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第10話 藤原とLIME

 藤原とLIMEを交換した。

 が、これをどう扱っていいのか分からん。


 がっついて、なんやかんや送りまくったら、面倒がられるのは確実。

 だけど、せっかく繋がれたのに、何もしないのはもったいなさすぎる。


 ごく自然に……途切れることなく……ほどほどに……話したいけど……面倒がられたらアウトで……


 そもそも、話題が思い付かない。

 今までLIMEしてきた相手が限られてるし、作法というかノリというか何もかも分からん。


 ラーメン屋から帰ってから、自分の部屋でうなり続ける俺。


 と、向こうから送られてきた。


まさご<(よろしくお願いします のスタンプ)>

信太<(よろしくお願いします のスタンプ)>


 藤原が送ってきたスタンプは、二足歩行のネコのイラスト。

 かわいらしく、女子が使いそうだけど、藤原っぽくないなと思った。


 俺が送ったのは、Tuitterで人気のゆるキャラアカウントの公式スタンプ。


まさご<労働しゅーりょー>

信太<(おつかれさま のスタンプ)>

まさご<今日はあんまり混まなかった>

まさご<細田くんがいた時も空いてたでしょ?>


 そう、空いてたから、藤原と無駄話できたのだ。


信太<たしかに>

信太<いつもはもっと来る?>

まさご<日によって違うね>

まさご<金曜の夜遅くとか多い

   わたしは途中で上がりだけど>

信太<飲んだ後の〆>

まさご<それそれ>

まさご<そんなにお酒って美味しい?飲んだことある?>

信太<ない>

信太<未成年だし>

まさご<ビールこっそり飲んだことあるけど、苦かった>

信太<逮捕だな>

まさご<通報は堪忍や

   あんなみんな飲んでたら、気になるよね?>

信太<分からんでもないけど、やめとけよ>

まさご<もうしない

   わたしには四年早かったね>

まさご<細田くん、そういうのマジメな人?>

信太<親がうるさいんだよな

   しつけ?そういうの>

まさご<あ、ハムカツの立ち食いもNG?>

信太<親に見つかったらなんか言われる>

まさご<まずいとこ見られた>

まさご<あそこのハムカツおいしいから仕方ないよね>

信太<うまいのは同意>

まさご<細田くんは何食べる?コロッケ?>

信太<俺もハムカツかな>

まさご<なかま>

信太<たまに牛カツも>

まさご<やっぱあそこはハムカツだよね>

まさご<裏切った

   お金持ち様め>


 思ったより会話が続いてる。

 即レスするからこっちが続ける前に送ってきてるし。


信太<自分へのご褒美>

まさご<どういうご褒美?>

信太<一週間頑張って登校したで賞>

まさご<それは賞だね>

まさご<ていうか、細田くんが休んだ記憶ない>

信太<先月風邪で休んだ

   藤原は他人に興味ないからな>

まさご<先月のは憶えてないな...

   でも他人に興味ないのは違うよ>

まさご<お客さんのことよく見てるって、お母さんに褒められたし>

まさご<機嫌いいですねって聞いたら、昨日誕生日で娘さんからプレゼントもらったとか>

まさご<元気なさそうな男の人が女の人の画像見てたからいろいろ察したり>

まさご<あの2人付き合いそうって思ってたら、次来てくれた時付き合ってたり>

まさご<あと何あったかな?>

信太<すみません、他人に興味ない発言は撤回します>

まさご<あれ?なんかアピールになってた?>

信太<自覚なし?>

まさご<とにかく、細田くんに誤解してほしくないって思った>

まさご<休んでたの忘れたのはゴメンだけど>

信太<そこは全然気にしてないし>

まさご<よかった>

まさご<まぁ、学校のほとんどの子に興味ないんだけどね>

信太<台無し>

まさご<関係ない子に興味持つって無理じゃない?>


 つまり、先月の俺は藤原にとって関係ない子だった?

 ちょっと引っかかったけど、蒸し返すのもアレだしな。


信太<俺はちょっとは興味持つようにしてるけどな>

まさご<なんか、他の子に話しかけてるの見たことある

   目が死んでた(笑)>

信太<目が死んでたは言いすぎ(笑)>

まさご<わたし興味ないこと全然興味ないから分かるんだけど、細田くん興味ないのに話聞いてるよね>

信太<まったく興味ない訳ではない>

まさご<ふーん、へぇ、そうなんだ

   この3つが9割だった(笑)>

信太<観察するの、やめて頂けますか?>

信太<俺には興味あるんだ?>


 かなり思いきって送った。


 まるっきり自意識過剰な発言で、「は? 何言ってんの?」って一瞬で覚められる。

 そういうリスクがあるのは分かってた。


 けど、この流れだとギリいける気がする。

 リスク取ってでも、藤原が俺のことどう思ってるか知りたかった。


 返事を待ちながら、後悔と期待が交互に脳を埋めて落ち着かない。

 既読は送った直後に付いてた。


まさご<うん、興味あるよ>


 はっきり言われて大きく胸が高鳴った。

 学校のほとんどの奴に興味ないって言ってる藤原が、俺には興味ある?


まさご<貴重な同類だもん>


 まぁ、その程度の認識だよな。

 藤原が最初っから言ってることだ。


 それでも……十分だと思った。

 同類枠。

 それ以上は望みすぎだろ?


信太<同類同士、仲よくやってこうか?>

まさご<そうしようそうしよう>

まさご<隣の席に同類がいるの、なんか安心>

まさご<あ、寝る時間

   また明日学校でね~>

まさご<(おやすみ のスタンプ)>

信太<また明日

   ラーメン屋にも行くし>

信太<(おやすみ のスタンプ)>

まさご<お店絶対きてよね!!>

信太<(おやすみ のスタンプ)>


 今の会話を読み直すと、藤原、俺のこと結構いろいろ聞いてきてるな。

 興味あるってホントなんだ?

 同類だから……だとしても。

 結局この日は、なかなか寝付けなかった。

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