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VRMMORPGの世界の果ての果ての果てまで旅をする  作者: 8TR残響
第一章、ゲームプレイ1日目
3/27

第二話 「キャラメイキング」

 大丈夫じゃなかった。


 私は目の前の画面に書かれた文章を読む。まあ読むまでもなく、音声ガイダンスがそれを読み上げてくれるのだけど。


「DayDreamBeliever Onlineへようこそ! これから、キャラメイクをいたします」


 はいはい。しましょうしましょう。


「それでは、あなたがDDBオンラインで、ひとつ【チート能力】をもつことができますが、何を選びますか? 制限時間は一分です」


 一分!!

 そしてタイムカウントがはじまった。おいおいおい、なんてユーザーアンフレンドリーな設計じゃまいか。だいたいこういう、これからのプレイに対して非常に大きな割合をしめることが、こんなに焦らせる形で決めさすかね。

 

 とはいえ。

 私が切望していたのは……このゲームで何をしたかったのか。それは、ごく単純なことだった。

 だから、私は、シンプルにそれを告げた。



「――何があっても、へこたれない、負けない、持久力がものすごい、どこまでも歩ける、強靱な両足」



 これだけだ。

 私が欲しい「オリジナル能力」といったら、これだけだ。いわゆる、ゲーム的強さはいらない。ただ、足の強さだけあればいい。

 だって私は……


「了解しました。何があっても負けない足。あなたの両足は、それに基づくチート能力を保有する足になりました」


 それ以外は平凡です、と、別にいわんでもいいことを付け加える音声。ジョークのつもりかしらん。


「なお、このゲームは、アバターの外見はご本人様のもともとのお顔と体型をもとにしたものか、それとも、大きくエディットしたものにすることもできますが、いかがいたしましょう 制限時間は一分です」


 また一分かい。

 とはいっても、私はあんまりこの手の拘りはない。私は、現実の私に基づいた外見設定、を選ぶ。

 いつも着ているような、柔らかなカーディガンとか、ロングスカートとか。おおむね暖色系のコーデをする。あと、顔の作りとか、色素の薄い長い髪とかもこのまんま。面白みがねぇなぁ。

 ただし。

 ひとつだけ、現実ではとても着ることのできない、あるアイテムを選ぶことにした。

 フードつきの暗色のマントである。これには、理由があった。追々話そう。これはもともと決めていた服装であった。


「さて、あなたの職業を決めてください。制限時間は一分です。」

 

 もう一分にも慣れたよ。

 これなんだよなぁ。どうするべか。

 リアルのそれを引き継ぐようなのを選んでも仕方がないし(だってリアルと違うことをするのがこれだから)。で、私が「したいこと」と一番近いものは何か、と思う。戦士? 違うと思う。 魔法使い? これも違うな。別に戦いを求めて私はこれをするのではない。

 うーん、うーん、と私は悩んでしまった。


 そこで、アナウンスが入った。


「お知らせします。テスト的に新しい職業が入りましたが、それをお選びなさいますか? これらを選ぶことにより、テスター権限として、一定のメリットを保有することができます」


 なるほど。

 だったら、ガチのド素人たる私には、意外にこれ、いいかもしんない。


 そこででてきたのは、


・服飾師

・陶芸家

・風水士

・花屋


 ……さすがに、ゲーム初心者たる私でも、変な職業だなー、と思うぞ。

 でも、最後の「花屋」ってのは、結構気に入った。よし、これにしよう。


「花屋について説明します。花屋はアイテム系の生産職です。花屋の専用武器は、鎌です。花や植物からアイテムを生成することができます。また、ゲーム内における花や植物、毒草に対する認識スキルを最初から保有しています。今回、テスター向けのメリットとして、初期保有の花や種や園芸用アイテムの種類を、通常の15倍の種類にさせていただきます」


 ……え、それはちょっと困ったぞ。最後のが。荷物が多くなっちゃうじゃないか。


「これにて、キャラメイキングを終了します。――ようこそ、DDBオンラインの世界へ! 私たちはあなたのこの世界への参入ログインを歓迎します! なにをやっても自由です。自由に生きましょう!」


 ……自由に生きましょう、か。

 私にとって、あの「夢」は、まさに自由の体現だった。現実ではとうていかなえることのできないこと。それが、仮想現実で叶うことができる、か。

 皮肉? いや、それは違う。これは、ひとつの可能性なのだ。

 私がこの両足を得て、どこまでできるか。今まで考えていたのが、どれほど夢想であり、どれほどその夢想を裏切ってくれるだけの喜びを与えてくれるか。

 



 そして、黒い画面から、さあっと光とともに、開けていく。すると、私は、ちょっとした丘の上に立っていた。そばには、背の高い一本の木があった。

 そよそよと、大きな木は、風に吹かれていた。あたり一帯を見渡せるその丘は、とても気分がよかった。 

 私は――両の足で、立っていた。

 両の足。

 私は、右足を、おっかなびっくり、動かしてみる。すると--とても懐かしい感覚が、私にもたらされた。

 「動く」!

 ああ、動く!

 そして、ゆっくりと、私は歩いてみる。すると、ちゃんと両の足で、大地を蹴ることができる。あの義足の感触なしで、ちゃんと「自分の足」が、大地を蹴っている!

 ああ! ああ!

 私の夢は、本当に叶いそうだ!

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