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再始動 -Second Life on-line- そして第二の人生が始まる  作者: 絢奈
第四章 双子の精霊が守りたいモノ
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フランマ・レクイエム

「グリア、強力な駒を見つけたと言っていたが?」


「はい、アルマロス様。本日冒険者ギルドで魔法が使えないのにも関わらず、アルマロス様の洗脳に抗った冒険者がいました。明日、クエストでこの王城に来るよう手配しましたのでご確認をお願いします」


「そうか。戦力はいくらいても困らないからな」


「ありがとうございます」


「で、あのシスターと鍵はどうした?」


「この国の暗部を使い、追跡していたのですが…追跡を振り切り、国外へ逃亡した恐れがあります。鍵に関しては、騎士が見つけていたのですがあまりにも他種族への憎悪が強くその場で殺そうとし、現場をシスターに見つかり処理され…同じく消息不明です…」


「やはり下等な人間は与えられた仕事すらできないのだな…明日、その冒険者を洗脳した後すぐに儀式へ移る。他の準備は任せた」


「かしこまりました」





 ■





 アエリアは皆に相談した後、夜になったのを確認して孤児院へ転移し、明後日の作戦に向けて王都の端から端に結界魔法を展開する目印を付けて回っていた。



(土壇場でもすぐ対応出来るようにしておかないといけないわ…王城には特に結界とか侵入を検知するような魔法は展開されてないし、王都全域を覆う結界と洗脳を解除する為の範囲指定はこんなもんかしら…後は…何か忘れている気がするけれど……危ない、この入国証のバッジ…明日王城に行くのにアエリアのバッジじゃダメよ…ね…あれ?明日朝一で入国証もらったとしても…依頼受けたの今日だから一日のズレが出来る…!!ヤバい、どうしよ!?…逆にもう行動するか…!?)



 入国証のバッジの事を魔族や悪魔の存在が関与している事に気を取られすぎてすっかり忘れていた。



『ユーラン、フェイナ、アルメラ、ユリス!!緊急事態よ!!助けてちょうだい!!』


『な!?ちー助どうした!?』


『ちーちゃん!?』


『リアどうしたの!?』


『すぐに動けるから転移で送って』


『違うのよ…!!アクエリアって入国する時に変なバッジをもらうんだけれど…それをアエリアで受け取って千棘で受け取ってないのよ…!!明日クエストで王城行くのに千棘でアエリアのバッジ提示したらおかしいわよね!?千棘で今から受け取ってもクエスト受けた日と1日のズレのせいで不正入国してクエスト受けた事になるわ!!どうしたらいいかしら!?』


『『『『………はぁ…』』』』


『ちょ、ちょっとあなた達…?』


『ちー助ってそんなにあほだったか…?』


『フェイナちゃん的にそういうドジは真面目な時はやめて欲しいかなって』


『アルメラ的にもそうね』


『ユ、ユリスちゃん的にもそうかも…』


『も、申し訳ないわ…』


『さっきみんなで集まった時はびしっと決まったと思ったのに…まぁーそうだな…いっその事もうやっちゃうか?』


『んーそれでいいかもね?』


『私はいつでもいい』


『私も特に問題ないよ?』


『でもクエストどうしたらいいかしら…』


『んなの国を助けたって事で上のやつに何とかして貰えばいいんじゃないか?ちー助』


『わかったわ…本当に申し訳ないわ…30分後に動くから準備をお願いするわ…』


『『『『了解』』』』


 ………


(はぁぁぁぁ…しくじったしくじったしくじった…!!穴があったら入りたいわ…!でも結局、明後日には同じ事したのよね…予定が早まっただけ…そう予定が早まっただけよ…)





 ■





「本当に申し訳ないわね…あなた達…」


「ちーちゃんどんまい!」


「別にやる事は変わらないし問題ない」


「完璧な人間なんていないしいいんじゃないか?ちー助」


「リアもこういうミスするんだなって少しだけ安心だけどね?」



 各々が今出来うる準備をして王都サンティエスの孤児院に集まり、これからの流れを確認しながら話を進めていく。



「基本隠密で行くわよ?…ユリスとユーランはまずライゼンを探してもらうわ。ライゼンを見つけたら洗脳を解除するけれど、かなり強い洗脳を受けているはずだから解除した後はもしかしたら気を失う可能性があるわ。気を失ったら二人でどこか安全な場所に移動させてくれるかしら?もし、意識があるなら眷属のグリアを一緒に探し出して討伐してちょうだい」


「了解!」


「おう、任せとけ!」


「フェイナ、アルメラは地下に捕らえられている他種族の救出と護衛をお願いするわ。それが終わったら城内を回って魔王復活の儀式を行う予定の場所の探索と破壊ね」


「りょーかい!」


「わかったわ」


「私は女王と宰相どちらが黒幕か確認するわ。黒幕じゃなければそのまま転移で保護、黒幕なら証拠を押さえて討伐。戦闘になったら私はきっと魔族にかかりっきりになるわ。その時、ユーランは兵が動き始めたら被害が出ないよう兵を氷で足止めしてちょうだい。急ごしらえだけど今考えれるのはこんな感じかしら…どう?穴はあるかしら?」


「今はこれで行くしかないだろうな…後、アエリア以外は顔隠していくか」


「そうね…みんな準備はいいかしら?ここから王城までは真っすぐ走っていくわよ。ユーランは私が抱えていくわ」


「…恥ずかしいけど仕方ないか…」



 各自戦闘装備に着替え、調子を確認していく。



 アエリアもウィールの未来視で死ぬほどの怪我を負う可能性も示唆されていた為、即死魔法無効化の特殊効果が付いているチョーカーと、とあるネックレスを装着する。



 そしてアエリアの武器、無慈悲な手(モータル・ハンド)を手に嵌めて感触を確かめ、みんなの顔を見渡すと準備万端というやる気のある顔をしていたので一つ頷いて…とある事に気付く。



「…あなた達…重ねて申し訳ないのだけれど…目視で転移出来る魔法があったわ…今から王城の屋根へ転移するから私に触っていてくれるかしら…」


「「「「…はぁ……」」」」





 ■





「さて…みんな気を取り直していくわよ…!」


「ちーちゃんのせいでだいぶ台無しだけどね…」


「まぁ気を張りすぎて失敗するよりはいい」


「ユリスいくか」


「じゃあ、探してくるね?」


「みんな任せたわ」



 深夜、王城の屋根へ転移したアエリア達は各々の仕事に取り掛かる為、屋根から飛び降りて暗闇に紛れていく。



 みんなを見送った後、光と水属性の複合魔法で姿を消してアエリアも屋根から飛び降り、空間魔法で見えない足場を作りながら窓がある所まで高度を合わせて移動し、音を消す魔法をかけてから窓を割り王城へ侵入する。



(こんな無駄のない動き…特殊部隊にでもなれそうね)



 城内を爆走し、一部屋ずつ虱潰しに探していくこと15分、女王の寝室らしき他の部屋とは扉の作りが違う部屋を見つけて中の気配を探る…。



(気配は一つ…寝息が聞こえるだけ…)



 周囲に誰もいない事を確認し素早く部屋に入ると天蓋付きのベッドに水色の髪に()()()()()()()を持つ女性が横たわっていた。



(…?事前情報だと女王は人間のはず…でも鑑定結果は本人だから影武者の可能性もない…洗脳もされていない…?)



 恐る恐る近づくとすぅすぅと寝息が聞こえ、顔を確認すると()()()()()()()()()()()()()をしていた。



 起こした後、悲鳴をあげられると面倒なのでベッドに寝ているアイシャ・フォン・セルベレス・アクエリア女王とアエリアの周りだけ音を消し、話しかけようとするといきなり女王が目を開ける。



「っ!?」



 その紫色で星が散りばめられたようなキラキラした目は、まだ姿を消した状態のアエリアの目をしっかりと見据え言葉を発する。



「来ましたか…白黒の髪色の女性…あなたが国の運命を変える使者なのですね?」


「あなたその眼…未来視の魔眼かしら?…まだ姿を見せていないのに私がわかるのね?姿を現した私でも眼えたかしら?」



 未来視で姿を見られてるなら意味がないと感じ、姿を消す魔法を解除してベッドに腰をかける。



「たったこれだけの情報で未来視の魔眼だと言い当ててしまうのですね…ええ、そうです。あなたの思った通りです」


「その落ち着きにその容姿…あなたは黒幕ではないのね」


「はい…宰相が魔族アルマロスです…時間があまりないので端的に必要な事だけ伝えます。アルマロスの狙いは魔王復活、アクエリアの全国民を生贄にするのと全種族を生贄にする両方を同時に進めています。人間以外の種族を一ヶ所にまとめているのはその為で、アルマロスは既に精霊族と翼人族の居場所も掴んでいた様ですが、国民を生贄にする方法に切り替えた様です。魔王復活の儀式を行う祭壇はこの王城の地下です。本日、強力な力を持つ冒険者が王城へ来るのでその方を洗脳し、軍へ組み込んだ後、魔王復活の儀式を行うようです。魔王が復活した後、今まで洗脳等で集めた冒険者達と我が国の軍で戦争を起こそうとしています…アルマロスのほかに眷属の悪魔が一人、後もう一人魔族が王都に潜伏しているはずなので、復活を阻止しようとすれば来るはずです。どうかこの国をお救いください…」


「そう…聞きたい事は後で全部聞かせてもらうわ。後…ウィールって名前に心当たりは?」


「うぃ、ウィールをご存じなのですか!?ウィールは…私が女王になる前に生まれた私の息子です…」


「…何故あなた達が離れ離れになったのかも後で詳しく聞くわ。今ウィールは私の屋敷にいるから転移させてあげる、だから顔を見せに行ってあげなさい」


「っ…!ありがとう…ございます…!どうかこの国をお願いします…!」


「任されたわ」



 女王をエルラシア王国の屋敷へ転移させ、皆の状況確認と手に入れた情報を伝えて作戦変更をしていく。



『みんな聞こえるかしら?ユリス、ユーランどう?』


『ごめん、まだライゼンは見つからない』


『二手に別れて探したけど…多分王城にはいないな…』


『フェイナ、アルメラ』


『今、地下牢の近くにいるんだけど、看守がいるから待機してるよ』


『ちなみに私達の潜入に気付いた気配は一切していない』


『わかったわ。黒幕は宰相、女王は屋敷へ転移させたわ。やっぱり私達が感じた通り、二通りの方法を同時に進行させていたわ。更にこの王都に魔族がもう一人紛れているらしいから少し作戦を変更させるわよ…まず地下に祭壇があって魔王復活の儀式をそこでするらしいわ。その後、洗脳した冒険者や軍を使って他国に戦争を仕掛けるらしいの。ユリスとユーランはライゼンがそこに配属されているはずだから洗脳魔法を解除したら手あたり次第軍の詰め所に行ってライゼンを探してちょうだい。フェイナとアルメラは一緒に地下の祭壇へ向かって祭壇を壊してちょうだい。壊せばそこに魔族か悪魔が来るはずだからそのまま討伐、もし来なくても結界張って逃げれないようにしてあるから大丈夫よ。私は今回の黒幕がいる所に向かうわ』


『わかった』


『おっけー!じゃあ、結界張ったら合図お願いねー!』


『ユリスとユーランも大丈夫そうかしら?』


『今さっき軍の詰め所みたいな所は何個か見つけてるから大丈夫!』


『あたいも特に問題ないぞ』


『わかったわ。私の準備が整ったら合図するからこのまま待っててちょうだい…』



 ウィールが視た未来を思い返し、謁見の間へ向かいながら王都全域を覆う結界をイメージし、膨大な魔力を注ぎ込みながら潜入前に付けた目印を頼りに構築していく。



「この魔力が抜ける感覚…本当に慣れないわ…」



 大規模の魔法行使で初めてアエリアの身体から魔力が抜けていく感覚を覚えるが問題ない程度なので無視しながら魔力をつぎ込み発動一歩手前で待機させ、しばらく歩いていくとウィールが視たであろう謁見の間の扉まで辿り着いたのでみんなに合図を出す。



『準備出来たわ。これから結界を発動させた後、すぐに洗脳を解除するわよ。解除したら相手が動き出すから各自注意してちょうだい。開始の合図はキュアリンクって言った後だからみんな頼むわね』



 みんなに伝えて待機させていた結界魔法を発動し、結界が張られたのを確認した後、膨大な魔力を再び注ぎ即座に王都を覆う様に聖域(サンクチュアリ)とキュアリンクの魔法を発動させる。



『聖域…キュアリンク!!』



 その合図で待機していた仲間達は作戦通りに行動し始め、膨大な魔力を三度も消費したせいで少し足元がふらつくが、インベントリから魔力ポーションを取り出し飲み干していく。



「流石に大型連発はきついわね…それとポーションも用意しておかないといけないわね…」



 ウィールの未来視による助言を元に生命力ポーションを使いやすいよう身体の至る所にホルスターで取り付けつつ、失った魔力が再び身体に満ちるのを感じながら一つの気配がする謁見の間へ入室する。



 入った直後、どす黒い魔力の波が可視化出来るほど充満しており、不快感でアエリアの顔が歪む。



「ほんと気持ち悪い場所ね……あんたがアルマロスで合ってるかしら?」



 その奥の玉座にはどす黒い魔力で覆われはっきりと認識できないが、人の様な輪郭が見え、その人の様な輪郭に話しかけながらインベントリから取り出した映像と音声を記録する水晶を起動して、適当な場所へ投げると水晶が浮き上がり透明になる。



「いかにも。我が名はアルマロス。よく我らの企みを暴いたものだな?下等生物よ」


「ハッ!既に王都は結界を張って王都中の洗脳は解除させてもらったわよ」


「ほぉ…?下等生物のくせになかなかやるではないか?だがもう洗脳の必要はない。既に儀式は始まっているのでな。お前の連れは地下の祭壇に行ったようだが既に我の同志がいる。祭壇を壊すことなど不可能なのだよ」


「全部お見通しってわけね?なら余計な腹の探り合いの手間が省けるわ。だけれど、私の仲間はたかが魔族に殺される程軟じゃないわ。魔王の復活、阻止させてもらうわよ」


「下等生物でもここまでくれば余興になるのだな?勇者でもない人間が魔族に勝てる道理など存在せん、身の程を弁えたらどうだ?」


「それはこっちのセリフよ。あんた達こそコソコソ隠れて過ごしてればいいものの、表舞台になんか上がってくるから死ぬのよ?」


「ハッハッハ!!なかなか威勢がいいではないか?魔王様復活前の余興としてお前と遊ぶのもよさそうだ」



 そう言うと玉座から立ち上がってゆっくりとこちらに向かって歩き、近づくにつれて今まで輪郭しか見えなかった姿が見えてくる。



 紫色の肌で人と同じ形、頭には禍々しい角が二本生えて背中には()使()()()()()()()()()が二枚、その身体からは黒い魔力が棚引いており、気分の悪い魔力がより強く感じる。



「なかなか醜悪なのね?ちょっと近づいただけでも顔を顰めたくなるわ」


「流石に下等生物にこの魔力はきついか?私の足の下で死ぬまで、存分に楽しむといい」


「あんたと楽しむならそこら辺の犯罪者の方がよっぽどましだわ。言っておくけれど、手加減はしないし殺すつもりだから遺言があるなら今のうち言っときなさい」


「どこまでも強情なのだな?この圧倒的な力の前に怯えぬ胆力は褒めてもいいな」


「それが遺言でいいかしらね?」



 言葉を交わしながらゆっくりとアルマロスの首に狙いを定めて人差し指を向ける。



「下等生物如きに我が傷つけられると?」


「あら?試してみる?行くわよ?」



 アルマロスに指している指を横へ移動させると首と胴体が離れて頭が宙を舞い、どす黒い噴水を眺めながら相手を観察していると頭を失った身体が動き、宙に舞った頭を掴み元の場所に戻す。



(やっぱ首を落としただけじゃ死なないわよね…どこかに弱点があるはずだから探すしかないわね…)



「ほぉ!よくぞ首を落としたな?下等生物だと思って舐めていたが存外やるではないか?」


「そう思うなら今の一撃で死んどきなさいよ。同じ人型なのに首を落としても死なないとか反則ね」


「そう言うな。これが下等生物と我ら魔族の違いだ。生まれを恨むんだな?」


「なら私は人間のままでいいわ」



 右手の指を鉤づめの様に曲げてアルマロスに向け、ひっかく様な動作をするとアルマロスの身体に五本の線が走りバラバラと床へ落ちる…が、切断された場所からは黒い魔力が噴き出し、勝手に身体が元通りに戻っていく。



(ふぅん…刻むならもっと細かくしないといけないのかしらね…体内に弱点らしいものは特に見当たらなかったわね…)



「こうも我の体に傷をつけるとは…下等生物として死なせるのはもったいない…魔王様の元へこないか?」


「あら?勧誘嬉しく感じるけれど、生憎私にそういう趣味はないのよ」


「実にもったいないな…」


「というかさっきから私ばっか攻撃してるんだけれど、そろそろそっちも攻撃すれば?」


「ふむ、攻撃されるのが好きなのか?随分いい趣味をしているのだな?」


「何でもいいわ。そっちから攻撃しないなら攻撃し続けるだけよ」



 今度は両手でひっかくように手を動かしてブロック状に身体を刻んでいくがそれでも特に変わらず、身体が元通りになるのもお構いなしに交互にひっかいて更に細かくしていく。



 それでも全く問題ない様子でアルマロスは元の形に戻り、醜悪に口を歪めて笑みを浮かべる。



(斬撃系でバラしても効果なしか…次は王道で光属性ね…)



「こんだけバラしてもほんと無事なのね?」


「そうだな?これぐらいなら問題ないな。そろそろ飽きてきた、殺すがいいな?」


「やれるもんなら好きにしなさい」


「そうか」



 そう呟くと背中の羽が一度羽ばたき、一瞬で距離を詰めて右腕を突きこんでくる。



(速い…けど問題ないわ)



 以前のアエリアであれば見切れないような速さだったが、ユリスとの訓練のおかげで問題なく躱し、その突きこまれた腕を光属性を纏わせた手でがっしり掴み、握りつぶす。



「っ!?」



 するとアルマロスの身体がびくりと震えて大きく距離を取り、アルマロスの握りつぶした手を見るとアエリアの手の跡がくっきりと残っていて再生もバラした時よりも格段に遅かった。



(打撃か光属性か…どっちかが弱点か…それとも両方…?)



「なっ…お前は空間属性の魔法が得意なんじゃないのか?」


「あら?誰がそんな事言ったのかしら?」


「まぁ洗脳を解除出来るなら光魔法ぐらい使えるだろうが…」


「語るに落ちるとはこういう事を言うのかしら?なら光属性で攻撃していくわね?」



 そう言い放ち、一番最初と同じように首に狙いを定めて空間属性と光属性を混ぜたオリジナル魔法を発動させ、指を横に振る。



「なっ!?」



 するとオリジナル魔法を脅威に思ったのかバックステップをして初めて躱した。



「あら?躱したわね?最初はあんなに食らってくれたのに、心変わりかしらね?」


「何故…そんな高度な事が出来る…?」


「高度な事?そんな難しい事なんてしてないわよ。まぁ光属性が苦手っていうのはわかったから、どんどん行くわよ?」


「くっ!?!?」



 指に光属性の魔力を籠め、アルマロスへ全部の指からビームの様に連射し攻撃するとアルマロスは一切受ける事なく回避に専念するが、アエリアの膨大な魔力を巨大な弾薬庫とし、空間を埋め尽くすかの様に乱射していく。



「な何なんだこの攻撃は!?」



 避けて壁にぶつかった所は高熱で溶かされたようになっており、アルマロスの身体は避けきれなかった攻撃でハチの巣のようになっていた。



 そしてアルマロスの身体に出来たその穴から黒い魔力が漏れているが、かなり傷の治りが遅く息も絶え絶えになっているのを見てアエリアは別の意味で驚愕を露わにする…。



「さ、流石にあんた弱すぎない…?もっと苦戦すると思って色々仕込んだのだけれど…」


「だ、黙れ!!なんだその魔力量は!?」


「まだまだ撃てるから死ぬまで撃ってあげようかしら?」


「馬鹿にしよって…これで死ぬがいい!」



 アルマロスは死に体になりながらも膨大な魔力で黒い魔力を槍の様に尖らせ、嵐の様に降らせるがそれを見たアエリアはスッと目を細め集中し、確実に身体に当たる物だけを手に光属性の魔力を纏わせ全て撃ち落としていく。



「なっなんだと!?」



 その光景を見たアルマロスは驚愕しており、確実に仕留めるという気迫で更に槍の数を増やしてアエリアに飛ばす。



「ふぅん…数はなかなかね…」



 流石に量が多く、全てを叩き落とすことは出来なかったがアエリアの高い魔法防御力のおかげで傷一つついておらず、「これなら叩き落とさなくてもよかったわ」と言いながら服を直していく。



 すると身体の至る所に付けていたポーションの瓶が割れており、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



(…もしかしてウィールが視た光景ってこれの事…?確かに血の様に見えるけれど…まさか…ね?)



 あんなにウィールが必死に死ぬと引き留めたのだから今の光景がウィールが視た未来じゃないと何度も思いながらアルマロスを見ると、相当に魔力を使ったようで身体の穴は全然塞がっていなかった。



「アルマロス…あんた本当に本気で戦ってるのかしら…?こう…変身を残していて、変身したら魔力が膨れ上がって強くなるとか…本当にそういうのないのかしら…?」


「何を訳の分からない事を言っているんだ貴様は!!下等生物の分際で!!!」



 怒声を響かせながらアエリアに様々な魔法を放つが、防御をしなくても何一つ傷を負う事もなく、少し拍子抜けしながらアルマロスに…



「あなたの全力はわかったわ…せっかく装備したのに使わないのはもったいないから最後に使ってあげるけれど…」



 今回の作戦の前に付けていたとあるネックレスを握りながら徐々に魔力を込めていくとネックレスがどんどん光り輝き、辺りが一瞬何も見えない程の光に包まれる…。



「遺言はあるかしら…?」



 その光が収まるとアエリアの頭の上には天使の輪、背中には3対6枚の羽があり、髪の色は真っ白になっていた。



 そんな天使姿のアエリアを見たアルマロスは目を見開きながらぽつりと呟く。



熾天使(セラフィム)様…」


「あら?あんた天使と関わりがあるのね?その羽…って事は堕天使かしら。そうよ、これは『熾天使の首飾り』っていうものでね?魔力を込めると込めた分、熾天使の力を使う事が出来るのよ。魔法一発分だけ込めたからこれであんたは何も考える事なく、あるべき姿へ生まれ変わるといいわ」



 両手を胸の前で組み、アルマロスの幸せを願うよう祈りを捧げ、慈悲の笑顔のまま両手を差し伸べ一言呟く。



「『聖炎の鎮魂歌(フランマ・レクイエム)』…」



 アエリアのとても優しく響く声と何処からか綺麗な鐘の音が聞こえ、天から白い光の道が降り、()()()()アルマロスの身体を包み込み浄化していく。



 身体が白い炎で燃え上がり灰すら残さず消滅し、白い光の道はアルマロスを天へ迎えたかの様にゆっくりと消え…静寂が帰ってくる。



 そしてアエリアは静寂の中、元の姿に戻り、辺りを見渡して小さく息を吐いて皆へ伝える。



『黒幕のアルマロスを討伐したわ。みんなの状況はどうかしら?』

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