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【番外編】リフレインの悪戯 

 これは、ホークワイド邸を出てダンジョンへと向かう道中の話である。


「ユウイチさん、おはようございます!」


 賊との遭遇が不発に終わって落ち込んでいたリリアは、一晩明けて元気を取り戻したようである。


 何故なら晩餐後にホークワイド領の騎士団と模擬戦をして満足したからである。


 そんなリリアを見て「ワイルドだなぁ」とユウイチは思う。


「おはようございます!」


 リリアと同じようにアルマも元気である。


 何故なら模擬戦で大活躍だったからである。


「ユウイチ所長が教えてくれたレーダースコープのお陰で探知のスキルが格段に使い易くなりました」


 ユウイチは前世の宇宙戦艦の操縦席にあったようなレーダースコープを図に書いてアルマに説明した。


 これをイメージして全体を俯瞰して見ることが可能になったアルマは、探知スキルに「レボリューション」を起こせたようである。


「アルマ君の役に立てて何よりだよ」


 ついでに結界のスキルについても前世のロボット研究所が発生させるバリアを描いて説明しておいたので、そのうち進化するかもしれないとユウイチは思っている。


「それでは、王都で会おう」


「宰相閣下、お世話になりましたわ」


 ホークワイドとミレイには実りのある会談となったようだが、貴族社会に関わりたくないユウイチとしては「そんなの関係ねぇー」と言いたいところである。


「さあ、出発だ!」


 一台に三人しか乗車していない今回はローテーションが厳しくなるとの理由でノンストップ作戦ではなく森林道で仮眠をとる予定にしている。


 もし、夜中に一人で操縦すれば睡魔との戦いになることは「間違いない」とユウイチは思っている。


 そこに魔獣が「ひょっこり」現れると、とても危険「だっちゅーの」である。


 変な文章になってしまい「あいとぅいまてーん」と謝っておく。


 話が脱線したのは「何でだろう」と反省しながら本題に戻す。


「豪華な夕食が『あると思います』」とミレイが説明すると「グーグ、グー」と珍しくカミューヨがおどけていた。


 それを聞いていたユウイチは「空前絶後」のメニューにしてやろうと思ったのだが、そんなに食材を持って来ていないのが「残念」なところである。


 もし、空間収納のスキルで「三十五億」個ほど食材が運べれば話は別であった。


 そんな大容量のスキルを早く「ゲッツ」したいと思うユウイチである。


「チョット、チョットチョット!」、再び話が脱線してしまった。


 本当に今回は出だしから「ダメよーダメダメ」な話になっている。


 もしかしたら、幻想のスキルで悪戯をするリフレインが何処かで「フォーーー!」と叫んでいるのかもしれない。


 余りしつこいと読者の皆様に怒られるかもしれないので、それは「ヤバいよヤバいよ」と思い真面目に物語の続きを書くことにする。


「今回は、いつゴブリンが襲って来ても平気ですわ」


 戦闘に慣れた上に新たなスキルを得たミレイは随分と余裕がある。


「できれば無駄な戦闘は避けたいところです」


 慎重派のカミューヨは森林道の怖さをよく知っている。


 お分かりの通り今日はカミューヨとミレイがユウイチと同乗している。


 これは森林道に入って「魔獣との戦闘に気を取られがち」な、じゃじゃ馬コンビを抑える役をリーネに任せたからである。


 今頃、二号車では鬼教官と化したリーネが助手席に鎮座して睨みを利かせているに違いない。


「リリア様、『どこ見てんのよー』」


「リーネさん、安心して下さい。

 前を見ていますよ」


 などと、遣り取りがなされているかもしれない。


 だが、森林道では魔獣が襲ってくることはなかった。


「確か、この辺りだったよな?」


「はい、ここですね」


 ユウイチ達は日が落ちる前に合同探索で野営した場所に辿り着いた。


「随分と整備されているわね」


「恐らく、ダンジョンを目指す冒険者が頻繁に利用しているのでしょう」


「これならダンジョンには多くの冒険者が集まって来そうね」


 夕食の準備をしながら井戸端会議ならぬ竈前会議が始まった。


「ユウイチ所長、今日のメニューは何ですか?」


 薪を集めてきたアルマが鍋を覗き込んでユウイチに聞いた。


「そうだな、栄養豊富でアツアツのスープだな。    

 とても、『あったかいんだか~ら』」


 森林道は日が落ちると夏場でも「長袖を下さい」というほどに気温が低下する。


「ところで味付けはしてあるんですか?」


 味見をしたリリアが怪訝そうな顔をしてユウイチに聞いた。


「あっ、しまった。

『時を戻そう』……」


 ユウイチは調味料を入れるのを忘れていたのであった。


「あら、所長さんは疲れているのかしら?」


「そんなことはないぞ。

『ヤー、パワー!』」 


 ユウイチは掛け声と共に塩などの調味料を入れて味を整える。


 この時、間違っても「ラブ注入」してはいけない。


「リリア君、味見を頼む」


「あっ、美味しくなりました。

 さすが、ユウイチさんです」


「まぁねぇー」


 何故かユウイチが髪を跳ね上げる仕草をした。


「所長様、今のはなんでしょうか?」


 慎重派で常識人のカミューヨが不思議そうにしている。


「ん、今日は朝から『おかしいじゃあーりませんか』……」


 ユウイチの口から無意識に言葉が発せられた。


「「「「「ふふふふ、なーんやそれ!」」」」」


 五人が一斉にユウイチにツッコミを入れた。


 実は、今回の話がおかしなことになったのは馬車に引っ掛かったリフレインの枝の悪戯のせいである。

 

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