表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/27

第二十三話「中国サーバ秘密管理区域【失われた大陸】(2)」

「結局ねえ、君が……ゲーム二日目でホントに打ち倒せるもんかいな……まあいいや、ここに来たってことは、打ち倒したことなんだから、仕方がない」

「あのフレイムドラゴンのこと?」

 私はツヴァイから、今の状況を聞いている。

「あのフレイムドラゴンが、ここ――【失われた大陸】の守護者、というかフタ的存在だったんだよね」

「フタて」

 その即物的な物言いにツッコまざるを得ない私であった。。

「フタと言っても重要よ」中華ドレスに身を包んだマジメそうな女性――湖姫こきが補足するようにして説明する。「私達としても、この空間に、そうやすやすと人……他のゲームプレイヤーが来られても困るの」

「ですわな。なんてぇの、ここ……隠れ家みたいだもんね」

「話が早い」

 大柄で厳つい顔つきをした男性。まるでアメリカインディアンのような羽飾りを頭に挿している。そう思ってみたら、全体のルックスもアメリカインディアンっぽい。この男性、名をアジェンダという。彼は、必要以上のことを言わない。

 そんな三人組プログラマが、私に対して……怒ってる、という感じではなく、淡々と説明するといった様子で語りかけてくる。主に話すのは、白い服のツヴァイという男性だ。

「結局、ゲームのバグみたいなもんだよ、君のは。あそこにプログラムとして、異常レベルのレイドモンスターをおいておけば、こっちの世界とのリンクが目立たないだろう、って寸法」

「それでフタ、ってわけだ」

「うんそう」

「でもさ、あの隠しダンジョン、結構知れ渡ってるみたいだったよ」

 ゼファーが簡単に隠しダンジョンのキーを開けるくらいだからなぁ。

「……あー……誰かリークでもあったかなー。まいった。もっと複雑にしとかないとまずいな……でもまあ、普通はこっちにこれないことには変わりないでしょう?」

「だと思うよ。私がムチャしたからね」

「ふつうのやり口だとこっちとのリンクが開放されないんだけどね。あそこの舞台装置が全壊しないくらいでないと……」

「あ、全部壊しちゃった」

「……」

「……」

「……」

 プログラマ三羽烏、黙る。

「えーと、ごめん。でも、壊れてこっちの世界……サーバ? との関係がバグるようなシステムだったら、最初から脆弱じゃない? って突っ込ませてもいただきたい」

「いやまあ、正論だ」アジェンダが深い納得でもって答える。「今フレイムドラゴンのダメージもろもろを検証してみたんだが、ルルィ、君のような低レベルが、あのようなトリッキーなダメージの与え方、よくやったもんだ。それで、【フタ】たるフレイムドラゴンが……暴走したんだな」

「暴走もするでしょう。眼にナイフ突き立てられて、乱高下させられて」

 湖姫が呆れたように言う。

「しかし、その程度で暴走するような簡単なエネミーに仕立ててしまったのは俺らともいえる。反省点だな」

「まあそれは追々反省会することとして、当座はあの場所の更なる封印……いっそ、あのリンク地点に、別のサーバをくっつけてしまうって手もあるけど」

 ツヴァイという青年、結構優男のくせして、外道味が強い。

「なんか悪いような気がしてきたなぁ」

 私は言う。すると、

「いや、君が気に病むことではない。これもまた、プログラマとしての仕事……むしろ、君をいらぬトラブルに巻き込んだことを、こちらは申し訳なく思うよ。すまない」

「あー、いやまあ、私がいうことではないけど、お互い様って感じかなぁ?」

「じゃあこの件はそれで」

「そこで……」私は、身を乗り出して尋ねる。「私、これからどうしたらいいんだろう」



「君のギルドのリーダーからは、帰ってこい、って言われただろう?」

「そうなんだけど、サーバ越境して帰る、って、結構大変なんじゃないの?」

 乏しいゲーム知識の私でも、それくらいはわかる。

「うん、すごく大変だ」

「やっぱり」

「貴女、案外気落ちしないんですね」

 湖姫が尋ねてきた。意外そうに。私はそれに対して、やっぱり次のように答えるのだった。

「私の最終目標は、世界一周だからね」

「このDDBオンラインの?」

「そう、DDBオンラインの」

「……」

「……」

「……」

 そして、三度、プログラマ三人、黙る。して、

「ありえない!」

「いやいや貴女それは無理でしょう!」

「よくそのようなことを考え付くもんだ」

 ああ、このフレージング、また返ってきたぜ! しっかり、プログラマでもこういうかね。

「いやむしろ、プログラマだからこそこういうのかな……?」

「君の考えてるとおりだと思うよ。我々プログラマは……このゲームの基礎作りをしたプログラマだからこそ、この世界の広がりがどんなだ、っていうのがわかる。それこそ、途方もない……! 僕らですら、現在統括している区域は、ゲーム全体の数割ってところだ。DDBオンラインのプログラマ総出でかかっても、この世界の全部をわかる、っていうのは無理じゃないかな?」

「それでええんかDDBオンライン」

「ある意味、カオスを作り出すのと似ている部分があったからね……自然発生的とはいえ。例えば、そうだね、ネット巨大掲示板があるだろう?」

「あんま見てないけど、知ってることは知ってる。常識として」

「いろんなスレッドがあるわけだ。スレッドもパートなんぼ、って具合に増えていくわけだ。はたまた、スレッドに対して「アンチ」スレッドがつき、掲示板の板が増えていき……断言してもいいけど、巨大掲示板を使っている人間で、その総体を全部くまなく知っている人間なんて、管理人ですらいやしない」

「まるでこの世の写し絵みたいだね」

「そうだね……この世の写し絵。それを、ある程度までは、DDBオンラインは望んでいたのかもしれない」

「うーん、やっぱり世界一周って、普通のひとは考えないんだね、そうなると」

「です」

「でも、だったらやっぱりやってみたいよね」

 くっくっく、と肩をふるわせて笑うツヴァイ。他の二人も、そこまでではないものの、同じようなアトモスフィアを漂わせている。

「君は面白い人間だなぁ」

「こういうゲームを作ろうとするクレイジーたちにそういわれるとは思っていなかった」

「おっとそういう返しか。くくっ。まあいいさ。さて、まあ、このサーバから、とりあえずは日本サーバまで戻るくらいの冒険は出来ないと、世界一周なんて出来ないよ?」

「それもそうだ」

 しかし……とりあえずは情報収集である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ