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VRMMORPGの世界の果ての果ての果てまで旅をする  作者: 8TR残響
第二章、ゲームプレイ2日目
22/27

第二十一話 「はじめてのダンジョン、【四聖洞窟遺跡攻略】(6)」

「ジュンっ!」

「ちょ、ルルィたん!」

 MK2の制止も振り切って、私はジュンのもとへ駆けだしていた。打ちつけられたジュンはほぼ、ステータスで言えば「瀕死」状態。とりあえず手あたり次第に手持ちのポーションで回復を試みる。

「に、逃げろルルィさん……」

 そうこうしてると、あのフレイムドラゴンがこちらを視認した。こっちに向かってくる!



 ……あー。

 ……こりゃ、ゼファーもトルゼも間に合わないな……。

 ……しょうがない。

 頭が冷える。危機的状況だっつうのは了解済み。状況はどんどん詰みつつある。が、最悪のことはゼファーがいる限りなんとかなるだろう。あいつに任せておけば、最低限のアレコレは保てるはず。

 ……じゃあ、私はどうするか。

 ……このまま、このダンジョン攻略で何もしないママっつうのも……ねえ!?


「ゼファー、あとは任せた!」

「ハァ? おい、ルルィ!」

 彼の叫びも後にして、私はこっちに向かって急降下してくるフレイムドラゴンに――さらに対峙して、駆けていく!

「な、何やってんだあいつ!」

「お姉ちゃんっ!」


 思いのほか体が動くな。こういう危険時のとき、足が動かなくなる、っていうのはよく聞くけど、私の場合はそうではない。だって、もう失った足なんだからね。

 圧倒的質量が向こうからくる感じ……でっかいでっかい竜だ。大型トラック一台ぶんはあるね。圧力を感じるよ……。

 私はアイテムボックスからナイフを取り出して、駆けながらアイテム使用でもって、投擲! もちろん、相手の弱点……まなこをエゲツナク狙って。

 ザクッ! 

 瞳そのものをつぶすまではいかなかったけど、傷はつけられた!

 うまくいった! 相手がよろめく……そして、私はフレイムドラゴンの頭に飛び乗った!

「だから何やってんだルルィーッ!」

 ちょっと怒号めいたゼファーの声が聞こえる。……今が言葉届く最後かな。

「ゼファー、後頼んだよ、ジュンやみんな、逃がしてねー!」

「だからお前はどうすんだっつの!」

「どうにかするっ!」

 すると、フレイムドラゴンは急上昇する。私を乗せて……思惑通りだ、私のっ。一気に、私はパネル上のみんなと引き離されていく。

「ああっ、もう、このガイ●チ!」

 最後に聞こえた声は、そんなゼファーの罵り声であった。笑っちゃうね。



 次々MK2のテレポートでこの遺跡から離脱していくパーティ。ゼファーは私の意志を汲んでくれたようだ。……よし。

 私という異物を乗せたフレイムドラゴンは、私を振り落とそうと……まあ蠅みたいなもんだからね。ぶんぶん頭を振る。だが、そのヘドバンゆえに、トップスピードを出せない。私がひっついていられる。

 だけど……

「うおおおおおおおお揺れる揺れる揺れるうーーー!」

 もうジェットコースターもかくや、というブレブレ、ガタガタ具合に私は参る。覚悟はしてたけど、これはすごい! これほんとにゲーム!?

 両手でしっかりと、私はフレイムドラゴンの頭にしがみつく。そして、じりじりと、瞳のほうに移動していく。キツいけどっ。

 なんとか手が、瞳に伸びようとしている。だから、私はためらうことなく、ナイフでもって、瞳を貫いた!

「グギャアアアアアアアアアアア!!!!!」

 空中で、悶絶・横転するフレイムドラゴン! 相手ステータスを見ると、超大ダメージ! よっしゃあ! これで相手は完全に、パーティに対するのよりも、私に対するヘイトを高めるだろう!

 このドラゴンは、手足が短い。そのぶんだけ、羽を使った全体機動力と、ブレスでの広範囲攻撃でもって、攻撃するエネミーだ。でもそれは逆にいえば、間近に敵(私のことだ)がくると、案外手出しがうまくできない、ということでもある……私はそのように、今の状況を分析している。

 じゃあ私は完全勝利か? いやまさかね……

 フレイムドラゴンは、勢いよく、体をこの遺跡のあちこちに打ちつけはじめた。私を潰すためだ! ……ヤバい。私は、かろうじて寸前で、体を移動させて、遺跡にぶつかるのを回避するけど、そのどれもがギリギリ。というかすでに体のあちこちを打ってる。ガンガン打ってる。痛い。フレイムドラゴンにとっては、このようにガンガン自身を打ちつけるのは、大したダメージにはなってない。

 ああそれにしても、揺れる揺れる、ガンガン打ちつけられる……気持ち悪い、痛い、気持ち悪い、痛い……なんて最低な空中飛行なんだ……! 考えてみればこれは私が生まれてはじめて感じる空中飛行であったが、ぜんぜんロマンティックじゃないな……。

 ……しかし。

 急に方向転換したフレイムドラゴン。急に、猛烈に一方向に向けて急激に頭ごと降下しだした。その行く末は……

「え」

 あのパネル!? 自爆するつもり?

「みんなは……」

 とりあえず、視認できるぶんにはいなかった。よかった、みんな脱出できたか……

 いや、一人、いた。

「おいルルィ、もういい、脱出しろ!」

 遺跡の階段ギリギリのところで、待機し私の帰還を待っていたギルマス……ゼファーがいた。声が届く領域にいつの間にか戻っていた。泣けちゃうね。



 で。


 5、


 急激に落下するフレイムドラゴン……


 4、


 その体ごと、狂ったようにパネルに打ちつけて……


「ごめん無理っぽいーーーーーー!!!」


 3、


「アホーーーーーーーー!!!」


 2、


 二人で思いっきり叫びながら、遺跡のパネル平面は、私とドラゴンを巻き込んで……


 1、


 暗黒の虚空に浮かぶパネルの平面遺跡は、大音量をたてて、粉々に砕けていった……。


 0。


 ゴガガガガガゴゴゴゴゴゴガガガガガゴゴガンガンガンガンガンガンゴゴゴゴゴ…………!!!!!




 ……GAME OVER……?

おつかれさまでした、「プレイ2日目」のくだりは、ここでおしまいです。

ここまでがプロローグ。次回から、ルルィの旅が本格的にはじまります。

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