アカズのダンジョンと旧きもの22
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「ここまで引っ張っておいてなんだが……」
リストが唐突に気まずそうな顔をして切り出した。
「それは大したものではない」
リストの手から、今は駈の手に渡されたそれを指差してリストは衝撃発言をした。
「ええ?!」
駈よりも蓮火の方が驚いていた。
先ほどヘーパスとプロスの装備は性能がスゴイと力説していただけに、ショックが大きいようだった。
「でもさっき、あの2人の合作だって」
信じられないというように蓮火がリストへ確認をする。
「ああ、それは間違いない」
「な、ならなんで……」
「ふむ、わたしも言葉が足りなかったな」
リストはそんなことを云うと、文頭にとある説明を付け加えて再度、同じ言葉を繰り返す。
「今はまだ、それは大したものではない」
「今は……」
「まだ……?」
駈と蓮火はリストの言葉に、二人で首を傾げた。
「そうだ。ヘーパスとプロスにこの装備をもらった時、そんなことを言っていた」
だからわたしも詳しくは分からない。
とリストは装備についての説明を終えた。
「で、でもっ……」
蓮火が気を取り直すような口調で駈に向き直る。
「あのおふたりが作った装備なんだから、スゴイものに決まってるよ!きっと」
蓮火が駈を慰める。
駈はそこまで気にしていなかったが、蓮火はすごい装備だとハードルを上げていたため、負い目を感じていたのだろう。
「そうですね!むしろ防具が欲しかったので、ちょうど良かったです!」
ありがたく着けさせていただきます。
駈はリストに改めて謝辞を述べる。
「うむ。まああの2人が雁首揃えて大したことないものを作るとは思えない。良いものになるまで気楽に待つと良いよ」
リストは駈にアドバイス。
あ、そうそう。
リストが思い出したというように、一つ追加した。
「自己修復機能がある、ということだけは言われたな」
のほほんとそんなことを言うリスト。
「はあ?!」
「へっ?!」
駈と蓮火は目を白黒させる。
「……っていうことは、これ1セットあれば防具はもう買わなくて良いってことですか!?」
「まあ、そういうことになるね」
「えっ、そこっ!?駈君の驚きポイントそこっ!?」
「むしろそれ以外にあるんですか?」
心底不思議そうな表情で、駈は蓮火に問いかけた。
貧乏学生の駈にとっては非常に重要度の高い利点だったが、蓮火からしてみるとそうではないらしい。
「そもそも何かしらの機能がついた装備っていうのが、ものすごい珍しいものなんだよっ!あっても、ちょっと防御力が高くなっているとかちょっと魔法に強いとか!それでも市場に出ると、数百万なんていう値段がつくんだ!」
「お高いですねぇ。何でそんなに高いんですか?」
「装備に機能をつけることの出来る技師が滅多にいないからだよ!それ以外では、ダンジョンの宝箱からたまーーーに出てくるくらいだもん!」
「宝箱って、装備も出てくるんですねぇ」
「君、それでも冒険者なのかい!?」
「あいにくと、お金になるかならないかで考えていたので!でも、それなら高い装備を狙って宝箱を探しても良さそうですねぇ」
「動機が不純だよ!!」
「冒険者なんてそんなものですよ」
「……まあ、否定は出来ないよ」
なぜか蓮火は落ち込んでいた。
駈は落ち込んだ蓮火にフォローとも言えない質問を入れる。
「でも、ちょっと機能がついただけでそんなに珍しいっていうことは、自己修復機能なんて滅多にないんじゃないですか?」
「う、うんっ!滅多にないというか、少なくともボクは聞いたことがないよ!」
「蓮火さんほどの人がそう言うってことは、相当な一品ということですね!」
「い、いやっ?!ボクほどのだなんて、とんでもないっ!」
「謙遜しなくても、蓮火さんはスゴイ人ですって!自信持ってください!」
「えっ?!えっと、そ、そうかな?そんなに言われると照れちゃうなっ」
えへへー、と可愛らしい笑みを浮かべた。
良かった、何とか持ち直せたようだ。
蓮火の様子を見て、駈はそんなことを思った。
「よくそんなに口が回るもんだ」
「ナンノことでしょう?蓮火さんがスゴイのは明らかなことでしょう?」
声が裏返りそうになりながらも、リストの言葉をかわす。
「そういうことにしておこうか」
お手上げだというようにそれだけを言うと、リストは最後に改めて念を押す。
「じゃあカケル君。それを受け取ってくれるね?」
果たして駈の回答は。
「はい。ありがたく使わせていただきます!」
了承の返答をするのだった。
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