アカズのダンジョンと旧きもの5
アカズのダンジョンの話が長くなってしまい申し訳ございませんが、まだ続きます!
よろしくお願いいたします!
「さて、ふざけてないでそろそろ真面目に話をしよう」
「あんたっ……いや、すんません!何でもないっす!」
反射的にツッコミを入れそうになる駈であったが。
それをした結果、先ほどのような状況になったので、釈然としないものを感じつつも矛を収めた。
(くっ、あんたがそれを言うかってツッコミを入れたいっ!)
ささやかな抵抗として、内心で毒づく駈ではあったが。
「で、だ……」
リストはどれから話をするかという取捨選択をしながら、一つ目が決まったのか口に出す。
「まずウダだが。旧友だ。゛旧き゛ものだけにな」
もうツッコまない、もうツッコまない。
念仏のように頭の中で唱えた駈。
「それで。ウダに会ったということは君がカケル君か……」
そう言って、駈の全身をくまなく、ねちっこくなめ回すように見渡すリスト。
駈は居心地が異常に悪くなり、みじろぎする。
リストはやがて、納得したのか、ふむと一つ頷いた。
「やはり少年が苦しんでいるのを見るのは気持ちがいい」
「人がいつまでもツッコミを入れると思ったら大間違いだぞっ?!」
「入れているじゃないか。ツッコミ」
「ああっ、しまったっ?!くそぅ!……っじゃなくて、あなたも僕を知っているんですか!?」
聞き逃しそうになったが、ウダと同様、リストも自分を知っているらしいことに駈は気付いた。
「ああ。む……」
リストはそこで言葉を区切る。
おもむろに片手で頭を押さえ出す。
その顔はわずかに、痛みに耐えるように歪んでいた。
それは数十秒ほど続いた。
「……いや、すまない。これ以上は話すことができない。ただ、わたしがカケル君を知っているということは確かだ」
「そう……ですか……」
駈は残念そうに、リストの話に対して相づちを入れた。
これで二人目だ。
自分のことを知っているらしい゛旧きもの゛は。
その理由は一体、何なのか。
そして、彼らが知っているという自分は一体、何者なのか。
駈の悩みは深くなる。
ただ、あれだけ飄々としていたリストが、続きを話そうとしたら、わずかとは言え顔を歪ませたのだ。
何かをこらえるかのように。
それに耐えてまで言おうとしてくれたのだ、彼女は恐らく。
そこに無理を言って話をしてもらうのは嫌だ。
それだけは強く明確に、駈は思った。
そんな駈の様子に気付いているのか、いないのか。
リストは、微笑ましいものを見るかのように、口元を弛めた。
「すまないね……」
「あっ、いやっ!そんなことは全っ然ないです!」
「ふふ。やっぱり君は優しいね。相変わらずだ……ーーーーーーーー」
後半の言葉が何を言っているのか聞き取れなかった駈だったが、リストの顔を見てドキリとする。
何かを覚悟するかのように。
とても力強く、それでいて美しい表情を見せていたからだ。
神々しい。女神。
自分の表現力の乏しさに嫌になる駈だったが、リストの顔はそれほどに眩しいものに見えた。
「わたしを君の仲間にしてくれないかな?」
そんな美しい顔で。
リストは爆弾発言を投下するのだった。
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