アカズのダンジョンと旧きもの18
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駈がピクッと瞼を持ち上げようとしていた。
駈のその反応を見た蓮火は慌てて彼に声をかける。
駈の頭を落とさないようにしながら。
「か、駈君?!だ、大丈夫っ!?」
駈の意識はまだ完全に覚醒はしていなかった。
ただ蓮火が一生懸命、声をかけてきているのは、おぼろげながらに理解した。
どうやら自分を心配しているようだ。
寝ぼけ眼の目でも、蓮火が辛そうな表情を見せているのが何となく分かった。
だから駈は、蓮火にそんな顔をさせたくなくて。
頭に感じる矛盾のある心地よい感触と、少し残念に思いながらもお別れを済ませると、急いで飛び起きた。
しかしその行動は浅慮に過ぎていた。
駈が身体を起こす放物線の先には、駈を覗き見る蓮火の顔があったからだ。
つまり、何が起きたのかというと。
おでことおでこのごっちんこである。
おでこ同士で良かったほどだ。
近くで二人の様子を見ていたリストが、少しビクッとするほどの音が鳴った。
「「っ~~~~?!」」
駈と蓮火の二人は身悶える。
様子からすると、二人の頭、というかおでこの固さは同じくらいか、そんなのんきな感想をリストは思い浮かべていた。
数分ほど痛みで転がり回っていた二人から、やがて駈が少しだけ早く復帰した。
「敵かっ?!」
原因は察していた駈だが、今も見えない、いるはずのない敵に擦り付けようと一か八かの勝負に出る。
「カケル君、それはさすがに無理があると思うんだが」
しかしその勝敗は、リストの手によりあっさりと決められた。
リストのあごが後ろを見ろと言うようにちょいちょいと動く。
その表情は笑みだったが、口の端がひきつっていた。
まるで、物凄く恐い何かを目にしてしまったと言うかのようだった。
駈はリストのそんな表情を見て、ギ、ギ、ギと油の足りなくなったブリキのようにゆっくりと後ろを振り返っていく。
出来ればここから逃げてしまいたい、そんなことを思いながら。
そして、ゆっくりと十秒ほど時間をかけてリストに後頭部を見せきって、蓮火の表情を目にした駈が一言。
「ですよねぇ……」
「駈っ、君っ!!!」
蓮火に怒鳴られるが早いか、駈はすぐに一切合切を全て捨て去り、身体全体で謝罪の意を表わすのだった。
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