アカズのダンジョン4
よろしくお願いいたします!
駈と蓮火の姿は、アカズのダンジョンで現在確認されている最下層である七階にあった。
「一応、一番下まで来ちゃったね」
「今のところはそうですね。蓮火さんのおかげです。とても助かりました。ありがとうございました!」
「いやいやいや!?駈君だってボクに負けないくらいモンスターを倒していたじゃないか!」
「蓮火さんのおこぼれを貰っただけです!ほんとにありがとうございました!」
「そ、そうかなっ?いやでも、こっちこそありがとう!色々勉強になったよっ」
ダンジョンの道すがら。
駈は蓮火へ、トラップの見分け方やその解除の仕方を教えていた。
惜しげもなく。
二人とも気付いていなかったが、駈のその技術はトップクラスの冒険者にも負けない、いやむしろ、勝っているほどのものだった。
魔法がろくに使えない自分がダンジョンを少しでも攻略するにはどうすればいいか、体技と合わせて愚直に鍛え上げてきた駈の努力の賜物であった。
「それで、どうするっ?」
これ以上に下を目指して探索するか、そんな意味も込めて蓮火は駈に如何をする。
「そうですねぇ」
駈は腕の時計をチラと見る。
時刻は既に夜十一時を回っており、これ以上の探索は危険だと駈は判断する。
尤も、蓮火一人であれば、問題ない範囲ではあると思ったが。
自分も一緒に行くとなると足を引っ張ってしまう恐れがあった。
疲労も確かに感じている。
「僕の冒険者証の容量も限界に近いですし、時間も遅いので。依頼分の素材も手に入れたことですし、ここら辺で切り上げた方がいいとは思うんですが……」
蓮火に告げる。
「そ、そうかい?分かったよ……」
駈の言葉を聞いた蓮火は少し残念そうな表情を見せ、口調もそれに引っ張られたものとなる。
そんな顔を見たくなくて、駈はつい付け加えてしまう。
「それで、次はいつ一緒に潜ってくれますか?蓮火さん」
「え?」
蓮火は呆気に取られるが、数瞬後、駈の言ったことを理解したのか次第に顔に笑みが浮かんできた。
「え、えぇっとね。じゃ、じゃあ来週の月曜日とかどうかな!?」
「すいません、平日はちょっと……」
「あ、間違えた!ボクも平日は嫌だよ!?じゃなくて、土曜日はどうかなっ?」
駈は自分の予定を思い出す。
その日は…ダンジョンに潜る予定だった。
そう言えばびっくりするほど、休日はダンジョンに潜ることしか予定がない。
少し込み上げて来るものがあった。
「な、何で目を覆っているの!?何か悲しいことでもあった?そ、それともまたボクが変なこと言っちゃったかな!?」
駈の仕草を目にした蓮火があわてふためく。
また余計なことをしてしまったと、駈は自分を戒める。
「いや、そんなことないです。こっちの話です。それよりも来週の土曜日ですね。了解しました!時間は何時ごろにします?」
「ほ、ほんとに大丈夫かい?何かあったらボクに言うんだよ?相談に乗るからね?」
時間は朝の十時、今日会った冒険者ギルドで。
蓮火は駈に答えた。
「それじゃあ、戻りますか!」
「そうだね!」
二人は元来た道を、地上へと向けて引き返すのだった。
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