第二十五話 中国サーバ秘密管理区域【失われた大陸】(4)
久しぶりの更新です。ですが大して話は進んでいません
さて、【橋】をかけるということだが。そのヒントも何もない。なんか切れ端みたいなとこがあるっぽいのだけど、どこが切れ端なんだかなぁ。
それにしても平和である。
薄ぼらけの太平な空、なんだか白くして。
風はそよそよ、足下の草はひっそり揺れて。歩んでいる隣には、川が流れてて、そよそよ。
……ああ、こんな自然の静かなとこで、ゆったり歩くのって、どんだけぶりかなぁ。
私は、死神マントをはためかせて、てくてく歩く。
「ご機嫌のようだな」
アジェンダが言う。
「バレた?」
「なんでか俺はそういうのを感じとってしまう。不愉快なら言わんが」
「別にー。ていうかそもそも感じ取ってしまうなら、知ってて言うか、知っててわざと言わんかのどっちかじゃん?」
「なかなか、「ひとの心を読むな!ゲスパーめ!」って言う奴もいてな」
「ふうん。世知辛い世の中よのう」
わからんでもない。
どのタイミングでどういう言葉をかけたらいいか。それもまた人生だ。「正しさ」なんて時の偶然でしかないようにも思える。そんなのが積もりつもって、現実のセチガラがある。……やんなるね。
それをいくばくかでも脱するために、このゲームってもんがあるんだろうけど、それでもソーシャル要素が強いネトゲだと、ゲスパーとかいう言葉が出てくるんだろう。やんなるね。
「アジェンダは、そういうのがイヤでここに居るの?」
「けっこう率直に聞くな、君は」
「もし正直と、グダグダな虚偽があったとしたら、私は正直をとるタイプなもんで」
「知ってる。でも、それだと疲れないか?」
「信念というか、生き様は疲れる疲れないの問題じゃないよ」
ふっ、と何か思い当たるようなフシを見せたアジェンダ。強面が、虚を突かれたような感じになる。それもそれで威圧感あるけど。
「……くくっ」
「あ、笑った」
「ヒントをやろう」
「ありゃ、なんか事態がローリングストーン」
「ここは自然が豊かだろう」
「とってもね」
「”だから”だ。自然のなかの違和感を見つければいい。それは、自然と対話すれば、わかる。ツヴァイが言った切れ目、というのは、ようはバグだ。バグは……やはり不自然なものだ。そこが、解決に導くところだ」
「ねえ、私にゲームのコーディングというか、デバッグやれって言ってる?」
「ははは」
「笑うなよ」
「まあ、メソッドが同じだってだけだ。それに、このゲームは、バグと【仕様】の区別がつきにくいものだからな」
「それってプログラマとしてどうなん?」
「面白さがすべてだ」
それを言われたらもう言葉が返せないよ。
しかし切れ目、違和感というてもなぁ。
ともあれ、私はボンヤリ川に沿って歩く。アジェンダと一緒に。
「暇じゃない?」
私はアジェンダに聞く。
「暇だったらこうしてここでボンヤリしていないさ、あいつ等と一緒にな」
「疲れてるの?」
「選んだ職業で、やりがいもあるが、それはそれだ。おまえさんもそうだろう?」
「オー・ヤー」
やれやれ、のポーズをする私。
だいたい、こういうのはフィーリングで会話してるようなもんであって、グチを言い合うもんじゃない。
そんで、私はこの桃源郷めいた風景のなか、ボンヤリ度が増していってるのに気づく。
そういえば、いつぶりだろうかな……って、思考がループしている。それに、これはゼファーのクエストの一環ということを忘れていては、リアルで西之助に叱られてしまう。あいつは結構几帳面なのだ。豪快なフリして、メンタル弱いからな……。
「【橋】って、どう掛ければいいの?」
「おまえさん、生産職だろう?」
「花屋だからね」
「【橋】をかける時になったら、ステータス画面を見ればいい。そこで自然と、こういう時のためのサポートが働く。特殊技能コマンドが点滅する形で。あとは本能に従って、do it!だ」
「ひと、それを投げっぱなしジャーマンというような気がするのだけど」
「気にするな。それに、ここで全部システムを話してしまったら、楽しみがないだろう?」
「それもそうか」
どんどんボンヤリ度が増していっている私である。
そして、どんどん歩いていくうちに、私は癒されていって……で、川が終わる頃合いになってきた。
海でも見えてきたか?
違う。
目の前に、大きな岩があって、川の水がそこに吸い込まれていってるからだ。
ただし、岩に穴はない。
「岩自体に吸い込まれて入っている」のだ。流れる水がーー違和感、発見の巻。
クエスト、次回から本番です




