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その箱を開けた世界で  作者: ナガズボン
第1章 鳳凰院 蓮火(仮題)
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アカズのダンジョンと異変3

よろしくお願いいたします!

「さて、と……」


 蓮火がうんうん悩んでいるその横で、彼女が気付くその前に話を進めようとする駈。


 とりあえず駈は、床に埋めた脇差を掘り起こし、改めてその様子を見る。


「真っ白だ……驚くほど」


 駈のその声が聞こえたのか。

 悩んでいた蓮火も、考えるのを止めて駈の手元に注目する。


 どうやら誤魔化せたようだ。

 心の中で、ふぅと額の汗を拭うようにした駈。

 その顔は、今日も元気に一仕事したというような、気持ちのいいスッキリした表情をしている。


 ただの人でなしだった。


「リピートアフターミー。固くて真っ黒だったものが」


「固くて真っ黒だったものが……?」


 駈の突然の英語に思考を止めそうになる蓮火であったが、それでも何とか口にする。

 律儀な性格をしていた。


「真っ白になってますねぇ」


「真っ白に……ってこれ何の意味があるの!?」


「ただの状況確認ですよ」


「ほんとに?また、からかおうとしたんじゃないの?」


「ほんとですって」


 このダンジョンの中で、蓮火も随分と成長したようだ。

 そこまで勘づくようになったとは。

 駈は親のような心境で蓮火を見る。


「な、なんだいその顔は?!なんでそんな生温かいような目でボクを見てるんだい!?」


「いや、なんでもないですよ。それよりもこれどうしましょうか?」


 駈が示したのは、手元にある脇差。

 時間が経っても元には戻っていなかった。

 時たま駈の耳に聞こえてくる、すすり泣くような声も相変わらずである。


 駈に言われた蓮火もどうすべきか図りかねているようである。


「うーん……ボクもどうすればいいか分からないなぁ……こんなこと初めてだからさ」


「ですよねぇ」


 ほとんどの者はそんな経験していないだろう、と第三者がいればツッコむようなやり取りをする駈と蓮火。


「とりあえず、さ……」


 蓮火は少し疲れた様子で駈に告げる。


「もう遅いし帰らない?寮まで帰るのもたくさん時間が掛かるだろうからさ……」


 言われた駈は自らの腕時計を確認する。

 夜の十二時になる五分前だった。


「そうですねぇ……出来ることも無さそうでしょうし、帰りましょうか」


 駈は蓮火の言葉に同意する。

 

 そして二人は改めて、ダンジョンの入り口を目指し始めるのだった。


お読みいただきありがとうございました!

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