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その箱を開けた世界で  作者: ナガズボン
第1章 鳳凰院 蓮火(仮題)
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幕間 とある鑑定士の独り言

 特性の把握には二つの方法があった。


 ゛鑑定゛という特性を持つ鑑定士と呼ばれる人物が、鑑定を行う方法が一つ。

 鑑定丸と呼ばれる水晶に手を翳し、それとケーブルで繋がっているモニターに、結果を映し出すものが一つだ。


 ちなみにではあるが。

 鑑定を行う際の料金は無料となっており、それにかかる経費などは国が負担している。

 鑑定丸での鑑定では多くの魔力を使うため、その負担は国の悩みどころであった。


 負担を軽減できる、また゛鑑定゛の特性を持つ者が珍しいことから、鑑定士は重宝されているのだった。


「あの子落ち込んでたなー」


 とある鑑定士は部屋で一人、今日の仕事を振り返っていた。


 今日、鑑定した中で印象に残った子どもがいたのだ。


 ほとんどの子どもが親と一緒に鑑定に来る中、その子は一人、いや、同い年ほどの少女とやってきていた。


 特性を授かるのは七歳の子どもであるため、彼らにとってその結果は、よく言えば気にしない、悪く言えばもらえればなんでもいい、という反応が大半だった。


 親もそこまでは気にしない。

 大抵の特性が何らかの役に立つからだ。


 その中にあって、少年は異質だった。

 非常に緊張しているように見えたからだ。


 鑑定士である彼女が結果を伝えると。

 彼は自分の特性を聞き、ガッカリしていた。


 なぜそれほど落ち込むのかと思って話を聞いてみると、彼は強い冒険者になることを目指しているため、戦闘に使える特性が欲しかったらしい。

 さらに聞けば魔法の適性も高くなく、今回に期待していたとのことだった。


 少年に着いてきた少女の特性は「身体能力超強化」だったため、彼はひどく羨ましがっていた。


 結局、彼は少女に慰められながら帰っていった。


「まあ、確かにあの子の特性じゃ強くはなれなさそうだなー」


 正直その落ち込みようは、罪悪感で申し訳なくなって、こちらも一緒に落ち込んでしまうほどのものだった。


 寝る準備を終えた鑑定士は、それでも思考を切り替えて明日の仕事に備え眠りにつく。


 最後に呟く。


「でも、両横に付いていたあの0っていう数字、なんだったんだろうなぁ……」


 初めて見た。


 その言葉は誰の耳にも届くことはなかった。

 

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