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小さな薬屋を経営していたら、溺愛されました  作者: 漆原 凜


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3

あれ以降もユーリは度々お店に来てくれて薬を買うついでに、お花だったりお菓子だったり持ってきて下さる。徐々に惹かれていくのはわかっていたが、私は公爵令嬢なので自由恋愛など出来ない。ユーリとの未来は無い。悲しいけど少し距離を取ったほうが良いのかな…。



ーーーーー


「お嬢様そろそろ起きてください。」


マリエに起こされ、ふぁーとあくびをしながら起きる。


「何時ー?」


「もう9時です。夜ふかししたのですか?」


「今日休みだからつい。」


もぅ気をつけてくださいねとマリエが怒る。久しぶりの休みに昨夜本が気になり最後まで読んでしまった。


最近は黒石竜の発生の影響なのかあれ以降他の魔獣がよく出ていた。そのため冒険者が活気付いていて薬がよく売れた。しばらく休み返上で薬作りをしていたのだが、やっと落ち着いてきたので休みを取ることにしたのだ。



ーーーーー



今日は休みか?と一緒に朝食を取っていたお兄様に聞かれる。


「薬作りも落ち着いたので、今日は久しぶりに休みにしました。森へ材料を取りに行こうかと思ってます。」


「まだ危ないから気をつけて行くんだぞ。」


護衛のロイを連れて行くように言われる。マリエに指示をし出かける用意をする。いつもより動きやすい服装をして染め粉を塗った髪を1つにまとめカバンを斜めにかける。森へ入る準備はバッチリだ。


森へ向かい馬車で待機をするマリエとわかれ、ロイと一緒に森へと入る。久しぶりの森は少し黒い霧に覆われ少し危険そうだ。


慎重に森を進んでいき、あれもこれもと採取しカバンに入れていく。思っていたより採取でき満足していると人の声が聞こえた。ロイと慌てて向かうと怯えた姿の2人が居て遠くに魔獣が見えた。


ロイが私があちらへ行くので、お嬢様はあの方達を連れて逃げてくださいと指示を受ける。


2人の元へ行きこちらへと誘導していると、魔獣の元へ向かったロイが襲われかけている。危ない!と思った瞬間、周りに赤い華が咲いた。綺麗。そして魔獣が急に倒れた。


慌ててロイ!と叫ぶと魔獣の近くに座り込んでいて、黒髪の人が倒れた魔獣の側にいた。良かった、無事だった!と思った時、黒髪の人がこちらを見ていた。え、炎華の貴公子?その時近くで魔獣の声が聞こえ黒髪の方はそちらの方へ向かった。


ロイの元へ向かい無事を確認した後、先程の2人と共に森の外へとでた。話を聞いたマリエに怒られしばらく森は禁止だと言われた。悲しい。


馬車に乗り込み外を見る。炎華の貴公子様とても綺麗だった。赤い華が一気に咲いたような魔法。皆が騒ぐのもわかる気がした。



ーーーーー



お父様から部屋に呼ばれる。今日の事がロイから報告が上がっているから怒られると思いノックをし部屋に入る。


「アンジェ!アレクシス様に助けてもらったそうだな。」


予想に反しお父様は嬉しそうに話しかけてきた。ソファーに座るように促され、え?怖いんだけどと思いながら座る。


「はい。私は遠目でしたがアレクシス様でした。ロイを助けて頂きとても感謝しております。」


いやーちょうど良かった。とお父様が言っている。ちょうど良かった?何が?


「実は来週アレクシス様とお茶会がある。よくお礼を言うんだよ」


「どういう事ですか!??」


「先日良い話が来ていると言っただろ?実は王家からの打診で断れなくてな。婚約者とか難しく考えずお礼を言うためと思って行っておくれ。」


は?と私は呆れ返ってしまう。会わずに断るのはさすがに失礼だろ?来週頑張って。じゃ部屋に戻っていいよと笑っている。断れないだけのくせに!!


私は苛立ちながら部屋に戻り、マリエに愚痴を言う。しかしマリエはお礼を言うのは大切です。命を救ってもらったのだから誠心誠意お礼を言うべきだと。たしかに。


来週お礼を言いにお茶会に行こうと決めた。



ーーーーー


昨日休んだので今日は忙しくなるなーと開店準備をする。空はどんよりしていて嫌な天気だな。雨が降りそう。


いつも通り作業をし忙しくしていたら、気付けばお昼だった。お腹すいたなって思いながら、ふと外を見ると店の中を見つめ立っているユーリがいた。


「ユーリ!どうしたの?いつから居たの?何かあった?」


「今日はお別れを言いに来た。もう来れなくなりそうなんだ。」


とても辛そうな顔をしてユーリがもう来れないと言う。


「どうして?お仕事で遠くに行くの?」


「そうじゃないんだ…今までありがとう。リナ幸せになってね。」


ユーリは儚く笑い足早で去っていく。いつかは会えなくなると思っていたが、こんなに急だなんて…。ポツポツと降り出した雨が私の心を表すようだった。


ーーーーー


「熱が下がって良かったです。雨に濡れたままにしとくなんて子供ですか!」


マリエが怒っている。あの日何もする気力が起き無くて、濡れたままいたら熱を出した。3日立ってやっと熱が下がったのだ。本当笑えない。いまだにユーリの言葉が頭を離れない。油断すると涙が出そうになる。いつかは離れなきゃいけないとわかっていた事なのに。



ーーーーー





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