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その箱を開けた世界で  作者: ナガズボン
第1章 鳳凰院 蓮火(仮題)
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輝花の警戒

よろしくお願いいたします!

 し、失礼しますっ。


 結局、幼女の問いには答えず退出の礼をすると、蓮火はそのまま部屋を去っていった。


 一人人数の減った部屋では、妙な静けさが滞在している。


「じゃあ、私も失礼するとしよう」


「待て。お主には伝えたいことがあるのじゃ」


「失礼します」


「しれっと無視しないでほしいのじゃ?!」


 輝花の腰に幼女がひしっと抱きつく。


「親子……」


 二人の様子を見ていたリストがポツと呟いた。


「「あぁん?!」」


「いや、すまない」


 リストは自らの発言を謝罪する。

 全然そう思ってなさそうな表情だった。


「全く、誰がこいつの親じゃ。冗談もほどほどにせい!」


 幼女はそのようなことをのたまう。


「……明らかに違うだろう」


 あまりにも都合の良い幼女の考えに、輝花は呆れ返っていた。


「校長殿は素晴らしい思考の持ち主ですね。さすがは校長殿です」


「む、そ、そうかのう?」


「ああ、おめでたい頭で羨ましいよ」


「ど、どういう意味なのじゃー?!」


 輝花からの横やりに幼女が憤慨する。

 リストも同意するようにさりげなく頷いていた。

 幼女からはその様子が見えなかったが。


「とまあ冗談はここまでにしておいて、だ」


 輝花は仕切り直すように、雰囲気をそれまでとは全く違うものに変えて切り出す。


「何が目的なんだ?リストとやらは」


「うん?何のことかな?」


 輝花の突然の如何に、リストは平然と、やましいことは何もないと云うようにとぼけた。


「とぼけるな。お前、ただの人間じゃないだろう?そんな無茶苦茶な数字は初めて見た」


 自らの力でリストを見た輝花は、飄々とした様子の謎の女に警戒心を抱いていた。


 自分にここまでの威圧感とも言うべきものを感じさせた人物は、あの時の幼女を除いて他にはいなかった。


 逃げるだけならどうとでもなるだろうが、実際に本気で戦うとなると果たして、自分の力でもどこまで保つのか想像がつかなかった。


 普段あまり見せることのないような輝花の表情に幼女の顔も少し厳しいものに変わる。


「お主がそこまで言うとは珍しいのう、輝花」


「ふん」


 輝花は幼女からそっぽを向く。

 輝花はからかわれている感じがしたのだろうだが、このままなし崩し的にリストを入学させることはまずいという忠告を受けたと思った幼女は、視線をずらした彼女に感謝していた。


「リストとやら。前言撤回じゃ。輝花の云うように目的の如何によってはお主を入学させることは出来ない」


 幼女のその態度には、この冒険者学校の学校長としての威厳が間違いなく備わっていると、リストは感じ取り。


「……参ったな」


 一段と低い声で、それだけをポツと呟く。


 瞬間、幼女と輝花は臨戦態勢になりかけるが。


 リストの表情を見て、動きを止めた。


 リストがなぜか、笑んでいたためだ。

 そこには若干の苦みも混じっていたが。


「何とか誤魔化して勢いで入学出来ると思っていたが。どうやら君は面白い力を持っているようだね」


 輝花の方に視線を向けて、リストはお手上げだといように言葉をこぼした。

 そして、うーむと顎に手をかけ、悩むそぶりを見せる。


 重苦しいようなそうでないような沈黙が部屋に響く。


 リストはやがて、何かを決めたのか、うんと頷き。


「まず、そちらのクールビューティーの質問に答えようか」


「……クールビューティーだと?」


 輝花はリストの言い回しに、少しの苛立ちが積もる。


「うん。まず、確かにわたしはただの人間ではない。そして、それ以上を言う気もない」


 言う義理もない。


 輝花の苛立ちは無視して、リストは先ほどの質問にそう返答した。


 そして、もう一つの質問の答えは。


 リストがさらに畳み掛ける。


「彼の側にいることだよ。それ以上でもそれ以下でもない」


 名前は明言せずに自らの目的を告げた。


「……本当にそれだけなのじゃな?」


 幼女は念を押すかのように、他に何もないのかを催促した。


「うん。別にこの学校をどうこうしてやろうとか、この世界に破滅をもたらしてやろうだとかそんなことは少しだけしか考えていないよ」


「この女、危険なのじゃ!!」


 冗談です。

 リストは真顔でそう付け加えたが、幼女の評価は変わらなかった。


「……援助してほしいと申し出た理由は何だ?」


 輝花はもう一つの疑問をリストに投げた。


 ああ、それね。

 リストはポツとそんな前置きを入れて説明し始める。


「蓮火ちゃんに聞いたんだ。どうやら特待生なるものがあるとね。彼らは随分と自由にさせてもらっているようだから、わたしも彼の側にいるために特待生になりたいと思ったんだ」


 いきなり特待生になりたいなんて言ったら、怪しまれるかもしれないしね。

 リストは終わりにつけ足した。


「ふむう?まあ、お主の言葉を信じるにしてもじゃ。どちらにせよ力は見せてもらわなければならないぞ?」


「ああ、それは構わない。何をすればいいんだ?」


 ふむと幼女は一つ頷きを入れると、内容を説明し始めるのだった。

お読みいただきありがとうございました!


よろしかったら、ページ下部にあるブクマや評価をつけていただけると嬉しいです!

感想もお待ちしております!辛口希望!


よろしくお願いいたします!

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