Blade:23
どうもお久しぶりです。
一ヶ月の沈黙を破り帰って参りました。
相変わらずの適当クオリティですが、楽しんでいただければ幸いです(^-^)
男の死体を物色する。
バチ当たりな上に死んだ男の体を触るとか気持ちも悪いにもほどがあるが手錠の鍵を探すためだ。ここは我慢しよう。
最初は面倒だから壊そうとしたのだが幼女を拘束している手錠には強力な束縛魔術が掛かっており、槍や剥ぎ取り用ナイフではビクともしなかったのでこうして鍵を探す羽目になったのだ。っと、あったあった。
「これでいいんだな?」
えらく綺麗な装飾が施された鍵を幼女に見せる。関係ないけど普通鍵にここまで飾りを付けるかね?死人を悪く言うようで気が引けるが俺には理解出来ない。
「多分それだと思う」
「よし。じゃあ外してやるからな、じっとしてろよ」
「うん……」
こくりと頷いた幼女の腕を拘束している手錠に鍵を差して回す。
カチリ、と鍵がはまる音がしたと同時に少女の行動を制限していた束縛魔術も解かれた。
「あ、ありがとう」
「礼なら要らないぜ。困っている女性を助けるのが紳士の務めだからな、本当に無事で良かった」
もうちょい駆けつけるのが遅かったら棍棒で殺されているところだった。
ふぃー、危ない危ない。ギリチョンセーフだったな。
「ところでお嬢ちゃん、名前は?」
「……リリア」
「そっか、リリアか。いい名前だな」
幼女改めリリアの頭をわしゃわしゃと撫でる。
最近はこうして女の子の頭を撫でる機会が増えたと思う。ちょっと前まではアインにしかやらなかったのが今ではこんな幼女にまで……。
これは俺の紳士レベルがアップしたということなのだろうか?
「……髪、乱れる」
「おっと、すまん。嫌だったか?」
撫でていた手を離す。
うーむ、全員が全員頭を撫でられるのが好きってわけではないらしいな。
「嫌じゃないけど……、今はいい」
あら?嫌ではないのか。うむむ、女の子って難しいな。
「えーと、取り敢えずさっきも名乗ったけどもう一度言っておく。俺の名前はカイル=アルヴァルト。職業は紳士兼傭兵だ。よろしくな、リリア」
「よろしく、カイル……さん」
まだ恐怖が抜けてないのか、若干オドオドした様子のリリア。
まあ、死ぬ一歩手前だったからな。一度『死』を経験したことのある俺にはその怖さは痛いほど分かる。実際痛かったし。
「と、まあ自己紹介も済んだことだし約束通りお茶でも行くか」
「いいの?」
「ああ、何でも頼んでいいぞ。今日は俺の驕りだ」
幸い、地竜討伐の報酬金をたんまりと貰ったので金だけならバカみたいにある。少しくらいなら使っても大丈夫な筈だ。
「よし、そうと決まったら早速行くとしよう。一人で歩けるか?」
「大丈夫」
スッと立ち上がるリリア。どうやら特に怪我はしていないみたいだ。良かった。
しかし、このまま歩いていると森の中ではぐれそうだな。
……そうだ!
「ほら」
「……?」
「手、繋ごうか。こんなところで迷子だなんてシャレにならないからな」
「………わかった」
少しの間ジッと差し出された手を見つめていたリリアは、やがて恐る恐るといった感じでその手を取る。始めは軽く触れる程度だったものが次第に慣れてきたのか、しっかりと俺の手を握り返してきた。
「さて、喫茶店目指して出発と行きますか」
「おー」
可愛らしい返事が返ってきたので手を繋いだまま歩き始める。
子供のリリアと俺では歩幅がかなり違うので彼女に合わせるようにゆっくりと歩いた。
子供といっても女性だからな。彼女が不自由を感じないようひとつひとつに気を配るのが紳士の務めというものだろ?俺、マジ紳士。
「歩くのが辛くなったらちゃんと言うんだぞ?その時はおんぶしてやるから」
「うん、わかった。でも大丈夫」
おんぶという誘惑に負けずに健気に自分の足で歩くリリアが実に可愛い。
もうめっちゃええ子やん。お兄さんは頑張り屋さんな子が大好きやで。それはもう無意識にエセ関西弁を使ってしまうくらいに好きだ。
「リリアはいい子だなぁ」
「ん、そんなことない」
言葉は素っ気ないけど朱色に染まったその顔を見れば照れているのが丸わかりだ。そんな恥ずかしがりやなところも彼女の可愛らしさの一つだと俺は思う。
それにしても……、こうも愛らしいとはもしや俺はとんでもない逸材を見つけてしまったのでは……!!
こんなダイヤモンドの原石を見付け出すとは自分の美少女レーダーの性能に感服せざるを得ないな。
いやぁ、凄いね俺。
ところで、なぜリリアはあの馬車の中で捕らえられていたのだろう?
可能性としては奴隷という線が最も濃いのだが、ただの奴隷にあんな高度な束縛魔術は普通使わない筈だ。
横を歩いているリリアをチラリと見る。
俺の目から見て一生懸命に歩いている彼女は年相応の子供にしか感じない。
なぜあのように厳重に拘束をする必要があったのかが理解出来ないのだ。
他にも分からないことがたくさんあるが取り敢えずは喫茶店を目指すとしよう。話はそれからだ。
こうして色々な疑問を残したまま、俺とリリアはセウスバルトへと向かったのだった。




