十二話 満員電車にて
俺は今、満員電車の中にいる。今の状況を楽しんでる。えっ?変態かって?バカやろ!俺のことじゃねぇよ。優のことだよ。優が知らないおっさんに女子だと思われて痴漢されそうになっているからだ。
くっくっく、爆笑だぜ〜。美少年も不幸な事もあるもんだな。ざまぁねぇなw。
その点、普通のやつはこういう時に何もされない。どうだ?普通の方がいいだろ!?
俺は始めっから知ってたんだよ。だから俺は普通の顔で生まれてきたんだよ。
えっ?ポジティブだって?違う違う、本当の事を言ってるだけだよ。えっ?泣いてなんかいないよ。今眠いだけだから。あくびが出ただけだから。
「蒼。今の状況どうする?僕、一応空手やってたからこのおじさん捻り潰せるけど。」
確かにどれだけムカつこうが親友なので、真面目に考える。
「今の状況をカメラで撮れば?」
「それをやったら、違う疑いがでるんじゃない?」
「やっぱ強制手段で俺が張っ倒したろっか?」
「いや、大事にしたくないから僕が固め技をかけるよ」
「そうか、つまらんなぁ」
「蒼が暴れたら危険だよ。あの真桐 刃に鍛えられたからね」
「分かったよ。じゃあ、俺は逃げねぇか見張っとくよ。逃げたら張っ倒していんだよね?」
「まぁ、その時はね」
「了解」
そういうと優は目にもとまらね速さで痴漢のおっさんの腕に固め技をかけた。
「おじさん。痴漢はよくないよ。」
「なっ!?お前、何のつもりだ!」
「何のつもりも何も警察に差し出すまでだよ。」
「あいにく、おじさんも昔、空手やってたから女一人の力に負ける訳がないのだよ!」
痴漢のおっさんは優の固め技から逃れようとしたが、まったく逃れられない。
「なっ!?どういうことだ!まったく動かない。お前っ!まさか男か!?」
「ご名答。僕は正真正銘、男ですよ。さぁ、おとなしく警察署まできてもらいますよ。」
その時ちょうど電車のドアが開いた。
痴漢のおっさんはそのすきを逃さなかった。
優の手を螺旋状に回して振り払った。
「くっ…しまった!」
俺はそのすきを逃さなかった。おっさんが駅のホームに逃げ込むのを予想して、先回りしていた。
俺がおっさんの進行方向に立つとおっさんはまったく躊躇せずに突っ込んできた。
「そこをどけぇ!!!」
俺は殴りかかってきたおっさんの拳をかわし、手首を掴み、襟首を持って一瞬で背負い投げをした。
「「「バァーン!!!!」」」
すごい音に駆けつけた警察官が痴漢のおっさんを確保した。
俺が警察官に事情聴取を受けていると、あとから駆けつけた優がきた。
「蒼。無事だった?」
「あぁ。背負い投げしたった。」
「さすがだね。」
「あんなちょっと空手をかじった程度のおっさんには負けないよ」
俺と優はそのあとに警察官に事情聴取を受けて、帰路についた。
「じゃあ、また明日学校で」
「あぁ。また明日」




