幕間 とある鑑定士の独り言
特性の把握には二つの方法があった。
゛鑑定゛という特性を持つ鑑定士と呼ばれる人物が、鑑定を行う方法が一つ。
鑑定丸と呼ばれる水晶に手を翳し、それとケーブルで繋がっているモニターに、結果を映し出すものが一つだ。
ちなみにではあるが。
鑑定を行う際の料金は無料となっており、それにかかる経費などは国が負担している。
鑑定丸での鑑定では多くの魔力を使うため、その負担は国の悩みどころであった。
負担を軽減できる、また゛鑑定゛の特性を持つ者が珍しいことから、鑑定士は重宝されているのだった。
「あの子落ち込んでたなー」
とある鑑定士は部屋で一人、今日の仕事を振り返っていた。
今日、鑑定した中で印象に残った子どもがいたのだ。
ほとんどの子どもが親と一緒に鑑定に来る中、その子は一人、いや、同い年ほどの少女とやってきていた。
特性を授かるのは七歳の子どもであるため、彼らにとってその結果は、よく言えば気にしない、悪く言えばもらえればなんでもいい、という反応が大半だった。
親もそこまでは気にしない。
大抵の特性が何らかの役に立つからだ。
その中にあって、少年は異質だった。
非常に緊張しているように見えたからだ。
鑑定士である彼女が結果を伝えると。
彼は自分の特性を聞き、ガッカリしていた。
なぜそれほど落ち込むのかと思って話を聞いてみると、彼は強い冒険者になることを目指しているため、戦闘に使える特性が欲しかったらしい。
さらに聞けば魔法の適性も高くなく、今回に期待していたとのことだった。
少年に着いてきた少女の特性は「身体能力超強化」だったため、彼はひどく羨ましがっていた。
結局、彼は少女に慰められながら帰っていった。
「まあ、確かにあの子の特性じゃ強くはなれなさそうだなー」
正直その落ち込みようは、罪悪感で申し訳なくなって、こちらも一緒に落ち込んでしまうほどのものだった。
寝る準備を終えた鑑定士は、それでも思考を切り替えて明日の仕事に備え眠りにつく。
最後に呟く。
「でも、両横に付いていたあの0っていう数字、なんだったんだろうなぁ……」
初めて見た。
その言葉は誰の耳にも届くことはなかった。




