18 夜明けを待つ鳥へ、
「ねえ、ルル。レイが今日の昼に。あの、パスタ食べたカフェで待ってるってさ。」
「.......????
.....えっ!?」
朝一番の衝撃だった。メイナに髪を解かされながら言われる。
今回の宿は部屋が空いてた。だからメイナ、ルル。 クロ、レイで別れて泊まっている。
そのせいで言える機会がなかったからメイナが知っているのか?
どうだったにしろ。嬉しすぎて、早めに来てしまっていた。
メイナと一緒に選んだ服。おしゃれしすぎのような気もする。
ほんとにこれでよかったのかな。
髪だって、三つ編みだし。
気合い入れすぎだと思われたりしないかな。
そわそわしながら、窓に反射してる自分を見つめる。
「えっ嘘ちょーかわいい。似合ってるよ。」
ニコニコの笑顔でメイナに見送られた。
大丈夫なはず。
窓の外。行き交う人々。レイの姿は見えない。
早めに来てしまっていたから仕方ないが。
「へそくり」だと言ってメイナがわたしてくれたコイン。
その枚数を数えながら時間を潰す。
1、2......15。これなら、三品くらい頼めそうだ。
カランカランと、鐘の音。
店の中に誰かが入って来たようだ。
フードを被ってて、顔は見えない。
だけど....レイだ。
直感的にそう思った。
少し店内を見回して、私の方に気づいたような素振りをした。
席に近づいてくる。
「ごめん。待った?」
レイだ。フードから少し見える黒髪がレイだった。声がレイだった。
首を振る。
「待ってない。」
レイが席に着く。
『それで... どうしたんだ
/なんの用...ですか?』
二人の声が被る。目を見合わせる。
『....え?そっちが呼んだんじゃ...?』
世にもおかしな事件。
向こうが呼んだはず。なのに、相手は呼ばれたと思っている。
___もしかして。
「メイナに言われたか?」
その言葉に、ルルが頷く。
「えっ。もしかして、そっちも。」
ぷっ、ははは。
ルルが笑う。
連れるように笑いが込み上げてくる。
二人して笑いあった。
笑いながらルルの髪が揺れる。
フード越しだが、揺れる三つ編みが見えた。
___そう言えば今日のルルの服。
「今日の格好...似合ってる。」
「.....うん。ありがとう。」
そう言いながら、三つ編みを弄る。
そうでもしてないと、顔に熱が集まって来てしまう。
時間かけて考えたから。言ってもらえてほんとに嬉しくて。ほんとに嬉しかった。
「何か頼む?」
「あっうん。そうだね...」
メニューに手を伸ばす。
『あっ』
レイの手が触れる。
即座に手を引っ込めた。
「ご、ごめん。」
顔が熱くなってくる。
フードを少し深めに被り直した。
「別に謝る必要ないよ。
とりあいずさ。何頼むか決めよ。」
そう言いながら、メニューを私に見せてくる。
「この向きだと、レイがメニュー見えなくない?」
「こっちからでも見えるし、前食べたやつにしようと思ってたから。」
「じゃ、じゃあ。私も前に食べたやつで。」
レイがカウンターの方を向いて手を上げる。
客が少なかったからすぐに来てくれた。
これと、これをください。そう言って注文するレイの横顔を眺めていた。
頼んだものはすぐに運ばれてきた。
運ばれてきた時、おばさんが笑顔で「どうぞ、ごゆっくり。」と言ってきた。
今の私にとっては幸せな空間を一押し、してくれてるように感じて少し照れくさい。
素朴な香りにツンと鼻をつくような塩気の効いた香り。
湯気が立ち昇っている。
あの時と変わらない。味、匂い。
フォークで刺して一口。
柔らかくて、温かくて「美味しい。」
自然と笑みがこぼれていた。
「また、来ようか。もうすぐでこの街を出る予定だから。すぐには無理かもだけど。
俺達なら時間はいくらでもあるから。」
レイの口元が微笑む。
「うん。」
パスタを食べながら何気ない会話をした。
祭りが楽しかった。パスタが美味しい。次の街も時期が合えば何かの行事中かも。.....
ほんとに何気ない。だけど、居心地がよかった。
レイが窓の外を見ながら言う。
「もう夕方だし、帰ろうか。」
レイが財布を取り出しながら立ち上がる。
「遠慮しなくていいから。というか、これ使ってよね!
全く使わずに帰ってくるとか許さないからね!」
メイナの言葉が頭をよぎる。
「レイ。今日は私が奢る。」
「えっ。俺が....」
せっかくのルルの気持ちを無下にするのは良くないか...
「分かった。次は俺が奢るから。」
店を出た。
空は東が藍。西が朱。混ざり合って虹のような色を作っていた。
これで最後。もう帰るんだ。
___メイナの言葉が頭をよぎる。
メイナはキューピッドか何かなのか。
立ち止まる。
「レイ。」
その言葉にレイが振り返る。
心臓の音が大きくなる。
「私、レイのことが__。」
いいかけた瞬間。
「あっ。レイじゃん!」
レイの背後から軽い声が飛ぶ。
レイがメイナの方を振り返る。
___違和感。
左の鎖骨辺りに違和感を感じて触る。
なに、これ。
膝から崩れ落ちる。
レイが気づいて、駆け寄ってきた。
視界がだんだん暗くなっていく。
音が遠くなっていく。
ルル手が俺に伸びる。
「レイ。...私を地獄か、ら、救って、くれて、ありが....」
ルルの手は俺に届かずに地面に落ちた。
「ルル!ルル!待って、俺を。置いてかないで。」
___違う違う違う。そんなわけない。
ルルの手を掴んで。必死に懇願する。
ルルの鎖骨の辺りに紋様。
___何も考えたくなかった。
だけど、気づいてしまった。
親友のリツと同じ紋様。リツの手にあった紋様。
鼓動の音が、早くなっていく。
リツは手から操られるようにして、人を斬り殺した。
それが、だんだんエスカレートして、能力まで使い始めた。
それで起こったのが....悪魔の災厄。
「ルル?ルル?なんで、どうしたの?え?」
近くからメイナの声。
ドサッ。
クロの持っていた袋が手から落ちた。
「その紋様.....俺を襲ってた、......ニーストラの....」
___夜明けを待つ鳥へ、祝福のフィナーレを。
1章完結です!
ここまで読んでくださり、ほんっとうにありがとうございます!
楽しんでいただけたでしょうか?そうだったなら、作者として光栄の限りです。
ここまで読んでいただいた方へ
ほんとに心からの感謝を申し上げたい。4、5万文字くらい?この物語を追いかけてきてくれて、ほんとに嬉しいし感謝でしかありません。ありがとございます!
よければ、なんですけど感想とか書いてくれると、モチベとかになるのでお願いしたいです!
「面白かった」だけでも私からしたら、モチベなので遠慮なく書いてほしいです。




