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その箱を開けた世界で  作者: ナガズボン
第1章 鳳凰院 蓮火(仮題)
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アカズのダンジョンと旧きもの22

よろしくお願いいたします!

「ここまで引っ張っておいてなんだが……」


 リストが唐突に気まずそうな顔をして切り出した。


「それは大したものではない」


 リストの手から、今は駈の手に渡されたそれを指差してリストは衝撃発言をした。


「ええ?!」


 駈よりも蓮火の方が驚いていた。

 先ほどヘーパスとプロスの装備は性能がスゴイと力説していただけに、ショックが大きいようだった。


「でもさっき、あの2人の合作だって」


 信じられないというように蓮火がリストへ確認をする。


「ああ、それは間違いない」


「な、ならなんで……」


「ふむ、わたしも言葉が足りなかったな」


 リストはそんなことを云うと、文頭にとある説明を付け加えて再度、同じ言葉を繰り返す。


「今はまだ、それは大したものではない」


「今は……」


「まだ……?」


 駈と蓮火はリストの言葉に、二人で首を傾げた。


「そうだ。ヘーパスとプロスにこの装備をもらった時、そんなことを言っていた」


 だからわたしも詳しくは分からない。

 とリストは装備についての説明を終えた。


「で、でもっ……」


 蓮火が気を取り直すような口調で駈に向き直る。


「あのおふたりが作った装備なんだから、スゴイものに決まってるよ!きっと」


 蓮火が駈を慰める。


 駈はそこまで気にしていなかったが、蓮火はすごい装備だとハードルを上げていたため、負い目を感じていたのだろう。


「そうですね!むしろ防具が欲しかったので、ちょうど良かったです!」


 ありがたく着けさせていただきます。


 駈はリストに改めて謝辞を述べる。


「うむ。まああの2人が雁首揃えて大したことないものを作るとは思えない。良いものになるまで気楽に待つと良いよ」


 リストは駈にアドバイス。


 あ、そうそう。

 リストが思い出したというように、一つ追加した。


「自己修復機能がある、ということだけは言われたな」


 のほほんとそんなことを言うリスト。


「はあ?!」


「へっ?!」


 駈と蓮火は目を白黒させる。


「……っていうことは、これ1セットあれば防具はもう買わなくて良いってことですか!?」


「まあ、そういうことになるね」


「えっ、そこっ!?駈君の驚きポイントそこっ!?」


「むしろそれ以外にあるんですか?」


 心底不思議そうな表情で、駈は蓮火に問いかけた。

 貧乏学生の駈にとっては非常に重要度の高い利点だったが、蓮火からしてみるとそうではないらしい。


「そもそも何かしらの機能がついた装備っていうのが、ものすごい珍しいものなんだよっ!あっても、ちょっと防御力が高くなっているとかちょっと魔法に強いとか!それでも市場に出ると、数百万なんていう値段がつくんだ!」


「お高いですねぇ。何でそんなに高いんですか?」


「装備に機能をつけることの出来る技師が滅多にいないからだよ!それ以外では、ダンジョンの宝箱からたまーーーに出てくるくらいだもん!」


「宝箱って、装備も出てくるんですねぇ」


「君、それでも冒険者なのかい!?」


「あいにくと、お金になるかならないかで考えていたので!でも、それなら高い装備を狙って宝箱を探しても良さそうですねぇ」


「動機が不純だよ!!」


「冒険者なんてそんなものですよ」


「……まあ、否定は出来ないよ」


 なぜか蓮火は落ち込んでいた。

 駈は落ち込んだ蓮火にフォローとも言えない質問を入れる。


「でも、ちょっと機能がついただけでそんなに珍しいっていうことは、自己修復機能なんて滅多にないんじゃないですか?」


「う、うんっ!滅多にないというか、少なくともボクは聞いたことがないよ!」


「蓮火さんほどの人がそう言うってことは、相当な一品ということですね!」


「い、いやっ?!ボクほどのだなんて、とんでもないっ!」


「謙遜しなくても、蓮火さんはスゴイ人ですって!自信持ってください!」


「えっ?!えっと、そ、そうかな?そんなに言われると照れちゃうなっ」


 えへへー、と可愛らしい笑みを浮かべた。


 良かった、何とか持ち直せたようだ。


 蓮火の様子を見て、駈はそんなことを思った。


「よくそんなに口が回るもんだ」


「ナンノことでしょう?蓮火さんがスゴイのは明らかなことでしょう?」


 声が裏返りそうになりながらも、リストの言葉をかわす。


「そういうことにしておこうか」


 お手上げだというようにそれだけを言うと、リストは最後に改めて念を押す。


「じゃあカケル君。それを受け取ってくれるね?」


 果たして駈の回答は。


「はい。ありがたく使わせていただきます!」


 了承の返答をするのだった。

お読みいただきありがとうございました!


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よろしくお願いいたします!

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