Episode13
一連の件は国中を騒がす大事件となった。
秋草研究所による犯罪が暴かれ、中枢であるビルが全壊。
ニュースでは特級ライセンス持ちが中心となって異能を使ったテロ集団を最小限の犠牲で討ち払ったと、もてはやされた。
外で動いていたものの判断も早く、一般市民の犠牲も最小限。非の打ちようのない結果に、世間の協会に対する反応は大満足。
一方、異能の闇を司った研究所の存在により、異能者の扱いについてコメンテーターたちは議論に盛り上がった。
そんなニュースばかり流すテレビを自宅で見ていたマコトは黙ってテレビを消した。
彼女の目から光が消えたまますでに1週間経過している。
ただ、寝て、起きて、食事は誰か心配したものが持ってきてそれを数口食べて「ありがとう」と生気のないまま笑う。
泣きはしない。泣きごとも言わない。見ている方が苦しくなってしまうような風体。
少女はみるみるやつれていった。
ある日、また食事時を狙ってピンポーンとインターホンが鳴る。
また誰かが来たのか。いい加減笑って心配させないようにしなければ。そう思いながら玄関のドアを開けると真っ先に飛び込んできたのは黒いラブラドール犬だった
予想外の突進に地面に倒れ伏した少女は顔を中心に犬の舐める攻撃を受ける
「ちょッ、ま…!あはは…!!何?犬……?ハハハ……!」
「ほーら、やっぱり犬が一番じゃない。同類なんだから。」
聞き覚えのある声が玄関からして、攻撃を受けながらも玄関に目をやる。
前列でウィンクするのはカグラ。
そして紙袋を持って微笑むルカ、その後ろにはトオルとタカシ。
今まで全員がバラバラと順番で来ていたのだが本日は全員がやってきたのだった。
「今日は皆で来たのよー!レイカは講義があるから来れなかったけどお土産にって、庶民には買えないようなお店のケーキ持たせてくれたのよー」
カグラが笑う。
「ちなみにその子はクロよ。私の犬」
ルカも犬を呼び寄せ笑った。
笑顔が似合わない人間が一名いるが…それを除いた全員が最高の笑顔で彼女の目の前に立っている。
少女はそれを見て…
「何で…」
涙をこぼした
「何でこんなに皆一生懸命してくれるのー!大好きだよー!!」
事件の日の慟哭とは違う泣き方を見て、彼らは一安心したようだった。もう大丈夫、時間はかかるが立ち直れると。
「…全く、手間のかかる奴だな…」
安堵したばかりに今まで通りの嫌味をこぼすが泣く少女はキョトンとした顔で
「……もうマコトって呼んでくれないの?」
「っ!?」
顔から火が出る勢いで少年はちょっと待てと突込みを入れる。
「お前なんであの精神状態でアレを覚えてるんだよ!?」
「トオルが名前呼んでくれたから我に返って逃げる気になれたー」
子供のような抑揚で言って笑顔をこぼす。
ゆでダコのような顔色のまま帰ろうとしたトオルをカグラはテレポートさせてマコトの家に押し込んでしまった。
「あの後力が一気に強くなって人間もテレポートできるようになったのよ」
嬉しそうに報告するのを、一名を除いて称賛するが残った一名はちくしょうと悪態をついた。
「さーて!アタシも大奮発よ!レイカのケーキの他にお鍋セット買って来たから今日は皆寝かさないからねー!!マコト、台所貸して!」
マコトに今まで通りの笑顔が戻って、ライセンスを取りたいと言い出したのはそこからまた数日後の話。
コレで第一章は終わりになります。以降は書き溜めていないので更新がゆっくりになります




