アカズのダンジョンと隠し部屋1
よろしくお願いいたします!
「ほんとに入れた……」
「まあ、道が見えない人からすれば、タダの壁でしょうからねぇ」
「あっ、いやっ、駈君を疑ってた訳じゃないんだ?!ただ、ほんとにびっくりしたってだけでっ」
「分かってますよ」
駈は苦笑いして頷く。
本当にこの娘は、今時珍しいほどに純粋でピュアな若者だと駈は思った。
駈も若者である。
「いーやっ!分かってないっ」
それでも駈の了承に納得がいかなかったのか、ほらっ、と蓮火は彼の腕を掴んで。
次の瞬間、驚きの行動に出た。
「どうっ!?びっくりして心臓がドキドキしてるでしょ?!」
駈の手の平は、蓮火のその起伏に富んだ部分に押し付けられていた。
(はっ、はっ、はぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?)
余りに余りの出来事に。
駈の思考が停止する。
無意識の内に、自らの手の平に身体中の全神経が集中していたが、駈は気付いていなかった。
(柔らかっ、じゃなくてっ、この娘頭大丈夫か!?)
ピュアにもほどがあるだろっ、と駈は内心毒づく。
その間にも蓮火はギューと駈のを自らに押し抱いている。
そんな意固地になっているのではないかというほどの蓮火の様子を見て、ようやく駈の思考が回復しかけていた。
(いかにこの柔らかさを、じゃなかった、どうやって堪能、でもなくて打開すればいいかっ?!それだけを考える!!)
とりあえず素数を数えよう。
1、2、3、4、5……。
あれ?
5の次って何だっけ?
全く回復しかけていなかった駈。
ここまでおよそ2秒である。
そんな駈の反応を不思議に思ったのか。
焦れったいというように蓮火が駈に確認する。
「ねっ!ドキドキしてるでしょ!?」
ドキドキしている。
駈の心臓が。
「うんうんうん?!分かった!分かったから!?蓮火さんは僕を疑っていない!むしろ、ものすごく信頼しているってことがさ?!」
何しろ、自分のとあるところに駈の手を導いているほどである。
これで信頼されていなかったら、一体何を信じればいいのだろうか。
「ほんとにっ?」
疑わし気な目をする蓮火。
その腕は相変わらず、駈の手を固定していた。
駈はもう耐えられなかった。
「いや、ほんとっす!絶対にほんとっす!だからほんとにもう勘弁してください!ほんとにすんません!」
「あっ!?ちょっと?!話しはまだ終わってっ」
駈はそう言うと、蓮火の腕を強引に、それでいて彼女がなるべく痛がらないよう注意を払いながら振り切った後に逃げ惑う。
蓮火は逃げる駈を追いかける。
二人の追い駆けっこは、それから五分ほど続くのだった。
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