ダンジョン実習終了
駈たちの担任の教師=輝花です!
よろしくお願いいたします!
「遅いぞ」
実習から戻ってきた駈たちへの、輝花の第一声だった。
彼らの班を除いて、生徒が全くいない状況だ。
実習用のダンジョンは、この区画には他に七つあるが、他の班は全て実習を終え、解散していた。
なぜか輝子だけは居残っていたが。
「まさか、ホブゴブリンに苦戦した訳でもないだろう?」
さあてどう説明しようかと駈が悩んでいると、横から手を上げる者がいた。
「先生すいません。わたくしのせいなんです」
アシュリーだった。
「ふむ?」
輝花は首を傾げる。
「実はこっちで実習用のダンジョンに入ったのは、今回が初めてでして。ついつい罠の解除の仕方などを、みなさんに詳しくお聞きしてしまったんです」
「ほう。つまり駈に手取り足取りナニ取り教えもらっていたら遅れてしまった……というわけか」
とんだ流れ弾が、駈に飛んできた。
やはりセクハラ教師。
今のアシュリーの発言から、何で自分の名前が出てきたのか疑問に思い、駈は問いただすべく話に割り込もうとする。
「ちょ……」
「はい!そうなんです!彼には特にイロイロ教えていただきました」
この子もおかしい、駈は内心ツッコむ。
鈴がなぜか、横から脇を小突いてくる。
割と本気の力を出しているような痛みを、駈は感じた。
「(痛っ、ちょっ、君は実際に現場にいたよねぇ!?)」
「(でも、あの子に近づかれた時、鼻の下伸ばしてだらしない顔をしていた)」
「(それはすんません!!)」
まずい、味方がいない。
この状況を打破すべく、駈は頭を働かせる。
「おい、駈。お前アシュリーさんと何してたんだ。羨まし、いや、けしからん」
「うるさいよ!っていうか何で君だけ残ってるの?」
「お前は黙ってろ、輝子。話がややこしくなる」
「ややこしくしてるのは姉きぶばらっっ?!」
「学校では先生と呼べといつも言っているだろう、全く」
嘆かわしいというように首を振る、教師もとい輝子の姉である輝花。
理不尽だ。
姉とは、かくも理不尽な存在なのだろうかと、駈は輝子に少し同情する。
「とまあ、冗談はこれくらいにしておくか。時間も押してるしな。お前らが遅れるのは分かっていたことだし」
駈は目を見開いた。
何でもお見通しか、この先生は。
あと、時間が押してるなら、変な冗談を入れないでほしいと思う駈だった。
「何があったかは聞かん。面倒くさい話だと私の力が騒いでいるからな。ま、少し休んだなら帰るがいい。もうお前ら以外いないからな。この後、他のクラスの授業があるわけでもないしな」
「えーと、助かります?」
駈の率直な感想だった。
゛旧きもの゛が出てきて、自分の力を試していったなどと話したら、頭がおかしいと思われても仕方がない。
正直、自分でも未だに信じられていない状態だった。
輝花は駈に手を一振りすると、アシュリーと目を少し合わせ、ニカッと笑い去っていった。
駈は輝子に声をかける。
「ねぇ、君は何で残っていたの?」
頬を腫らした輝子は、その問いに答えた。
「それはお前あれだよ」
そう言って、チラチラとアシュリーの方を見る。
「はあー、やっぱり美人だよなー」
「まぁ、その意見には同意するけど」
女子三人、かしましく話している様子を見る駈と輝子。
そう言えば、と。
金髪ロングと動物好きがいなくなっていることに、駈は気付いた。
まぁもう帰ったのだろうと、あまり気にしないようにする駈なのだった。
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