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その箱を開けた世界で  作者: ナガズボン
第1章 鳳凰院 蓮火(仮題)
32/154

アカズのダンジョン入場

よろしくお願いいたします!

 列が捌けていき、駈と蓮火がようやくダンジョン入り口前の受付係員がいる場所に着いた時、時刻は既に夜の九時を大きく回っていた。

 駈にとっては完全に誤算である。


 かれこれ三十分ほどは待っていたことになるのだが。

 それが三十分もかかったと見るのか、あれほどの混み具合でもたった三十分しかかからなかったと見るのかは意見が分かれるところではあるだろう。


「次……の方……」


 冒険者の列を捌いていた係員のその声は、疲労にまみれていた。

 見ると二人とも、髪は飛び跳ね目にはクマ、服装は乱れに乱れている。

 これまでの冒険者たちとのやり取りが、いかに壮絶であったか分かる状況だった。

 こんな日に受付担当になってしまい非常に気の毒である。

 駈と蓮火はそんな彼らに内心で敬礼する。

 お勤めご苦労様です!


「冒険者証をお出しください」


 それでも彼らはプロだった。

 係員の女性は本日、何度も繰り返したであろう手続きの言葉を、疲れを感じているだろうにきりっとした口調で発する。


 駈と蓮火はその言葉に習い、自らの冒険者証を取り出して係員の彼女に手渡した。


 入場規制をかけているため、冒険者ランクの確認は必須である。

 冒険者証にはランクの表示を行う機能があるため、ここでもそれが用いられていた。

 この手続きを経ずに無理やりダンジョンに入った者は、後からその事実が知られた場合、非常に重い処分が下される。

 冒険者証にはさらに、どのダンジョンに潜ったかを記録する機能もあるため、大抵にバレるのであった。


「冒険者ランクは……あぁ、パーティーとして潜るんですか。なら問題ないですね」


 そう言いながら、何かの機械に駈と蓮火の冒険者証を読み込ませていた。

 駈はそれを見ても、何が行われているのか皆目検討がつかなかったが。


「冒険者証をお返しします。ようこそアカズのダンジョンへ。どうぞお入りくださいませ」


 お気をつけください。

 係員の女性は最後に、駈と蓮火にそう声をかけると、次の冒険者への手続きに戻るのだった。


 

 

お読みいただきありがとうございました!

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