかったのは学校だったからとりあえず回ってみようかなーって」


「そうか。んー、てかどうやってミラー…くくっ…み、ミラー様と会うんだ?ずっと魔法学校にいるんだろ?」


「そうらしいね…なんかランの方でどうにかならない?」


「んーそりゃ無理だなぁ…ここの教員ならなんとかなるかもしれないけどよ?あたいは月一だけ来てる言わばボランティアだからな~」


「まぁそうだよねー…じゃあ僕は魔法学校の方見てくるからランまたね~」


「おう、ちー助気を付けろよ~」



 鍛冶師学校でユーランと軽く雑談した後に魔法学校へ向かう千棘。



 魔法学校が見えてきた辺りで校門前でなんだか人だかりが出来ており、その中心から声が聞こえてきた…。



『てめぇ!!俺は勇者だぞ!?何舐めた口聞いてんだよ!!!魔法ばっかで役に立たねぇもやしが!!!』



 野次馬達の悲鳴が聞こえた…。

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