アカズのダンジョンと旧きもの19
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「ほんとにもう君は!!信じられないよ?!」
「すいません!ごめんなさい!アイムソーリー!」
「なんだいそれは?!ふざけてるのかい!?」
「いえ、ふざけておりません!」
蓮火は目を吊り上げ、険のこもった口調で駈のことを怒っていた。
駈の足は自然と正座になっている。
少し冗談で英語を使ったら、すぐさま反応が返ってきた。
今はほんの少しの茶化しも入れるべきではない。
駈は悟った。
リストは駈の言動を見てあきれている。
「ボクの頭が固かったから良かったものの、一歩間違えたら大ケガだよ!?」
「すいません、蓮火さんの泣きそうな顔が見えたので早く起きないと、と思いまして」
「泣きっ?!いや、そんな顔はしてないと思うんだけど……」
「いや、してました!駈君、早く起きてよって物語のヒロインばりの表情をしてましたよ!」
「な、何を言ってるんだい君は!?よくわからないことを言って誤魔化そうとしてるんじゃないのかい!?」
「……ソンナコトハないですよ!」
「今の間はなんだい?!やっぱり誤魔化そうとしてたんじゃないか!全く!しばらくそうやって反省してなさい!」
「はい!分かりました!」
この状況から脱する試みを行なった駈だったが、今の蓮火には通用せず、奮闘むなしく反省を言い渡される。
悪いのは自分だと一応自覚していた駈は、そこまで言われると素直に引き下がるしかなく、蓮火の気が済むまで大人しくしていようと諦めた。
ようやく落ち着いたと見たのかリストが正座を続けている駈に話しかける。
「痴話げんかは終わったかな?」
「ち、ちわっ?!」
リストの駈への問いかけにボッと蓮火は反応する。
リストの小ボケに慣れてしまった駈は、ツッコミを入れることなく静かに返した。
「ええ、見てたでしょう。たった今、反省していろと言われましたよ」
「ふむ、見ていたよ。君たちは実に仲がいいな。羨ましいよ」
「リ、リスト様っ?!」
茶化すようなリストの言い方に、蓮火は照れ隠しで怒鳴って見せる。
そんな蓮火の様子を微笑ましく思ったリストは、彼女に生温かい目を向けた。
蓮火は心地悪いというようにみじろぎする。
次にリストは駈を標的にした。
「それでカケル君」
「何でしょう?」
リストの声に反応した駈と何となく嫌な予感のする蓮火。
リストは今日の天気を聞くような何気ない調子で続けた。
「蓮火ちゃんの膝枕は気持ち良かったかな?」
「んなっ?!」
「膝枕……?」
自分でやっている時はあまり意識していなかったが、他人からその行為を改めて指摘されると、途端に蓮火は恥ずかしくなった。
思わず赤面してしまう。
しかし、リストから問われた駈は何を言われているか分からないというように首を傾げた。
駈を標的にしたつもりが、被弾したのは蓮火という状況になっていた。
そんな駈の様子を見たリストは、呆れたというように首を二、三度横に振る。
「全く。君は自分が何を枕にして寝ていたのか分からないのかい?」
思い出したまえ、と生徒にものを教える時の教授のような口調でリストは駈にヒントを出した。
「君が身体を起こした時に蓮火ちゃんとおでこがぶつかっただろう。膝枕でもしていなければそんなジャストミートにおでこ同士が衝突することはないよ」
「そ、そんな詳細に説明しなくても?!」
「しかも、君が寝ている間は身動きひとつせずにだよ?足もしびれているだろうにね。頭まで撫でるおまけつきだ」
律儀なことだよ、リストは最後にそう締めくくった。
蓮火は、今度は彼女が倒れてしまうのではと思うほど、顔が真っ赤になっていた。
その目はチラチラと、駈を伺っていた。
そんな蓮火に向け駈は親指を立てて、真顔で一言の感想を延べる。
「柔らかくて気持ち良かったです」
果たして、自らの頬に拳が飛んできたので、甘んじて受け入れる駈なのだった。
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