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その箱を開けた世界で  作者: ナガズボン
第1章 鳳凰院 蓮火(仮題)
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アカズのダンジョンと異変5

よろしくお願いいたします!

 駈は蓮火と手を繋ぎ、壁にポッカリと空いている道の入り口の前に立っていた。

 この入り口は駈にしか見えていない。

 先に自分が入って蓮火が着いてこれなくなるという事態を防ぐため、二人同時に道に入れるよう手を絡めていた。


(や、柔らかい……)

 駈にとっては完全に役得であったが。


 意外にも。

 手を繋ぐという提案をしたのは蓮火の方からだった。

 彼女にとってしてみたら、一見すると行き止まりの壁に向かって歩いていく行為であるため、不安になるのは仕方がない、と駈は思うようにした。


 蓮火は自分から言い出したのにも関わらず、ものすごく恥ずかしそうにしていたが、その行為を始めてからはむしろ、積極的に駈の手を握りしめており。

 顔は赤いが、その表情はとても魅力的な笑顔を時たま見せるため。


 鼻血が出そうになる駈であった。


(ヤバイっ、ヤバイっ……)


 手汗かいてないかなぁと、この状況にあって場違いな感想を駈は思い浮かべる。


「じゃあ、入りましょうか……」


「うん……」


 結局、駈は自分の言葉を元の敬語に戻していた。

 あれ以上耐えられなかったからである。


 その申し出を行なった時、蓮火は頑固にゴネにゴネたが、駈の方がより頑固だった。


 蓮火!!とこれが最後だと思いながら、再度に蓮火を一喝し、自分の言うことを聞かせたのだ。

 

 その一喝を聞いた蓮火は、また顔をポーッと赤く染め。

 はいぃ、という弱々しい返事をした。


「じゃあ、せーので行きますよ?」


「うん」


 せーの、と掛け声を合わせて、駈と蓮火は壁に向かって足を踏み出した。


 果たしてその壁は。

 二人の身体を遮ることなく、自分の内側に彼らを迎え入れた。


 耳に届く、すすり泣くようなその声も。

 まるで、自分たちを手招きするかのようなものになっている、何となくそう感じた駈なのだった。

お読みいただきありがとうございました!

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